原神世界で不死身のボケ担当がハッピーエンドを目指すのは間違っているだろうか(旧:契約の国で働いてたら過労死したので自由の国に逃げようと思います) 作:ありがとうはなまる
お久しぶりです。今日は雷電将軍戦前編です。ギャグを入れる隙がなく面白いか分かりませんが、見ていってくれたら嬉しいです
永一side
抵抗軍の前進を止めようと向かっくる幕府兵士をなぎ倒しながら、俺達はやっとの思いで神像近くまで足を運ぶことができた。ちょっと兵士多くね?
その時、雷鳴が鳴り響き雷が降り注いだ
天気が悪くなってきたな、これは……稲妻最終決戦が近づいてきたな。ちょっとテンション上がってきたな…………テンション上がりますねぇ!!
いきなりの落雷に驚く抵抗軍兵士を落ち着かせ、俺達は稲妻城の門前までたどり着く。ゴロー曰く、稲妻城周囲に雷神の元素が尋常じゃないほど漂っていて圧迫感を感じ毛が逆立つらしい
元素を知覚できないから感知できないけど、確かに休日終わりの早朝出勤みたいにちょっと空気が重い感じがする
今スカウター(4話参照)使ったらあの迷シーンできるかな ドキドキ*1
「みんな…永一さん…」
すると、門から少し辛そうな顔をする蛍がやってきた。俺たちのことを視認してどこか安堵した表情を見せる。だけど、ここは天下の雷神のお膝元…
バチッ
一瞬、そして一閃
蛍の後ろから突然現れ、「無双の一太刀」を振り下ろす威圧感か遠近法かで大きく見える雷電
その光景にゴローや抵抗軍兵士、そしてこれが起こることを知っていた俺も動けずにいた
だが、ここにはいる。旅人である俺(ユーザー)たちが主人公と呼んだ男がここにはいる!や〜っておしまい!
ガキン!!
「っ!!」
『『『!』』』「…」ニッ
蛍に振るわれた「無双の一太刀」を受け止める男が1人。楓原万葉、原神屈指の主人公してるキャラ
万葉の身につける友人の形である光を宿さない神の目が、友人の助けたいという「願い」を叶えるため、紫色の光を放ち一時的に神と拮抗できる力を与えた
このシーンは全旅人ユーザーが心動かされた名シーン。俺も初見の時は興奮、はあんまりしなかったけど鳥肌は立ってたかな、多分…
「うぉぉぉあああ!!」
万葉は2つの元素を纏った剣を持つ手に力を入れ、振り下された神の一撃を押し返す─
キンッ!
─はずが、何故か万葉の刀は両断された……
は…?
雷電将軍はしたのは至ってシンプル、より強く「無双の一太刀」を振り下ろしただけの力技である
神と拮抗できる力を一時宿したところで、たった1人の人間が神の力に勝てるわけがなかった
雷電将軍の神技(力技)によって無防備になった万葉に、旅人同様「無双の一太刀」を振り下ろす雷電将軍
今度こそ驚きの表情を出す永一だったが、横目で捉えた1つの人影を見て、すぐに笑みをこぼした
ガキン!!
良かった、本当に良かったぜ。保険を連れてきてな!
「くっ!」
「お主…!」
絶体絶命のピンチ、そこに俺が連れてきた黒装束じみた格好の男、
「ぐっ!!」
しかし、神の目を持っていた万葉のようにとはいかず、「無双の一太刀」の一撃の前に押されていき、付けている仮面に傷を付ける
「ぐぅぅぅ!!返してもらうぞ!万葉ぁ!!」
そう勇が言うと、万葉の腰部にある神の目が独りでに動き、男の方へ飛んでいく。すると、本来授かった本人しか使用することの出来ない神の目が光だし、勇に雷元素の力を授ける
「!」
「ぐぁぁぁああ!!」
驚愕の顔に包まれる万葉を他所に、勇は雷電将軍との鍔迫り合いを続ける
神の目によってフィジカルと元素力を身に着けた勇は、雷電将軍の「無双の一太刀」の前に食らいつくが、食らいつくだけで必死の様子、このまま行けば万葉共々両断されるだろう
このままじゃ不味いな
俺は懐から刀を取り出し、勇の方へ投げつける
雷電将軍が万葉と同じく勇の刀を両断するため力を入れた瞬間─
ガキン!!
