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大阪都構想住民説明用パンフレット作成費用の返還請求訴訟の第二審判決について

 2020年11月1日、大阪市で実施されたいわゆる都構想の住民投票から3年半以上が経過しました。前回行われた住民投票に関して、私の考えは過去の記事にまとめております。

 私と都構想の住民投票とは、とりあえず記事を書いて整理をつけたつもりなのですが(整理がつけれなかったのでその後2本ほどつぶやき記事を書いていますが)、前回の住民投票に疑問を持ち、立ち上がられた市民の方々がいらっしゃいました。

都構想パンフレット住民訴訟とは?

 住民投票に向けて作成された住民向けの説明パンフレットが、都構想を推進するメリットのみに偏った内容であり、この内容では賛成するように誘導しているものではないかということで、その違法性を訴えて2021年1月15日に大阪市民6名が、当時の松井一郎市長ら幹部に作製や配布にかかった約1億1300万円を市に返還させるよう求める住民訴訟を大阪地裁に起こした、というものです。

 この住民訴訟の結果は、上の記事の通り、重大な違法性は認められないとして、残念ながら返還請求の棄却となりました。2022年8月1日のことです。
 もちろん、訴えを起こした大阪市民6名の方はすぐに控訴し、第二審が行われることとなりました。第二審は、2024年4月25日に判決が下され、控訴審も残念ながら返還請求が棄却されたという結果となりました。

 当日、私も大阪高裁の202号大法廷で判決内容を聞いておりました。訴訟を起こされた原告の方には大変申し訳ないのですが、正直なところ、第一審と同じく棄却されるだろうなという思いで見ていたため、判決が裁判長から読まれた時にも特に驚きはありませんでした。
 今回の判決に関して取り上げているメディアがないため、ニュース記事として読むことはできませんが、弁護士の立場として詳細に書かれている内容がありましたので、そちらをご紹介します。

 判決内容が読み上げられた202号大法廷でも傍聴していた市民から「不当判決」と声が上がりましたが、上の弁護士の記事の中にも「不当判決」であると声が上がっています。

大阪高裁の判決は不当判決だったのか?

 裁判の内容(何が問題で、どこに焦点を当てて、結果どうだったのか)については、先の弁護士の方の記事に詳しく書かれていますが、念の為に簡単に説明します。

 維新が掲げた都構想を実現するには、大阪市を廃止して、特別区というのを設置しなければなりません。現在、大阪府大阪市北区や大阪府大阪市中央区、となっているものを大阪府北区や大阪府中央区、とするわけです。要は大阪市を解体して、その代わり大阪府の直下に特別区と呼ばれる区を設置することになるのですが、それを規定した法律が「大都市地域における特別区の設置に関する法律」(略して、大都市地域特別区設置法なのですが、それも長いので、以下、大都市法と呼びます)というものです。
 この法律の中に、投票に関する項目があります。

 (関係市町村における選挙人の投票)
第七条 前条第三項の規定による通知を受けた関係市町村の選挙管理委員会は、基準日から六十日以内に、特別区の設置について選挙人の投票に付さなければならない。
 関係市町村の長は、前項の規定による投票に際し、選挙人の理解を促進するよう、特別区設置協定書の内容について分かりやすい説明をしなければならない。
 関係市町村の選挙管理委員会は、第一項の規定による投票に際し、当該関係市町村の議会の議員から申出があったときは、当該投票に関する当該議員の意見を公報に掲載し、選挙人に配布しなければならない。
 前項の場合において、二人以上の議員は、関係市町村の選挙管理委員会に対し、当該議員が共同で表明する意見を掲載するよう申し出ることができる。
 関係市町村の選挙管理委員会は、第一項の規定による投票の結果が判明したときは、直ちにこれを全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事に通知するとともに、公表しなければならない。その投票の結果が確定したときも、同様とする。
 政令で特別の定めをするものを除くほか、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)中普通地方公共団体の選挙に関する規定は、第一項の規定による投票について準用する。
 第一項の規定による投票は、普通地方公共団体の選挙と同時にこれを行うことができる。

大都市地域における特別区の設置に関する法律(平成二十四年法律第八十号)より

 第二審の裁判では、この大都市法の第七条2項の内容に違反しているのではないかということにスポットを当てて裁判が進められてきました。
 この第七条2項には「関係市町村の長は、前項の規定による投票に際し、選挙人の理解を促進するよう、特別区設置協定書の内容について分かりやすい説明をしなければならない。」となっています。つまり「市長は市民が今回の住民投票に関して理解できるように、特別区設置に関しての情報をわかりやすく説明する責任があります」ということです。

 その”分かりやすく説明する”ために大阪市民に配布されたのが、住民説明用のパンフレットというものです。残念ながら現在、PDFで参照できるものがなく、HTML版しかないために少し見づらいのですが、掲載されているページを紹介します。

 根気よく最後まで読まれる方は少ないと思いますが、読んでいただくわかるのですが、正直メリットが強調されすぎてて、読んだ人のほとんどが賛成するように誘導される内容と言っても過言ではありません。この内容が市民から徴収した税金により作成され、配布されたのです。

 では、やはり原告の市民の訴え通り、当時の松井市長は大都市法の第七条2項の内容に違反したのでしょうか?
 訴訟を起こされた市民の方には大変申し訳ないのですが、私は裁判長の判決には理解できるところもあり、不当判決とは考えていません。

なぜ、不当判決と考えていないのか

 原告の市民の方からも、話として上がっていたのですが、問題となっている大都市法の第七条2項の「分かりやすく」という言葉が曖昧であり、抽象的な言葉であるため、どうとでも判断できるために、この法律自体ザルではないかと言われています。私自身もそう思っています。しかし、法律として決まっている以上、それを元にして考える必要があります。前回の住民投票の際に配られた説明用パンフレットですが、その法律のザルをうまく使って、当時の松井市長および推進派が説明資料を作成したにすぎません。あくまでも裁判は、市民感情がどうとかで判断を決めるものではなく、法律に違反しているかしていないかという点のみで決定されるべきものであり、うまくザルを使われてしまったために違法性を問うことができなかった、ということだけです。よって、私自身は、第二審の判決を不当判決は全く考えていません。市民感情に流されることなく淡々と判断を下したんだろうと思います。

では、どう進めるべきだったのか?

