原神世界で不死身のボケ担当がハッピーエンドを目指すのは間違っているだろうか(旧:契約の国で働いてたら過労死したので自由の国に逃げようと思います)   作:ありがとうはなまる

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作品の前にちょっとした報告。
 ちょっと書きたい作品が2つ出来たのでこの作品の投稿頻度が下がるかもしれないです。(気分次第)
 けど、気長に待っていてください。もし、お気に入りやらを解除したら怒ったカンナ許さないカンナして悲しくなります。私が

あと、新規作品も是非見に来てくれたら嬉しいです。

では、本編をどうぞ



14 魔女様、ヤブレル!

 

 

 蛍side

 

 

永一さんの地獄のような祭りは一つの雷により幕を下ろし、被害を受けなかった稲妻住民は疲弊した体を動かし、地面に横たわる犠牲者の回収に勤しんだ

 

 

 「「……」」

 

 「……」チーン

 

 「……」ガン ガン ガン

 

 

 永一さんの謎の祭りが終わり、一息ついたはずなのに部屋の中の居心地は悪かった

 布団の中で眠るように気絶しているトーマと、無言で壁に何度も拳を叩きつける綾華、そしてその光景を見ないよう無言で早柚の帰りを待つ私とパイモンがいた

 トーマは永一さんの標的になり、秘密を暴露されたことで気絶したのを私が布団の中に移して寝かしている。綾華は木漏茶店に帰ってきてからずっと何も言わずに壁を叩きつけていた

 

 …綾華の殴っている壁、もう大分ヒビが入ってきているけど大丈夫だろうか、止めたほうが…いや、辞めておこう、どうせろくなことにならない。触らぬ(ヤンデレ)に祟りなしって永一さんも言ってたし

 

 永一さん、綾華やトーマがこうなった元凶。稲妻中で早柚の為に、人の恥ずかしい秘密を話して稲妻の人たちを混乱させる危ないことをした

 

 これはもう…ヤッても良いんだよね

 

 あれをする前に危ないことをしたら私の抱き枕になるって約束した、つまり1週間永一さんは私専用の抱き枕で合法的に永一を好きにできるってこと

 

 ・ ・ ・ !?

 

 と、ということはつ、つまり今なら1週間、永一さんとあんなことやそんなことが………

 

 

 「うえぇ!?どうしたんだ旅人、いきなり鼻血なんて出して…」

 

 「え?………なんでもないよパイモン」フキフキ

 

 

 いけない。つい鼻血が出ちゃった、落ち着かなきゃ……でも、今夜、楽しみだな…ふへへへへへ

 

 

 「……」ニヤニヤ

 

 「本当にどうしたんだ旅人、いきなり笑い出して…今回の旅人はいつもよりなんか、気持ち悪いな…」

 

 

壁のヒビを拡大させていく瞳孔ガン開きの綾華と、謎にニヤニヤと笑みを浮かべるキモいおっさんムーブをする旅人、パイモンは少し旅人との距離を置き、早柚の帰りと唯一まともなトーマの復帰を願いながら何故か痛む頭を押さえるのだった*1

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 第三者視点side

 

 〜鳴神大社〜

 

 

 「八重宮司様、約束通りきました。ご安心を、配下は連れてきていません。それにここへ来ることは誰にも知らせていません」

 

 「ご苦労さんだな沙羅、なんか飲む?」

 

 「…その怪我は?」

 

 「これか?これはな…色々、あったんだよ」

 

 

 神子に粛清され、全身包帯だらけ、腕にギプスを付けた永一は遠い目で上を見上げる

 

 

 「約束通り来るとわかってたぞ、それに汝…ここ数日の間、胸がざわついて夜も眠れなかったのではないか?」

 

 「わ…私が当主様を疑うことなどありません。それは憶測です」

 

 「ほんと〜?チョッッットだけしたんじゃな〜い チョッ シュン!

 

 

 永一の懐に高速で近づき拳を放つ沙羅

 瞬間、永一は沙羅の雷を纏う拳が黒く光るのを目撃した(幻覚)

 

 【黒閃】

 

 「ごふっ…!!」

 

 

 永一に対する全ての鬱憤*2を載せた沙羅の【黒閃】(幻覚)を食らった永一は、体をくの字に曲げ、後方にある神社へと吹き飛び神社を破壊しながら中へと消えていった

 

 

 「おやおや…妾が瞬きしている間に"勝手に"神社に吹き飛ぶとはおかしな奴じゃな。阿呆、今日中に神社の修繕をするのじゃぞ」

 

 (鬼畜狐ババa バチ アアアアアアア!!」

 

 「おっといかん、つい元素が漏れてしまった、すまんな」

 

 「ふぅー⋯すぅー…ふぅ、それで、証拠はどこに?」

 

 「ここ」

 

 「ほぉ~、もう一人約束してた者も来たようじゃな」

 

 「これを手に入れるために苦労したんだぞ…ところで、何で後ろの神社がボロボロなんだ!?」

 

 「どこぞのバカの日頃の行いによる賜物じゃ、気にするなパイモン。沙羅にそれを渡すと良い、自分で判断せい」

 

 「これは…」

 

 

 パイモンに渡された天領奉行上奏文書を読む沙羅、その顔は文書を読み進めるごとに悪くなっていった

 

 

 

 「抵抗軍、珊瑚宮、前線…どれも一言も触れていない…前線で命を落とした兵士、人々が受けている苦痛、どれも言うに値しないものとでいうのか!」

 

 「命をなめている…どうしてこんな隠蔽を…」

 