「やらせん!」
俺が投げた刀をキャッチした万葉が、剣に風元素を纏わせ、勇と一緒に雷電将軍の一撃を防ぐ
2人で雷電将軍を、「無双の一太刀」に真正面から挑むその姿はまさに物語の主人公のようだ。やっぱお前らカッコいいぜ、主人公しすぎだろ
「「うぉぉおおあああ!!!!」」
2人の叫び声にも似た咆哮と共に繰り出された2種の同時元素爆発によって「無双の一太刀」を押し切り、雷電将軍を後方へ押し返すことに成功した
パキリ
「無双の一太刀」によって付けられた傷と、先程の元素爆発の衝撃によって勇の仮面全体にヒビが入り、ポロポロと仮面が崩れ落ちる
唐突だが豆知識を披露しよう。勇の付けてる仮面に彫られた花の名前はキンセンカ。花言葉は「再生」、再び力を発揮するという意味を持つ花。死に損なって今日の日のために鍛錬してたあいつには
「やはり、お主だったんだな…生きて、いたのだな……生きていてくれて、いたのだな……◯◯(勇の本名)」
「あぁ…未練が沢山ありすぎてな、黄泉の国から這い出てきた」
涙ぐみそうな顔と声で、かつて失ってしまったと思っていた友人と再開した万葉と、その万葉を見て微笑む◯◯(勇の本名)、と、俺の後ろで号泣してるゴロー君たち。君たち、気持ちは分かるけどちょっと抑えような、ここ一様戦地よ?
涙腺崩壊待ったナシの友人同士の感動の再会。だけど、そんな事などお構いなく「無双の一太刀」を2人に振り被る雷電将軍
だけど残念、もう対策してる。俺は2人の体に纏わりつけていた亜人産の粒子で作った鎖を引っ張り、迫りくる「無双の一太刀」を回避させこちらに引き寄せる
「せっかくの感動の再会だ、そこにちゃちゃ入れるなんて、人の心ないんか?…無いか、今のあんたは、ただ薄汚い「永遠」を追いかけるだけの人形、なんだからな」
雷電将軍の後ろに紫色の輪っかが出て来て、目が若干、というか滅茶苦茶鋭くなって俺を睨んでくる。何も言わないが、あれは激怒だな
「おーこわ、追い求める「永遠」をバカにされて怒ったか?だけど残念、お前の相手は俺じゃない」スッ
俺は上に指を差し、雷電将軍もそれにつられて上を見上げる
「はあぁぁぁ!!」
そこには滅茶苦茶カッコいいどデカい雷元素の剣を振り下ろす蛍がいた
雷電将軍は蛍を視認すると目を瞑り、神像でやった領域を展開し蛍を閉じ込め、2人は姿を消す
「っ!?…将軍と旅人は…」
「安心しろゴロー、ここまでは若干アクシデントはあったが概ね計画通りだ」
「いたぞ抵抗軍だ!捕らえろ!」
後ろから幕府軍の兵士たちが向かってきている。まだいたんだ、仕事熱心じゃない
「お前らは向かってくる兵士をできるだけ倒して、旅人(蛍)が帰ってくるまでここを死守しろ」
「おまえらって…永一さんは何をするんだ」
「俺か? ふふ… 旅人(蛍)のとこに行く準備」
「ゴロー、万葉、勇……いや◯◯、そして抵抗軍兵士たち、よく聞け!ここが最終決戦だ、英語で言えばファイナルラウンドだ。旅人(蛍)と雷電将軍、そのどちらか勝者が稲妻の未来を決定する。だが、英雄といっても所詮旅人(蛍)も人間だ、神に勝つなんて「奇跡」でも起きない限り無理だ」
「だから、『願え』、旅人(蛍)の勝利を。思い出せ、自分が神の目を授かった時の『願い』を。そして、想え、今最も叶えたい『願い』を、「神」に願え!」
「1人1人の願いはちっぽけでも、大勢の願いを束ねれば、神に匹敵する願いになる。そうすれば…俺達は勝つぜ」
俺は翼型IBMを出し、その場から離脱する
さてさて、俺も久しぶりに"本気"出すか
◇◇◇
蛍side
「くっ!」
雷電将軍(いや影だったかな)の薙刀による一撃を剣で受け止め、鍔迫い合いをする
万葉や見知らぬ人に助けられ、雷電将軍の「無双の一太刀」の一撃から逃れられた私は、万葉たちが作った隙をつき雷元素を最大出力で振り下ろした
だけど、雷電将軍が目を瞑ると、以前千手百目神像の前で雷電将軍が出した黒いドームが広がっていき、雷電将軍の姿が消え、標的を見失った私は攻撃を中断するのを余儀なくされた
永一さんによればこの現象は領域展開と言うらしい。呪術◯戦の呪いの王と目隠し先生、あと頭富士山が使ってたアレと近いらしい
