原神世界で不死身のボケ担当がハッピーエンドを目指すのは間違っているだろうか(旧:契約の国で働いてたら過労死したので自由の国に逃げようと思います) 作:ありがとうはなまる
「無想の一太刀」=刀で描いてるます。いちいち打つの面倒なので…ご了承ください。
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永一side
俺の体から粒子が溢れ出し、体に纏わりつく。体に纏われた粒子はIBMのように形を成していき、まるで鎧のように体全てを覆う
「
俺は足に力を入れると、飛び上がるように影様に突進する
「お前の
「同意見です」
(アイツら後でしばく⋯)
常人では到底出すことの出来ないスピードを持って影様に近づき、IBMの鋭利な爪による手刀を放つ
影様は迫りくる手刀を重心を下げ躱すと、手刀で伸び切った腕を刀で切り上げ切断しようとする
俺は、伸び切った腕とは別の腕で刀の軌道を逸らし、IBMの薄皮1枚が切れる程度に抑え、膝蹴りを食らわせるが、腕の前腕部でガードされる
膝蹴りを防御された俺は、バックステップで後方へ少し下がり回し蹴りを影様に放つ。蹴りの直前、脚部部分のIBMを伸ばし蹴りのリーチを伸ばしたお陰で影様の腹にクリーンヒット。したはいいが、吹き飛びもせず少し後ろに押されただけ、あんまし聞いてないご様子で⋯泣けるぜ
俺は少し後ろへ飛び、影様と距離を離し再度突撃、影様も俺と同じように走り出し剣を振るう
影様の放つ剣撃を手と肘で防ぎつつ攻撃を仕掛けようとするが、次第に影様の手はスピードを増していき、残像に加え、ゲリラ豪雨のような剣撃の数になっていく。俺ミンチになっちゃう
「タキサイキア…」
俺は視界全体を覆うほどの連撃の雨に、今からの回避は逆に危険と判断し、集中力を高めポツリと「タキサイキア」*1と零す。
「タキサイキア」と唱えた瞬間、視界に映る全てがスローモーションとなり、先程まで捉えることの出来なかった影様の連撃を微かに捉えられるようになり、天◯飯の四妖拳のように背中の肩甲骨部分からIBMの腕2本を作り、真正面から迎え撃つため掌を広げ捌きの姿勢を取る
神やらそれに近い化け物どもと戦うに当たって動体視力、情報処理速度は必須能力、雑魚ならともかく神様クラスの化け物どもには到底勝てない。なので、俺はその2つの能力を上げるため自分実験*2を頑張った
動体視力に関しては目ん玉引っこ抜いて中のビー玉モドキを弄くって上げただけだから簡単だった。ただ、脳に関与する情報処理速度を上げるのは面倒くさかった。弄ろうにも弄ったらすぐに「リセット」されて何の成果も得られませんでしたー!!
だから俺は面倒だがプランHに移行した。人間の脳の情報処理速度を手っ取り早く上げる簡単な方法は、命をおびやかすほどの危険な目に遭う「タキサイキア現象」を起こすこと*3
だから、俺はその「タキサイキア現象」を意図的に出せるように何度も危ない目に遭って反復させた。崖から落ちたり、水の中で意識が飛ぶまで息を止めたり、首吊りしたりと。今では「タキサイキア」と言葉を発して意識を切り替えるだけで「タキサイキア現象」を起こせるようになった
俺はスローモーションに移る視界の中、迫りくる連撃を全て…は無理なので、身体が行動不能になる脳や心臓以外の部分だけを守るように手と肘を使って刀を捌いていく
手足などはIBMで補強できるため、潰されれば隙ができる脳と心臓、あと肺を確実に死守する。最悪、頭は脳が無事なら頭メロンパンになっても
『変身』する前とは違い、影様メタった防御や回避に加えて、IBMの火事場の馬鹿
それに、『変身』する時に四方に置いたIBMと視界共有してるお陰で360°死角なく影様を見られることで、影様の予備動作を感知しやすくなったのはでかい。
