「ベーシックイングリッシュ」とは?
「ベーシックイングリッシュ」を知る
【Basic English】:イギリスの言語学者C.K.Ogden博士が開発した英語体系で、850語を許可語とし、純動詞16語を除く残りをすべて名詞と形容詞(副詞、前置詞=動詞)に充当し、わずか850の語数にして2万~3万語に相当のFull English(一般英語)以上の英語世界を志向するもの。このため、er、ed、ingなどを付して形容詞化することが多く、日本の英語教育では馴染のないfacing、timed…のような、またover-interested…など-で、-なしでundergoなど合成語を創成すること、unでundependent…など反意語も多用・駆使し、実際には850語を3000~4000語くらいの拡張で使用する。
左から心理学・言語学のC.K.Ogden博士の歴史的名著「The ABC of Basic English」はアメックスのAEELでも使用された。英英辞典「The General Basic English Dictionary」には国内でのBasic English普及、最大の貢献者である室勝ACC講師の詳細な指導書が別途添付、「English through pictures book」は「EP」として馴染まれ、支持者も多く、直接のBasic Englishの教本ではないが、Basic Englishの先導者であり、卓越した書き手でもあるI.A.リチャーズ氏の考案の画期的英語教材であり、Basic Englishを間接的に理解させ得る。
・ベーシックイングリッシュの表記:
英語ではBasic Englishと記すが、日本語では「ベーシック英語」、もしくは「ベーシックイングリッシュ」と記する。“基礎的英語”と誤った解釈でWikipediaなどに記載のこともあり、入門英語、基礎英語と曲解されやすいが全く異なる。また、Basicは、Basicでなく、B/A/S/I/Cの頭文字の集合句であり、英語の意味上の「Basic」ではない。C.K.Ogden博士の公表を機に、同博士は意図していなかったが、広告代理店が考案のそんな宣伝フレーズがそのまま名称となった。
・難易度:
難
個人的にはFull Englishより構造的には高度な英語と認識している。
「ベーシックの方が難しいのではないか…」(東京大学・牧雅夫)
・普及と衰退
Basic Englishは1980年代半ばに絶頂期を迎え、その後1990年の「バブル崩壊元年」に衰退した。普及しなかった最大の要因のひとつには「簡単な英語」という当初の訴求に問題があったと考えている。一見、たった850語で英語が書ける話せるのなら…と飛びついた人は多く、しかし彼らの9割以上は挫折した。理由は明白で、「850語で書ける話す」ではなく、実際には「850語で書く話さなければならない」ことにあった。簡単な単語で、より高度な表現をするのは英語のみならず日本語でも難しい。優れた作家ほど、限られた語で書くものだ。
また1980年代は70年代の激動を脱し、日本の歴史上、最もノホホンな頃で、とても好景気。ハンズ現象、アメリカ文化に若者たちが憧れ、それは駅側のカルチャー・センター、とりわけ「英会話教室」の乱立へと敷衍し、室勝講師のACCもその一翼だったか、数多の人がBasic Englishと向き合ったのもこの時代だった。
しかし挫折の大半の方々は「850語で英語をすることには問題がある、限界だ」と自身への慰めで過ぎていったのも残念なことだ。
・日本での推進者:
室勝大学教授
牧雅夫大学教授
高田力大学教授
・著書
The ABC of Basic English…C.K.Ogden博士
ベーシックイングリッシュ入門他評論社より多数…室勝ACC講師
自信を持って教えるベーシックイングリッシュ2冊…牧雅夫
English Through Pictures Book(EP)…I.A.リチャーズ
別冊「宝島」――Basic English…宝島社編集
ACCテキスト…朝日カルチャーセンター(朝日新聞社内の室先生の特設スクール)
AEEL…アメックス英語講座(The ABC)
ベーシックイングリッシュ連載記事…ジャパンタイムズ社(室先生の執筆)
ABC記法で英語を書く(PDF/Epub版)…by(現在、配布終了中。個人的なことを書きすぎて膨張してしまったので、再販向けに減量中)
・ベーシック訳の小説
蜘蛛の糸…F.J.ダニエル
イリアッド…I.A.リチャーズ
The Gooser…大崎次郎
補足:
ベーシックイングリッシュの特長に、「省略」がある。たとえば、
nobody colors the book cover
誰も本の表紙に色は塗らない
did the picture on the book cover
本の表紙の絵を描いた
のように、日本語の「塗る」、「書く」のような動作行為は相当の名詞のみで賄い、動詞を省く
(Basic English「ABC記法」)。


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