その中で雷電将軍の本体である正真正銘の稲妻の神と出会い、ファデュイの陰謀を話し目狩り令の撤廃を申し出たが断られ、今現在力尽くで「論破」をする羽目になっていた
鍔迫り合いを行いながら将軍に向かい膝蹴りを放つ。しかし、薙刀の柄部分で止められ、更に残った私の足に足払いをかけバランスを崩され後方へ倒れてしまう
倒れて空中にいる状態の私に将軍は薙刀で刺突を繰り出すが、私は体を傾けギリギリで薙刀を回避、お返しとばかりに剣を将軍に突き立てるが素手で止められ、そのまま横へと投げ飛ばされた
投げ飛ばされた私は、風元素を操り勢いを相殺して地面に着地、将軍と距離ができ息を整える
が、息つく間もなく将軍は高速で距離を詰め神速の連撃を仕掛けてくる
雷電人形のお陰で、前回よりも将軍の動きが見え、対応出来るようになっていて前回よりも戦うことが出来ている
けど、決定打が無い。力、速度、技、元素力、全てが私の完全上位互換、唯一将軍に勝っているのは元素が3つ使えることと、予め動きが予測して攻撃を回避できることぐらい
けど、元素は当たってもそれほどダメージを受けている様子もない。「淑女」に使った2つの元素を混ぜた攻撃は、威力はあるけどまだ練習中でどうしても「溜め」が必要になってくる、雷電将軍にそんな隙は晒せない。回避も体力が尽きれば終わりだ
私は雷元素で後方へ移動し将軍との距離を空け、助走をつけ飛び上がり、岩元素を乗せた重い剣を将軍目掛け振り下ろす
しかし、岩元素を乗せた剣はあっさりと将軍の薙刀で受け止められ押し返されてしまい、私はそのまま後方へ吹き飛ばされ片膝をつく
将軍の防御を突破出来ない。このままじゃ……ん?何、これ…
私が将軍の強さに軽く絶望していると、突然懐が光出した
まさか。そう思った私は、懐から神子から渡されていた御守りを取り出すと、やはり御守りからピンク色の光が放たれていた
「なんじゃ、今さら思い出したのか」
すると、私の横からいつもの笑みを浮かべる神子がいきなり現れた。どうやって…
「神子、これはあなたの計算ですか…」
「ふふ…意識を物体に憑依させる技…誰に教わったか忘れたとは言わせぬ」
なるほど、この御守りには神子の意識が入っていたのか。それで私がここに入ってこれたから神子(意識体)もこうして出てくることが出来た
良かった神子が物に憑依してくれて、神子と呪術◯戦やナ◯トみたいな同居生活は嫌だし
「もしや汝、己の願いだけで影の意思に勝てるとでも?汝はここにいるが、「彼ら」の願いはとっくに汝に宿っておる」
最初、神子の言っている意味がよく分からなかったが、よく耳を澄ましてみると誰かの声が微かに聞こえることに気づく
この声は…前に千手百目神像の前で聞いた神の目を持っていた人たちの願いの声
「じゃから、目を閉じるがよい」
私は目を閉じ集中する。ある男性の願い、ある女性の願い、幕府軍、抵抗軍、稲妻に住まう老若男女全ての人々の願い…そして、親友の願いが聞こえる
疲労していた体に力が湧き上がるのを感じる。元素力とは違う、もっと純粋で温かい力が私を包みこんで力を貸してくれている
私は起き上がり、将軍、いや影のことを正面から見据え"私達"の『願い』を口にする
「『目狩り令』を廃止してほしいです!」
私たちの『願い』を聞いた影は、何も言わない…けれど、「淑女」を殺した時に出した元素で出来た輪を背に出現させ、高濃度の雷元素を放ち光り輝く眼光でこちらを睨んでくる
影の目を見て、影の言いたいことがなんとなく分かった。あれは「『願い』を叶えたければ私を打ち倒してみなさい」と言っているのだろう
目は口ほどに物を言うとはよく言ったものだ、確かによく分かったよ
今の私の力は、稲妻に住まう人々全員の力。その力で私は、私達はあなたの「
私は剣を持つ手に力を入れ構える、影も薙刀を構え私と影の視線が交わる
私は足に力を入れ、影との距離を詰めようとする
もぞもぞ
が、走り出そうと瞬間、何かがもぞもぞと動くのを感じ、私は足を止めて懐から発生源を探し出し取り出す
?これは、永一さんから貰った御守り…っ!