 私が、第二審の裁判を傍聴し始めたのは、第2回目の口頭弁論からです。その内容の流れだけで説明するため、実際には違うという意見がありましたら、是非コメント欄にてお知らせください。

 第2回目の口頭弁論というのが「どういうこと?」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。私自身、裁判というのは50数年生きていて初めての経験であったため、私も理解できていませんでした。訴えを起こしてから判決が出るまで、何度もお互いが主張する内容を出し合うわけです。その出した内容を確認するのが法廷で行われ、次回どうするのかをその場で決めていきます。第1回目の法廷で原告側の主張が終われば、第2回目の法廷は被告側の主張が行われる。それでお互い全て主張し終えたのであれば、第3回目の法廷で判決が出るというものです。
 今回の第二審の裁判では、第7回までそれが行われました。その中で、原告側の弁護士は一貫して、住民投票というのは直接住民が投票するものであるため、住民が正しく判断できるために、中立な立場からの客観的かつ中立な情報提供がなされるべきであり、住民説明用に配布されたような偏ったパンフレットでは正しい判断ができないため、違法であるとの主張がされていました。

 確かに、住民の立場からその主張を聞けば、住民投票が賛成多数となっていたのであれば、恐ろしいことになっていた、というのは理解できます。
 では、判断を下す裁判長の立場から、その主張を聞いたのであればどう考えるのでしょうか。

  • 原告の市民が出してきた資料の数字は何を元にして出してきたの?その試算があっているの?いやそもそも、その数字は今だから、出せた数字ではないの?当時から出せた数字なの?

  • 確かに主張している通り国際的には住民投票では中立的な立場から説明されるべきだが、大都市法の第七条2項をもとにどちらの立場に偏らずに違法性を問えるかと言われれば・・・

 と言ったところでしょうか。裁判長が確かに違法である、と判断するには弱い気がします。
 特別区設置協定書では、大学名が記載された経済効果が出されていました。また、財政シミュレーション上では収支不足がない、という結論で作成されていました。もし仮に、都構想が実現し、特別区が設置され、運用が始まった後、これら数字通りでなかった場合を考えてみた場合、どうなるのでしょうか?正直、どうにもなりません。その数字が想定していた通りにならなかった、という結論だけであり、それに関して違法性も何も問われないというのが現実でしょう。「想定と違っていた」「努力が足りなかった」ぐらいの問題であり、それに対して違法性を問えるかと言われれば、問えないでしょう。経済効果や財政シミュレーションというのはその程度のものなんです。
 なぜならば、未来のことは誰もわからないため、人間、間違うこともあるというのが前提だからです。

 間違った数字を使ってしまったということではなく、試算した数字を意図的に改竄して良い数字に変更したり、数字上間違っていることを理解しつつも、意図的にあえて掲載し、住民を賛成に導くように誘導した証拠が出てくれば、話は違ってくるでしょう。
 「このような試算はどう考えてもおかしい」「こちらが試算した内容では、どう考えても収支不足する結果となる」だけでは、当時の試算方法が間違っていただけなのか、それともあえて間違えたのかがわからないためです。数字がおかしいを元に違法性があると問うても裁判長は判断できないでしょう。

 数字を意図的に改竄するように指示した文書や音声など、決定的な証拠が出てこない限り、経済効果や財政シミュレーションは出鱈目で、市民に不利益があることがわかっているのに関わらず、賛成に導いた、と主張するのは難しいのではないでしょうか。

 大都市法の第七条2項の「分かりやすい」という表現が、どうとでも解釈できるということで、この法律自体がザルであるというのは、私自身もそう考えていることは上に述べた通りです。第一審はどのような切り口で裁判をしたのかが分かりませんが、第二審では、大都市法の第七条2項の内容が曖昧であると主張されていたとは思いますが、真っ向からこの内容が悪法であり、法律そのものが違法であると言いきれていたかというと・・・。という具合です。
 「分かりやすい説明」の解釈が、国際的にもずれているのではないかということで、本来あるべき「分かりやすい説明」は、公平公正ではないかという主張はされていましたが、そもそも、解釈問題を元に、松井市長をはじめとする推進派の作成した資料が問題だとするのには無理があったのではないでしょうか。
 解釈ではなく、この法律自身が間違っている、ということを主張すべきだったかもしれません。つまり、この法律では住民が知りたい権利を侵している可能性があるという欠陥があるため、違憲であると。

 あくまでも、第二審以降、原告は裁判長だけを相手にして闘うべきでした。裁判長が、原告の主張することが正しいと納得する内容に絞って主張すべきだったかもしれません。財政シミュレーションの数字がどうとか、経済効果がどうとか、裁判長が判断できない内容を出しても仕方なかったのです。

今後は?

 第二審の判決を受け、原告側は上告の手続きを行い、第三審の裁判に望むとのことです。
 今週金曜日には、この第二審の裁判を振り返る集会も行われるそうです。ご興味のある方は是非、参加をしてみてください。

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