体力が無くなってもIBMを動かして無理矢理動かせるのも助かりポイントの一つだ。滅茶苦茶辛くてしんどくて苦しいのがマイナスポイントだけどな
激しい連撃の豪雨を肩で息をしながらも捌き続け、腹や目、指など無数の欠損と損傷に体がボロボロの血だらけになりながら、俺は影様の刀を振るう軌道にIBMを纏った手を置き、神速で振るわれる刀の持ち手部分をキャッチ
刀を振る勢いが強すぎて、肩の骨が外れ筋肉の筋がブチブチと嫌な音を鳴らしながらも何とか受け止め、連撃を無理矢理キャンセル
連撃が止まり一瞬の隙を作ることが出来た俺は、刀の持ち手を持っていない、指が欠けた拳を握り締め影様の顔面目掛け拳を振るう
しかし、俺の渾身右ストレートは影様には届かず、涼しい顔で避けられてしまった⋯⋯俺の拳はな⋯ニヤッ
「ッ⋯!?」
拳を握る時、IBMで腕に拳をもう一つ付けて影様が俺の拳を避けても殴れるようにしておいた。お陰で影様の頬にはIBMの拳が綺麗にクリーンヒットした
「イイの入ったろ」
一度形が定まったIBMはどうやっても変えることはできない。だが、新しく付け加える事は出来る。やっぱ見えない奇襲はほぼ100%で当たってくれて使いやすい、IBM様々だな
「!⋯とと、拳一発だけじゃあやっぱ目なんて覚めないよな」
殴られた影様が横一文字に刀をこちらに振るってきたのでその場でしゃがみ回避、続けて上から振り下ろされた攻撃を横に飛ぶことで回避しその場から離脱する
視覚共有で振るわれた刀から斬撃が飛び、地面が抉り切られるところを目撃する。怖っ⋯
殴られた頬に手を置く影様だが、殴った箇所にはカスリ傷1つ見られない。綺麗なもんだ、泣けるぜ、体オリハルコンかよ
俺はIBMの爪で頸動脈を切断し自死、体を修復する。意識が復活したら懐から
「無双の一太刀」に限らずIBMは高濃度の元素と相性が悪い。さっきの攻防でもすぐにIBMが剥がされ手指がズタズタになった。影様自身の耐久も想像以上に硬い、流石は神様
「…!…チッ」
体に高濃度の雷元素を纏い、周囲にスパークを迸しらせるバリアのようなものを影様が展開していることに思わず舌打ちが出てしまう
IBMが高濃度の元素に弱いことが影様にバレた。これで、あのバリアをどうにかしない限りIBMでの奇襲はほぼ不可能になった
流石武神、もうIBMの弱点を看破して対応してくるとはな
…仕方ない。できるだけ傷つけたくなくて素手でやってるが、このまま素手で殴り続けても時間の無駄だな
「…スゥ…ハァ⋯」
俺は瞳を閉じ、息を吸い、吐き出す
嫌だが⋯こっからは⋯
「全力でたたかう⋯」
文字通り俺の全てを使ってあんたを倒す
俺はIBMのスペックをフル稼働させて⋯⋯人間性を捨てて影様に挑む
◆◆◆
第三者視点side
「⋯⋯⋯まさか、これ程とはな。確かに、不快極まりない光景じゃな」
神子の見る先、そこは見るのも憚れるほどの無残な光景が広がっていた
「⋯っ!」
「⋯⋯」
無傷の体で無数の斬撃を永一に浴びせる影と、それに短剣一本で迎え撃つ血と傷にまみれる瞳を閉じた永一。そして、その2人の周囲には無造作にこぼれ落ちる人の手や足、血の数々がこぼれ落ちていた
永一は飛び上がり影の顔面に踵落としを放つが、影は腕の前腕部でガード、永一の足のくるぶし部分を掴みそのまま永一を投げ飛ばそうとするが、それよりも早く永一は掴まれていた
足を切断した永一は空中で身を捩り地面に着地すると、切断面から先に義足をIBMで作り、休む暇もなく一直線に影への突撃しようとする
しかし、それよりも早く影が永一に接近し、永一の首を両断。永一の頭と体が離れ離れとなり倒れる⋯はずが、永一の纏うIBMの「自走」によって、首を切られ死んだ永一の変わりに動き出し、飛ばされた永一の頭まで飛び上がり、そのままオーバーヘッドキックを決め、影へと蹴り飛ばす