もぞもぞと動く原因だったが永一さんに貰った御守り、それがよりもぞもぞと動き出し不気味に思った私は、つい床に落としてしまう
私は戦闘中だということも忘れ、落とした御守りを拾おうとするが、永一さんの御守りが突然破け中から人の指のような物が飛び出すのを目撃し伸ばす手を引っ込める
物は徐々に指になり、腕となり人の形を形成していくのを見て、私は後方へ飛び御守りとの距離をとる
そうこうしているうちにも謎の物体は拡大していき、やがて全裸の男の人となりその場に佇んだ
「真打ち登場だよい」
「永一、さん…だよね」
「あん?どこからどう見ても永一さんだろ?」
明らかに違う、いやよく見れば面影はあるが身長が前より伸びてるし少し老けている
今までの永一さんが10代ぐらいなら今の永一さんは20代後半ぐらいで大人びている……正直、滅茶苦茶カッコいい、すき*2
「服を着んか阿呆」
「あ、そうだったわりぃわりぃ」
どうやったのか服を一瞬で着た永一さん⋯⋯写真…取り損なったな(片手に写真装備)
永一さんの服は全身黒で統一されていて、首の後ろに帽子のような被り物が着いた服に、永一さんが付けなさそうな
「……お久しぶりです影様」ペコ
「……永一、やはり生きていましたか」
「どうやってここに?」
「ちょっとした"裏技"さ、神子とは違うな」
「⋯」
永一さんが影に頭を下げている。その姿には影に対する敬いの心が感じられた
前にトーマから永一さんが影の部下というのは聞いていたけど、こんなにキッチリとしたお辞儀を永一さんがしていることに私は驚いた
璃月で会った元上司である凝光には、敬うどころか逆に無礼な対応をとっていた。なんなら攻撃してた、それも相当の私怨を感じた*3
凝光さん、永一さんに何をやったんだろう
さてと、思いを馳せるのはこのくらいにして……
「永一さん」
「ん?どうした蛍」
「何でここに来たの?」
「え?何でってお前が心配だから」
「……永一さん、私とジンの約束を覚えてる?」
「覚えてるぞ?確か…「必ず無事に帰ってくる」と「危険なことはしない」とかだったかな」
「じゃあ何でここに来ているの?この状況は約束を破っているんじゃないかな」
「…」
「何か弁解はある?永一さん」
「………いいか蛍、世の中にはこんな言葉がある」
「ルールは破るためにある!」ドヤッ ガシッ 「ぬおぉぉぉ!!」
今日はいつもより強めに握る。いつもいつも永一さんは約束は守るって言っておいて、守ったことなんて数回ぐらいしか無い
永一さんはただでさえ元素が扱えなくて弱くて死なないからって自己犠牲癖がある人なんだから、こんな危ない場所に来てほしくない。そんな私の気持ちを永一さんはちっとも分かってくれていない
今日という今日は許さない、罰として抱き枕の日を増やしてやる
私は永一さんから手を離して考える。永一さんがどうやってこの場所に来たのかは分からないし、考えたところで多分私じゃ分からない方法で来たのだろうから考えるだけ無駄、永一さんをどうするかを考えないと
外に連れ出す、は無理。影を倒すか説得でもしないとこの領域からは出られない
なら、残された方法は永一さんを守りながら影と戦う、これしかない
「はぁーー……無茶はしないでくださいね」
「ふ、ふぁい アタマ クダケルカトオモタ」
私は深い溜息を付き、永一さんの残留を許した。凄く嫌だけど仕方ない、帰ってと言っても帰れないのだ。現状これを言うのが精一杯だ、効果があるか分からないけど
「……また」
「イッター顔凹んでないこれ?…あ?何か言いましたか?いくら俺でもアイアンクローされたばっかでその声量は聞き取れませんよ」
「また、あなたは私の前に立ちはだかりますか…無駄だと知りながら、私に殺されに来ましたか」
「無駄かどうかは俺が決めることだ。それに、稲妻を出る前俺は貴方に言っただろ、「とびきりの英雄を連れてあんたを叩き起してやる」ってな」
「神の目とはその人の希望や夢、生きる意思が詰まった物だ。それを奪われるということは生きる理由を奪われることだ」
「生きる理由のないものは道を見失い、足を止め、停滞し、ゆっくり「死」を待つだけだ。そんなもん、
「あんたの「永遠」が昔と変わらず灰色一色なら、俺達が色を付けてやるよ、鮮やかでつい目を閉じちまうぐらいの明るい夢でな!」
影の眼光がより鋭く光り輝き、永一を睨みつけた
◇◇◇
永一side
最終決戦場からこんにちは、永一さんですというわけで喰らえぇぇい先手必勝ー!
