在日本中国大使館は21日、X(旧ツイッター)で、日本など第二次大戦時の敗戦国を対象とした国連憲章の「旧敵国条項」を挙げて「安全保障理事会の許可を要することなく、直接軍事行動を取る権利を有すると規定している」と投稿した。これに対し、外務省は23日、Xで「死文化した規定がいまだ有効であるかのような発信は、国連において既に行われた判断と相いれない」と反論した。
外務省は英語でも反論する投稿を発信している。
中国大使館の投稿内容は「ドイツ・イタリア・日本などのファシズム/軍国主義国家が再び侵略政策に向けたいかなる行動を取った場合でも、中・仏・ソ・英・米など国連創設国は、安全保障理事会の許可を要することなく、直接軍事行動を取る権利を有すると規定している」とする。
旧敵国条項は敗戦国を「旧敵国」と位置づけた国連憲章の条項で、53条や107条を指す。「敵国」に再び侵略行為を働く恐れが生じた場合、各国は安全保障理事会の決議なしに武力行使を行ってよい―などと定める。
一方、旧敵国条項は1995年の国連総会で日本やドイツが提出し、中国も賛成して採択された決議で既に「死文化されている」ことが確認されている。
2005年には旧敵国条項を「削除する決意」を明記した国連総会決議が、中国を含むコンセンサス(無投票での全会一致)で採択された。
これらを踏まえ、日本政府関係者は産経新聞の取材に、旧敵国条項は次の国連憲章の改正に合わせて「削除される」と説明してきた。
ただ、国連憲章の改正を含む国連改革は遅々として進んでいない。石破茂前首相は首相在任中の今年7月の討論会で「国連改革はきちんとやらないといけない。旧敵国条項を軽視してはいけない」と述べ、削除に意欲を示していた。