影は一瞬刀を構えたが、すぐに刀を下ろし飛んでくる頭を回避する。地面に叩きつけられた頭はグシャと音と血を出しながら潰れ、頭を修復しようと首から粒子を出しながら、IBMは頭の修復を待たずに影へと接近し攻撃を続ける
永一たちの攻防を神子は、普段から絶やすことのない笑みを消え、目を細め静かにその光景を見守っていた
「永一の"本気"⋯甘雨の姉君から伝え聞きその強さと異常性は知っていたつもりじゃったが、影と互角以上に渡り合う程とは、噂に恥じない暴れっぷりじゃな」
攻防の最中、永一の懐に潜り込んだ影は永一の腹元に刀を置き、刀を振り上げ永一の胴を上半身と下半身に両断
後ろに回った影はそのまま振り返り、真っ二つにされた永一にとどめを刺そうと雷元素を纏った刀を振り下ろす
しかし、体が両断されようと
上半身だけとなり中を浮く永一は、IBMで下半身を作り止血と移動手段を確保、振り下ろされた影の攻撃に合わせ横一文字に短剣を振るう
振り下ろされた刀同士は激しくぶつかり合うがそれは一瞬のことで、永一の刃は打ち負け剣を持つ手が後ろへ吹き飛ばされ永一の体は仰け反⋯らず、逆に飛ばされた勢いを利用しその場で上半身を右回転、さながら回転コマのように短剣を振るい影へと追撃する
だが、回転コマと化した永一の攻撃は単調極まりないもので、影に攻撃が届くよりも先に影の縦一文字によって短剣を持つ永一の右腕が両断され武器を失ってしまう。しかし、永一は回転も、追撃の手も緩まることはなく、回転しながら残った左腕に纏わせていたIBMを解き、
グチュッ! バギ!!
左腕に纏わせた右腕型のIBMを動かし、本来曲がるはずのない方向へ無理矢理左腕を曲げ影の顔面へと拳を放つ
影は永一の拳をギリギリで避け反撃しようと刀に元素を溜め、拳が来る直前に身を捩ろうとした直後、永一の体で見えなかった変わり果てた腕を見て目を見開き硬直、永一のIBMの拳を避ける事が出来ず顔面ど真ん中に直撃、そのまま後方へ吹き飛ばされる
影に拳を食らわせた永一は回転を止め2体のIBMを出し、下半身と短剣をIBMに回収させ上半身と合体させた状態で自死。体を修復した永一は短剣をIBMの手から受け取り、2体のIBMと供に影へと走り出す
永一の常軌を逸した行動の数々を見た神子は、手を額に置き苦悶の表情を浮かべ呆れたような溜息を漏らす
(怪物⋯端的にアレを表すならこれじゃろうな。痛みを痛みと認識せず、身体の肉が、骨が砕けようと切られようと無くなろうと表情1つ変えない精神性。己の前に立ちはだかる敵だけを見据え、相手が、自身が死ぬまで戦い続ける)
「⋯まさに『
「雷光」
雷元素を高めた影は、3つの雷元素で出来たオブジェクトを設置させ、高雷元素技でIBM共々永一を攻撃しようとする
影の放った攻撃に対処の素振りも見せずまともに食らいIBMは消失、体全体が黒焦げとなる永一だが、それでも尚永一の体は「死」をトリガーに修復されていき、優先的に頭部が修復されたことですぐさま意識が覚醒した永一は、すぐにIBMを纏い「自走」で修復し切れていない体を動かし、迫りくる影の攻撃を防ぎ短剣と拳が合わさった徒手空拳で攻撃を仕掛ける
「同情しよう。五百年側で連れ添った自らの部下の体をその手で幾度となく切り裂き、血や臓腑の不快な臭いをかぎ続けながら、いつ終わるかも分からん戦いをし続けなければいけないのじゃからな⋯」
神子は同情する、愛する部下を斬り続けなければいけない自身の友人に。憐れもう、怪物になってしまった
そして、静かに憤怒する、
戦闘の最中、永一は攻撃の間合い外にも関わらず身を捩り勢い良く拳を振り上げ、影には見えない自身の身長よりも大きなIBMのブロックを殴りつけ影へとぶち当てる
バン!!