「作戦ターイム!」
「認めましょう……あっ」
「え?」
「ふふん 昔、影様と将棋や
それでも大体負けるんだが、まぁそれは言わなくてもいいか
「ま・さ・か〜〜稲妻を統治する絶対神である影様がぁ、一度口にした事をぉ↑取り消すなんてぇ↑ダッッサイマネェ↑しないですよねぇ〜↑!」
(う、うざい)
「うわっ、うっざぁ」
「………いいでしょう。少しの猶予を与えます」
「言質取ったりー!じゃ、蛍あっちで作戦会議だ」
「えぇ⋯あの、さっき私、これから稲妻中の願いを背負って戦おうとしてたんだけど、えぇ⋯」
「気持ちは分かる。けどな、考えずに突っ走って勝てるほど影様は弱くない。今のお前は皆の願いの力で影様と戦える程度に強くなっただけだ、必ず勝てるまで強くなったわけじゃないんだ」
「石橋は叩けるなら叩けるだけ叩いて一歩一歩慎重に安全縄付けて渡れ、それかもっと安全そうな橋を見つけて渡れ。それらが無理なら力技で空走れるぐらい強くなれ*4」
いや、慎重すぎだろ!!
パイモンのツッコミが聞こえた気がするが、「一心浄土」にパイモンはいないし俺の幻聴だろう
「だから⋯はい、蛍」
俺は懐から剣を取り出し蛍に渡す
「これは⋯?」
「俺が丹精込めて作った
どこを略したらそうなるんだよ!!
⋯またパイモンのツッコミが聴こえた。もしかしてあいつ、遠隔ツッコミにでも目覚めたか?だとしたらやりおる。ビ◯ティさんとぱっつぁんの次にだがな
「で、俺が持ってるのが
ちなみにカグツチとイヒカは日本神話の炎と氷を司る神様の名前だ。この武器の性能にピッタリだったんで付けた、いいセンスでしょ最高でしょ天才でしょ
「これは今から言う作戦に使う大事な物だ、作戦としては─」
俺は蛍に作戦事項を全て伝える。段取りや手段、注意事項等など、影様と神子に聞こえない程度の声で話す
神子に話さないのは神子に知られると神子の表情で作戦がバレるかもしれないのと、使うのが俺の奥の手の一つだから個人的に神子に教えるの嫌だという精神的なもの
「!?そんな事ができるの!?」
「出来る。だが、俺は影様と真正面から戦えるだけの力はないから、お前のサポートに注力する。お前はただ真っ直ぐ影様のことだけ考えて戦え、それ以外は俺が何とかしてやる」
「……分かった。永一さん、本当に無理はしないでね」
「あぁ、お前がミスんない限り俺は無茶しねぇ…⋯お待たせましたね影様、こっちは準備万端です」
蛍と俺は赤と橙色の剣カグツチと、白と空色の剣イヒカをそれぞれ手に持ち、影様に構える
「「⋯!」」
始まりの合図がある訳もなく、気がつくと蛍は俺の横からいなくなり影様に切りかかっていた
影様も蛍の攻撃に対応し受け止めていて、俺だけが何の対応も取れていなかった
いや、仕方なくね?いきなり合図なくスーパーカーが通り過ぎてスーパーカーの車体に書かれた番号を答えよ、って言われてるような無茶振りよ?当事者にとって
蛍の攻撃は続き、影様に連撃を叩き込んでいる
蛍に渡したカグツチの性能は、通常攻撃を炎元素に変化させる、分かりやすく言うと完凸ベネットの元素爆発効果だ。しかも装備したら攻撃力とか会心率とかがアップするおまけ付き
