尿道形成術の被覆法比較研究、画像流用で撤回

2025年11月24日

遠位型尿道下裂修復術における自家多血小板血漿（PRP）による尿道形成術被覆とダルトス皮弁の比較に関する前向きランダム化研究が、画像の不適切な流用が確認されたため撤回された。この撤回は、International Journal of Urology誌のオンライン版2025年11月21日号に掲載された。第三者から指摘を受けた調査により、論文中の画像が他の著者グループによる以前の論文から複製され、異なる科学的文脈で使用されていたことが確認された。著者らは画像の不適切な使用を認め謝罪したが、撤回には同意していない。

撤回された論文の概要と経緯

撤回された論文は「Autologous Platelet-Rich Plasma Covering Urethroplasty Versus Dartos Flap in Distal Hypospadias Repair: A Prospective Randomized Study（遠位型尿道下裂修復における自家多血小板血漿被覆尿道形成術対ダルトス皮弁の前向きランダム化研究）」と題され、A Y. Mahmoud氏、S. Gouda氏、I. Gamaan氏、M. A. Baky Fahmy氏らによるもので、International Journal of Urology誌の2019年4月号（第26巻第4号、475-480ページ）に掲載され、2019年2月4日にオンライン公開されていた。この論文は遠位型尿道下裂の修復術において、自家多血小板血漿（PRP）による尿道形成術被覆とダルトス皮弁を比較した前向きランダム化研究の結果を報告したものであった。

画像の不適切な流用が撤回理由

撤回は、International Journal of Urology誌の編集長であるNaoya Masumori氏、日本泌尿器科学会（Japanese Urological Association）、およびJohn Wiley & Sons Australia社の合意により決定された。第三者から、論文中の画像が別の著者グループによって以前に発表された論文から複製され、異なる科学的文脈で使用されているという懸念が提起されたことが発端となった。調査の結果、画像が実際に複製され、異なる科学的文脈で使用されていたことが確認された。著者らは画像の不適切な使用を認め、この誤用について謝罪したとされている。しかし、編集者らは研究結果と結論が無効であると判断した一方で、著者らは撤回に同意していないことが明記されている。

科学的誠実性と出版倫理の重要性

本件は、医学研究における画像の適切な使用と科学的誠実性の重要性を浮き彫りにしている。医学論文における画像は研究結果の重要な証拠となるため、他の論文から画像を流用し異なる文脈で使用することは、研究の信頼性を損なう深刻な問題である。International Journal of Urology誌と日本泌尿器科学会は、科学的出版における高い倫理基準を維持するため、問題が確認された論文を撤回するという責任ある対応を取った。この事例は、医学研究における画像管理の厳格さと、査読プロセスにおける画像の検証の重要性を再認識させるものである。また、科学的不正行為が発覚した場合の適切な対応と透明性の確保が、医学文献の信頼性維持に不可欠であることを示している。

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Int J Urol. 2025 Nov 21;