「?…ぐッ⋯!?」
永一の行動に警戒していた影だったが、予想外な攻撃に避けることが出来ず、そのままブロックと正面衝突してしまう
しかし、永一がブロックを殴りつけた衝撃音と、ブロックが向かって来ている風切音を聞き、咄嗟に両腕をクロスさせ防御の姿勢を取り直撃を回避していた
ブロックと衝突し後ろへと押された影は見えない攻撃の厄介さを再認識し、すぐに刀で目の前の見えないブロックを両断し目の前にいる永一へと目を向ける
しかしそこには永一の姿はなく、永一は影の死角を突き至近距離まで近づき、影の腹に切れた右腕の切断面を押し当て、左手を後ろに回し影の服を掴み取ると、絶対に離さぬようにと背中からIBMの腕を生成し足、腰に巻き付け万力の力で掴む
影は懐に潜り込んだ永一に刀を突き刺そうと、刀を逆手に持ち替え永一の頭上目掛け振り下ろす
永一はその場から動かず、肩からIBMで腕を生成し刃を受け止めようと構え、自死するため頭に纏っているIBMの形を変え自身の頭を潰そうとする
仮にIBMの腕で影の刀を止められなくても影に攻撃出来るよう、影と自身の周囲をIBM製の壁で何重にも密閉し閉じ込め、
神である影に窒息の概念があるか分からないため、設置しておくサーモバリック爆薬の入った箱の量を3つにする徹底ぶり
永一の頭では影を確実に殺すための算段が淡々と立てられ、そこには人としての情も感情も感じられない冷徹で合理的な殺意だけがそこにはあった
『死ね』
その言葉を永一が言ったのか、思ったのか、或いは両方か⋯永一は目を見開き、それと同時に周囲のIBM全てが飛散した
そして、腕の切断面を影から外すと、影の刀を受け入れ、雷鳴の音と共に永一の体は光りに包まれ、サーモバリック爆薬が起爆した
ーーー!!!!
閃光と共に爆発音が響き渡り、影達がいた周囲は爆炎に包まれ、凄まじい爆風に衝撃波が襲いかかる
影の一撃にサーモバリック爆発によって永一の体はチリも残さず蒸発し、影を監視していたIBMも同様の末路を辿り消え失せ、永一の所持していた短剣や手に付けていた
神子は咄嗟なからも周囲にピンク色のバリアを展開し、迫りくる衝撃波と爆風から旅人(蛍)を守る
「チッ!!⋯加減を知らんのかあのバカは⋯!!」
影達がいた場所にはキノコ雲が発生し、「一心浄土」内は摂氏約5000度の超高温の灼熱地獄に酸素の欠乏した、まさに地獄のような環境になっている
もし、神子がバリアを展開していなければ、思念体の神子はともかく、意識の無い生身の旅人(蛍)はそのまま死亡していただろう。神子の額には一雫の冷や汗が垂れていた
◆◆◆
永一side
「⋯⋯クソだな」
早朝最悪な気分で起きた気分の永一です。やっば人間、一度付いた癖ってのは数百年経っても抜けないもんなんだな、改めて理解させられたよ
影様の腹をぶち抜こうとした時に切断していた腕から復活した俺は、片手を顔に置き、自分のだめさ加減に嫌気を差しながらゆっくりと立ち上がる
周囲は温度が下がってきたとはいえまだまだ熱く、立ってるだけで体全体に高熱の鉛が付いているんじゃないかと思うほどの痛みがやってくる。汗は出ない、喉が焼けて喋れない、何ならまだ酸素が無いからそろそろ意識が切れそう⋯⋯⋯はいリセット完了
神子たちは⋯⋯神子が何とかしてくれているようて無事そうだな。あんなバリア出せるなら加勢してくれてもよかったのでは?