蛍たちの攻防を見る感じ押し合いでは若干蛍が勝ってるな(やっぱ同じぐらいかも…)、それに影様が常に纏っている雷元素にカグツチの炎元素が反応して過負荷反応が起きてる、これなら予定通り"アレ"ができるな
俺は剣と薙刀の激しい攻防戦から一歩引いた場所から、蛍と戦っている影様の隙を突き腕に糸を投げつけ巻きつかせ引っ張り上げる
「!」
俺が影様に投げつけた糸は特別製、アルベド先生の計算だとこの糸の上にヒルチャール王者が数体乗っても切れないほどの強度を誇る。当然防電性なので電流がこっちに流れる心配なし
糸によって片腕が引っ張られている影様に、透かさず剣を振るう蛍
しかし、影様は片手に持った薙刀を手先だけで回転させ、腕に絡まっていた糸を切りながら、振り下ろされた剣を遠心力と片腕の腕力で受け止め流し対応した
武術に関しては本当にイカれた技術と思考速度してんな。いつもはポンコツ箱入り娘なのに
「雷光」
蛍の攻撃を流した影様は蛍を蹴り飛ばし、雷元素を高め「一心浄土」内に3つの雷元素で出来たオブジェクトを設置させた
当たれば大ダメージ必須の雷元素範囲攻撃、元素を持たない俺を放置して、蛍に肉薄しオブジェクトの破壊を阻止している
蛍も影様の連撃の対処に手一杯の状態。確かにこれはピンチだが、俺を放置は悪手じゃろ神ん子
「っ!?」
「沙羅から報告されてなかったか?永一は元素を付着させる玉を持ってるって」
3つの雷元素のオブジェクトに炎と氷の元素玉を当て、雷元素範囲攻撃の強制キャンセルに成功。そのまま影様に近づき剣を振るうが、当然防がれ剣と薙刀の間に超電荷が発生
蛍も影様の後ろを取り剣を振るうが、影様は俺を吹き飛ばし、振り返って蛍の剣を振り払う
が、蛍は振るわれた薙刀を重心を下げることで避け、影様の腹部へと剣を突き立てる
が、影様、それを間一髪で躱し腹部の服と通り過ぎる剣の間に小さな火花が発生する。剣が当たって切れなず火花飛ばす服ってどうなのよ、鉄着込んでんの?
あと が が多いんじゃぁ!、もっとゆっくり戦えぇ!*5
互いの攻撃を避けた蛍と影様は、互いに距離を取り体勢を立て直し再び人外合戦を始める
俺の動体視力ではもう見えない次元で戦っており、色んなところで過負荷による衝撃波を発生させている。見えないけどこういう高速戦闘はテンションが上がる、ドラゴンボ◯ル見てるみたいで
こうなったらもう俺のできることは影様が時々出すオブジェクトを破壊することしかやることがなくなってしまう
けど、もう少しかな…
俺はその場でしゃがみ込み、体中から粒子を出す
ここで自分語りのターンだ。俺は亜人の出す粒子やIBM、それと自分自身の身体を長年実験していた。その過程である面白いことを知った
それは、亜人の出す粒子がこのテイワットに存在する力の源と言っても過言でもない元素と反発するということだ
亜人の出す粒子と元素は水と油、N極とS極のようにどういうわけか交わらず、めっぽう相性が悪い
そこで、
Qもし粒子がパンパンに入った空間で元素反応をしようとした場合、どうなる?