影様は⋯多分生きてるだろう。影様の精神世界であるこの世界がまだ機能してるという事は、まだ影様はご存命だという証拠。安心してよいのか、呆れればよいのか⋯
灼熱地獄の中、全員の安否を確認するため物理的にしわしわになってる目を頑張って使いリセットを挟みながら辺りを見渡す。すると、先ほどまで感じていた肌を突き刺す熱が引いていき、酸素が戻ってきたのか息が吸えるようになっている⋯影様が換気でもしてくれたのかな、だとしたら有り難い
俺はリセットをして、真っ黒に焼かれ所々炭化していた体を直し先程まで来ていたものと全く同じ物に着替え目を閉じる
「すぅー⋯」
息を吸い─
「ふぅー⋯⋯」
─息を吐いて気持ちをリセットする
⋯⋯⋯⋯バカか?
こんな狭んまい場所でサーモバリック爆薬使うとかバカじゃないの?それも適正量の3倍の量って、ホントバカじゃないの?
いくら思考が殺意100%に支配されてたとはいえ、爆殺、窒息狙うってないわ〜、いや合理的ではあるけど限度があるでしょ、ねぇ相◯先生
⋯まぁ、言っちゃなんだが使ったのがサーモバリック爆薬で良かったと思ってる。核爆弾とかあのイカレ物質とか使ってたらこれ以上の洒落にならない事態になってた
やっぱあの姿で本気出すのは控えよう、うん、危なすぎる。今回は影様の領域内だったから良かったものの、最悪稲妻が地図から消えてなくなってたかもしれない、ホント領域様々です
っと、脳内で反省会を開催してたら爆心地から突風が吹き荒れ、先程まであった煙が吹き飛び、その中から外傷の一つも付いていない綺麗な将軍が出てきました⋯⋯⋯⋯⋯⋯無傷、かぁ⋯⋯⋯
まぁ、実際は精神世界だから受けたダメージは「執念」とか「闘志」とか意志次第でどーにでもなるんだろう⋯⋯あれ?じゃあさっきまでの激闘ほぼ無意味⋯⋯と言うわけでもないか
俺はひっそりと命令しておいたIBMから吹っ飛んでどっか行ってた短剣を受け取り、IBMを再び纏い構える
「すぅー…ヨシ……影様、 この戦いの決着、付けようぜ」ニィ
影様は何も言わないが、ゆっくりとこちらに向かい歩いてくる、滅茶苦茶警戒してるが、もうIBMは使わないし奇襲もしない
影様と刃を交えて幾千回、そのお陰で影様を攻略する糸口が見えた。それは、影様を真っ向から迎え撃ち正々堂々打ち負かすことだ
そもそも今してるのは「目狩り令」撤廃を認めさせるために戦ってるのであって、影様の命を頂戴しに来たとかではない。なので、絶対影様を再起不能にする必要はない
それに⋯多分、あの「無想の一太刀」なら打ち勝てると思う
そう思った理由その1、本物の「無想の一太刀」ならもっと元素出力が高い
本来の「無想の一太刀」で放たれる攻撃はもっと重く強く、そして絶対的な力を感じた。だが、あの刀からはそれを感じない。強さは感じるが、いつも感じていた、こう、本能で分かる純粋な力とかではなく⋯何だろうな、とにかく重い圧を感じた、本来の「無想の一太刀」とは圧や質が違っていた
理由その2、纏ってるIBMで多少の攻防が成立したこと
何度も言うが、IBMは高濃度の元素にめっぽう弱い。「無想の一太刀」みたいな元素の塊に触れれば触れた瞬間剥がされる。なのに、あの刀は触れることができる、この時点でおかしい
俺相手に舐めプして出力を抑えてるのか、実力を示せとか上から目線に見て抑えてるのか。いいやそのどちらでもない、影様が勝負事で手を抜くことなんてしない。あの人はいつもこっちのことなどお構いなく全力投球で挑んでくる熱血頑固おバカだ。なら、答えは自ずと見えてくる。出せないんだ
なら影様が持つあの刀は何なのか。これは完全に妄想込みの憶測になるが、恐らくあの刀は目狩り令、果ては自身の信じる「永遠」の成就を成そうとする影様の硬い意思そのものを具現化させ顕現した刀だろう、多分きっとおそらくメイビー
蛍との戦いで、俺が蛍にセコい戦いを教えちまったから「こんな勝ち方認めねぇ!!」とか怒らせちまって刀が出たんじゃないかな、多分
だとしたら本物に誠に申し訳ございません
一歩一歩こちらに向かってくる影様の足取りは普通、だが周囲に放つ威圧感は普通じゃない。元素を感じられない俺ですらなんかヤバイと冷や汗出しながら思うほどの圧
気ならシュインシュイン、JO×2ならゴゴゴゴ、グラップラーなら空間がグニャァしてるほどの圧を感じる
あの「無想の一太刀」を破らない限り、
というか、血生臭い勝ち方以外で影様に勝つ勝ち筋なんてもうこれぐらいしか思いつかないし、なんならもう考えんの疲れた、モンドに帰ってでクレーと一緒にクレープ食べたい⋯⋯!クレーとクレープ⋯!?
互いに刃が届く間合いに入り、影様は刃を上に掲げる上段構えでこちらを狙い、俺は短剣を振り被る振り抜きの構えで迎え撃つ
俺の妄想だとしても試す価値ありだぜ
互いに緊張が走る
動くのは影様が振り下ろしたタイミング、影様の攻撃を利用して俺の攻撃に上乗せさせ、「無想の一太刀」側面にぶち当てて折る!!
タイミングを見極められなければ負ける
さぁいつでもかかってこ パリッ…… ん?
「あっ……?」
何かが割れ落ちる音が近くで、それも今現在手に持つ方から聞こえた
俺は嫌な予感を感じ、読み合いの最中だと言うにも関わらず恐る恐るとそちらを見ると、なんということでしょう空色に輝いていた鮮やかな短剣の刃が無惨にも砕け散ってるではありませんか……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ゑ?
いひか、おれちゃてる
「無想の一太刀」が振り下ろされた
ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑーーーーーーーー!!!!!
どないしよどないしよエライコッチャエライコッチャホンワカパッパー(笑)
現実逃避してる場合かー!!
え?イヒカ折れたんだけど!?…どないせいと?武器無しでアレに勝てるわけないだろいい加減にしろ!勝てるのは花山さんか21歳だけだ!*7いい加減にしろ!
「無想の一太刀」と何度もぶつけちまったから壊れちゃったのか!?それともあの爆発の衝撃で割れちまっとかチクショー!!
蛍に全部任せようとイヒカの方の耐久適当にしたのが仇になっちまった!こんなことなら素材ケチらずこっちも硬度と耐久もっと上げとけば良かった〜!チックショー!(白塗り太夫)
つうかもう振り下ろそうとしてるんだけど?視界がゆっくり見えるし、ここから入れる保険ってありますかアフラ◯ク
考えろ
考えろ!
考えろ!ここから挽回できる策を⋯
考え…!