答えは─
「なっ!?」
戦闘中、元素を高めていた影様の元素が空中に飛散する
─
「はぁ!」
「…ぐっ!」
旅人の横一文字の一撃が影の横腹に直撃し、「一心浄土」に来て初めてのダメージを影へと与え、横へ吹き飛ばす
今「一心浄土」内は俺が出した粒子でパンパンになっている。この空間内では粒子が元素発動を邪魔して元素反応が使えない。さながら満員電車のように
例え神であっても容易に元素技を出すことは出来ない。それは鍾離との実験で検証済みだ
最も、本気出した鍾離の元素爆発は粒子を跳ね除けて発動していたが*6、鍾離曰く「この空間内で元素を扱うのはかなり骨が折れる。俺も七割以上の力を出さなければ扱うことができなかった。実に面白い力を持っているのだな」とのこと。流石神、圧倒的強者にしか許されない発言、コメントも神がかってたわ
この粒子ばらまき作戦は蛍に伝えていた。あの攻防の中、俺のしゃがみ込み合図に気づき、影様に一発重い一撃を食らわることに成功、したのだろう
というのも今この「一心浄土」内は俺の粒子で一杯だから蛍と影様が一体何をやってるのか全く分からない
粒子がパンパンになって影様の驚く声が聞こえた直後、何かが吹き飛ぶ音が聞こえたのでこの考察は合ってるだろう
こっちは過負荷反応の音と剣同士がぶつかり合う音ぐらいしか聞こえないが、あっちはクリーンな視界で戦えるし、後は蛍が影様の薙刀ぶっ壊して勝つだけだ
ん?どうやって薙刀を破壊するかって?それは簡単なことだよおじいちゃん。蛍は影様と斬り合う時、同じ場所をずっと攻撃し続けていたのだ。いくら神特注の薙刀といっても耐久値は存在する。そのゲージを減らすため、俺は炎元素と氷元素が宿った耐久鬼高の武器を作ってきたのだ
あれだけボコスカ切り合って同じ箇所に過負荷攻撃叩き込んでたらそろそろ砕けるでしょ
バキっ!!
とか言ってる内に砕けたわ……わぁ 薙刀の砕ける音ぉ〜!
薙刀の砕ける音がしたことで、この戦いが終わることを察した俺は、蛍の雄姿は見えないが、この戦いの決着がつくと思った
だが、次に起こったことはどちらかの勝利宣言ではなく、凄まじい元素の高まりだった
瞬間、黒一色に包まれていた俺の視界に色が戻り、俺は混乱の嵐に見舞われた
何だ!?「一心浄土」内の粒子が全部掻き消えたぞ!?それになんだこの元素圧…!?蛍は無事、か…!!?
粒子が消え、クリアになった「一心浄土」。その中央には肩から腹部まで斜めに体が切り裂かれ流血し、倒れようとする蛍と、「一心浄土」に本来あるはずのない
─────────────────────────
永一メモ
亜人の出す粒子は変幻自在。どんな形にもなり、どんな時でも生成でき、どんな物体をも分解する。
千葉ノ勇の名の由来
楓原万葉の友人→無双の一太刀で両断されて死んだことになっている
万葉の友人→両断されて万が千に→千葉の友人→人として死んでいるので消去→千葉の友→千葉ノ勇
万葉の友人の服装は、PVとかで来ていた服に葬式などで着る礼服や喪服を意識した色をしています。
「一心浄土」粒子パンパン作戦。密閉された空間でしか使えないが、嵌まれば大抵の敵は元素が使えなくなり完封できる。
弱点としては元素爆発ほどの高元素には効果を持てないのと、体内の元素には干渉できない点である。
・カグツチの性能
通常攻撃を炎元素に変化させる
攻撃力50%アップ
会心率90%
赤と橙色の剣、耐雷神用に作られた一品。耐久性に優れ、何人たりともその剣を折ることは叶わない、多分。使用者に炎元素の力を与える
・イヒカの性能
通常攻撃を氷元素に変化させる
防御力36%
移動速度20%
装備者のダッシュ回避の無敵時間延長
短剣型の白と空色の剣、耐雷神用に作られた一品。軽量性に優れ、よほどのことがない限り折れることのない耐久性も有している。使用者に氷元素の力を与える
自分が使うからとイヒカの方はカグツチより手抜きで作成されている。それでも一級品ではあるので、永一の鍛冶スキルは計り知れない。
タイトル元ネタ:蜘蛛ですが、なにか?
稲妻編終わったら何編しよう
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そのままスメール編
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回れ右して璃月編
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そんなことより番外編(茶番)
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まさかの過去編