じ、時間が足りない 間に合わない
しn─
「さらば─」
「「!」」
俺と影様がほぼ同時に聞こえた声、影様と同じ、だが影様とは違う優しさを帯びた声色が聞こえた
もう二度と聞くことの出来ない声に俺たちは声のした方へほぼ無意識的に顔を向けると、そこには影様と瓜二つの女性が立っていた
影様と鏡写しのように似ていた、だが俺も影様も、その人の声で、雰囲気で、その表情で⋯
そこに立っているのが死んだはずの
「無想の一太刀」を振り下ろしていたはずの影様の手が空中で止まり、夢や幻としか言いようのない現象に、脳が処理が追いつかず体が完全にフリーズしていた
だが、それは俺も同じことで、影様の動きが止まり絶体絶命の状況を打開できる絶好の機会が訪れたというのに、目の前にある光景に脳も目も全てが釘付となっていた
何故、どうして、様々な疑問と共に、過去の出来事が走馬灯のように頭を駆け巡る
「永一さん!」
だが、そんな思考を打ち払うように俺の名前を呼ぶ声が聞こえ、ハッと意識が切り替わり反射で呼ばれた方へ顔を向けると、こちらに1つの剣がぐるぐると回転しながら飛んでくるのを捉えた
剣が飛んで来たであろう方へ視線を動かすと、座りながら手を前に向け俺の方を見つめる蛍と目が合った
………ははっ 死人と英雄に助けてもらうなんて、格好がつかねぇな…だがこれで…
「揃ったぜ!勝利の法則がな!」
蛍が投げ渡してくれた剣、カグツチを掴み取り再度構えを取る
重い。持てないほどではない、だが決して軽くないずっしりとした重さが剣から伝わってくる、いやそれだけじゃない
カグツチから見知った奴らの声が聞こえてくる、温かいものが流れ込んできてどんどん力が湧き上がってくる
これが、蛍の背負ってた稲妻の願い、その全てか……デケェもん背負わせてくれるじゃねぇか
俺の変化に、眞様を見ていた影様が気づきこちらに視線を戻す
お互いこれで条件はイーブン。後は、俺が決めるだけ。どっちの背負ってるもんが強いか勝負しようぜ神様、今の俺は─
「負ける気がしねぇ!」ニィ
俺の体から黄色いオーラが
俺と影様の視界が交差する─
「「無想の一太刀」は一度も敗れたことのない雷神の放つ完全無欠の最強の一太刀、稲妻の力の象徴。言い換えれば「無想の一太刀」を打ち破ればあんたは俺
先程のことなど忘れたかのように、眼前にいる敵だけを見据え─
「「無想の一太刀」も、長い長い「永遠」の誓いすらも、稲妻の民に変わって俺がはっ倒してやるよ!」
手に、足に、体全てにありったけの力を込め構える
これが、正真正銘この戦い最後の一撃!行くぜぇ!!
「寂滅の時!」
「常道を恢弘せしは永遠なる鳴神なりぃぃぃ!!」
互いの刃を相手へと放つ永一と影、刃同士のぶつかる激しい衝撃音と共に衝撃波が発生。身に溢れるエネルギーが刃同様ぶつかり合い、「無想の一太刀」の放つ元素によって永一の身に纏っていたIBMが全て剥がされ無防備になってしまう
クソッ!本来計画していた側面攻撃が防がれた、こうなりゃあ何が何でもこの鍔迫り合いに勝つ⋯⋯!
「無想の一太刀」と打ち合い鍔迫り合いになった瞬間、俺の脳内に自身のではない記憶とは違う感情のようなものが流れ込んできた
悲しみ、怒り、後悔、喪失感、絶望、焦燥感、覚悟、そして迷い。流れ込んでくる感情は、どれもマイナスな感情しかない。この刀には悲しい感情しか乗っていない
「⋯そうか、影様。あなたはこの「一心浄土」の中で、ずっとこの感情と戦ってたんだな。そして、あなたは自分の抱える感情に負け、稲妻に「永遠」の繁栄を齎す、という「大義」を掲げることでしか歩けなくなっている」
「…!」
「負の感情に負けたあなたは「永遠」を急ぎすぎた。目狩り令をして、民が反逆を起こすことなんて、普段のあなたが気付かないはずがない。視野が狭まりそのことに気付かなかった、気付いたとてそこからこぼれ落ちる命を犠牲として切り捨てる、手っ取り早く簡単な方法で稲妻に「永遠」を齎そうとした」
「あなたは、大事な人たちを亡くして、自分の掲げる「永遠」を見失っている!」
「…ギリッ…貴様に、キサマに!何が分かる!!」
影の触れられたくない部分に踏み込んだことで影は、怒りの声を上げ、体中から元素を荒ぶらせ目を見開き鋭くなった眼光で永一を睨みつける。
影の怒りと呼応するように影の持つ刀の光が強まり、刀を持つ手に力を籠め永一の刀と永一自身を押し込んでいく
「ぐぅぅぅ!!!」
「大事な物など失ったことの無い貴様が!私の何を知っている!!」
「ぐぅぅ!うるぁぁ知るかぁぁ!あんたはあんた、俺は俺だ!」(# ゚Д゚)クワッ!!
「俺はただ雷電将軍みてぇに「永遠」のことしか考えてねぇ今のあんたが嫌いだ! 少しは周りを見ろ! 500年1人で考えてこんな馬鹿なことしか思いつかないこの引きこもり
「何ッ…!」
「お前が、お前自身が自分の守りたいもん切り捨ててどうすんだ馬鹿野郎!」
「お前にとって、稲妻に住む「民」は守る対象じゃねぇのか!!」
「!」
「国が「永遠」になればそれで満足かよ!そこに住む民が全員死んでもお前は自分の「永遠」が成し遂げられたと心から言えんかよ!」
「いい加減、失ったもんばかりに囚われてんじゃねぇ!」
永一の力が徐々に強まっているのか、永一の言葉に動揺し影の力が徐々に弱まっているのか、劣勢になっていた影との押し合いに徐々にだが押し勝ってきていた
「……っ!」
「そろそろ起きやがれ!バアルゼブル!」
全身全霊持てる全ての力を込めた永一の一撃は、拮抗していた影の刀を押し返し、そして─
ガン!!
影の刃が、
「ふぅ⋯貴方は強かった。けどな、俺には死ぬほど強ぇ味方がいっぱい付いてるんだぜ⋯俺にはその刃は届かねぇよ」
「「無想の一太刀」攻略完了だ」
「………不死川永一、よくぞ私を打ち破りました」
永一の勝利宣言を気に無想の一太刀にヒビが入り─
「…………あなた達の勝ちです」
そのまま中心部分から真っ二つに折れ、持ち手部分が地面へと落ちた
これにて、稲妻における神と人間の戦いは終幕を迎えた
────────────────────
永一メモ
昔、自身の火力不足を嘆いた永一は現代兵器を作ろうとテイワット中の物質で実験し、ある程度の量の現代兵器を作り保持している。実験の最中、予期せぬ物質を作り上げてしまい処理に困っている。
・「アビスの天敵」
厄災の際、アビスの瘴気に触れようと正気を失わず、《ref》《傍から見たら効いてないように見えるだけでただ死んでリセットしてるだけ/ref》アビスを殲滅していたことから名付けられた二つ名。主に璃月でその名が広まっている。
・不可視な殺意(アーテル・ペッカートル)
纏ったIBMのデザインは、プレーン体とそう変わらない、肘と膝それと踵が尖っている程度の差です。
(詳しい内容は別で書いて出します。)
・心集結・刹那一閃(ルクス・モーメント)
稲妻の人々の「願い」を背負い、その力を剣に集約して放った技
没案
「乱れ夢幻の刹那一閃」
相手に対する様々な思いを込めて放つ、和風の突き攻撃。瞬間的な一撃で、相手の心に深く響く攻撃。
必殺技名:「心集結・一閃」 特徴:色んな人の想いが集まり、突き攻撃として放たれる。効果範囲は狭く、一撃で敵を貫く高威力の技。詠唱は日本語で行われるが、その力は人々の心の結集から生まれる。
AIメーカーに決めてもらいました。センスがなくて困ったもんだよ
この戦い、実は影も永一も本気で戦ってないんです。本人たちは本気で戦っているようですが、永一はそもそも全力の振れ幅が相手を殺すか殺さないかでぶっ壊れてるので力や戦略がセーブされており、影本人は全く気付いていないけど「無想の一太刀」の出力を無意識に抑えて戦っていたんです。(最後の押し合いは除く)
お前ら初期 更◯剣八と黒崎◯護かよ(手加減VS手加減)
稲妻編もうちょっとだけ続きます。
タイトル元ネタ:鬼滅の刃
稲妻編終わったら何編しよう
-
そのままスメール編
-
回れ右して璃月編
-
そんなことより番外編(茶番)
-
まさかの過去編