 「もちろん目狩り令を順調に遂行するためじゃ。それらを将軍が知って、目狩り令が廃止になったらならんからのう?」

 

 「天領奉行は…わざと将軍様に隠蔽を?」

 

 「うむ。目狩り令の遂行で得するのが誰なのか…もう少し考えることじゃな」

 

 「ここに手紙が一通ある」

 

 「天領奉行とファデュイの間で交わされた手紙だ。九条家の当主が隠してたものらしいぞ」

 

 「……」

 

 「どうじゃ?汝が見たかったもの、見たくなかったもの、すべて目の前にあるぞ。よもや…見て見ぬふりはできぬじゃろう?」

 

 「私が今まで続けていたことは…こんな…こんな…くそッ!」

 

 「裏切り行為を許すわけには行きません…当主に会って直接話してきます!」

 

 「九条沙羅すごく怒ってたな、こちら側に引き込むことは成功したみたいだ」

 

 「幕府軍もこれで暫くは指導者がいなくなる。彼女についていけば雷電将軍に会えるかも」

 

 「おう。彼女を追ってみよう」

 

 「待て、童。まだ話したいことがある」

 

 「ん?」

 

 「汝が初めて「一心浄土」に入ったのは、千手百目神像の前じゃったな?」

 

 「うん」

 

 「あの日の情景を再現するんじゃ。千手百目神像の前で雷電将軍の()()()()()()()、勝機は必ずやってくる…」

 

 「分かった。最善を尽くす」

 

 「これを持っていけ、餞別じゃ」

 

 

 神子は懐から桃色の御守りを取り出し、旅人に手渡す

 

 

 「これは…?」

 

 「鳴神大社の御守り、御利益のありもので、汝のために特別に残しておいたんじゃ」

 

 「ありがとう神子…大事にする」

 

 「じゃあ俺も蛍に御守りだ」

 

 

 神子の後ろから"包帯が取れた"大工姿の永一が現れ、懐から黒色の()()()()()()御守りを手渡す

 

 

 「神社の修繕はどうした?」

 

 「そんなもん沙羅が怒って出ていったぐらいにはもう終わってたよ」

 

 「早!?あんなボロボロになってた神社をそんな短時間で…!?」

 

 「パイモン、俺を舐めるなよ。俺は動く重機こと申鶴と一緒に墜落して壊れた群玉閣を半日で直した実績があるんだぞ?これくらいの神社、数分あればだいたい直せる」

 

 「自慢気に話してるけど、あれは永一さんと申鶴が岩や「ろけっとらんちゃー」を群玉閣に打って墜落させたんでしょ」

 

 「確かにあれは俺も群玉閣の復活に加えて久しぶりのシャバではしゃいじまったからな、悪いとは思ってる。だから、お詫びも兼ねて群玉閣にATフィールド敷いて外部の攻撃で群玉閣が壊れるリスク無くしたり、天空の城リスペクトの大規模破壊砲取り付けたじゃん」

 

 「そのあと群玉閣の修繕に携わってた連中、軒並み全員落ち込んじゃってメンタルケア大変だったな〜」

 

 「汝が絶体絶命の状態でそれらを取り出せば、危機から抜け出せるかもしれぬぞ。もちろん、妾に会いたいと思ったときに取り出してくれても構わぬ。ひょっこり出てくるやもしれぬな?」

 

 「こんな大事な時に冗談はよしてくれよ、狐お姉さん」

 

 「ふふふ…悪いな。では妾の愚鈍な友は、汝らに任せたぞ」

 

 「俺からも影様のこと頼んだぞ…それと─」

 

 

 永一は旅人に近づき旅人の両手を掴み握手する

 

 

 「え、永一…さん?///」

 

 「沙羅のことを頼んだ。あいつは正義感も武力も人一倍強い、だからあいつは自分が出張れば大抵のことはできると思っていて危なかっしいやつなんだ。だから蛍、沙羅のことできるだけ守ってやってくれ」

 

 「……分かりました。でもその代わり、今夜(抱き枕の件)楽しみにしてますね」

 

 「?………!おう、楽しみにしとけ、最高の夜にしてやるよ!」

 

 

 旅人は永一が手を離すと後ろを向き、嬉しさの余り勝手に上がる口角を必死に戻そうとし、その行動に永一は首を傾げ、神子はくすくすと笑みを浮かべていた

 

 

 「じゃあ神子、永一さん行ってきます!」

 

 「行ってくるぞ」

 

 「おぉ、行って来い」

 

 「ふふ…頼んだぞ」

 

 

 旅人は永一と神子に別れを告げ、沙羅が向かったであろう九条家まで向かうのであった

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 蛍side

 

 

 沙羅を追って九条家へとたどり着いた私たちは、沙羅と共に九条当主の元に向かった

 道中、九条家に仕える兵士たちが行く手を阻んできたが、沙羅と協力して倒していき、当主のいる場所までたどり着いた

 敵の時は厄介な人だったけど、味方になるととても心強い存在だと、兵士たちとの戦いで実感した

 

 けど、永一さんに矢を突き刺したことは忘れていない。その時のことはあの祭りの件でチャラにしたけど、次そんなことをすれば相応の報いは受けてもらう

 

 九条家の大広間にいた九条家の当主は確かに将軍への忠義はあったが、それは雷電将軍の武力という一点しか見ておらず、沙羅のように雷電将軍自身を崇拝しているわけではなかった

 そんな当主に沙羅は怒りと失望を顕にし、雷電将軍に事の顛末、「目狩り令」が九条家当主とファデュイの私欲によって汚されていることを伝えに雷電将軍のいる場所へと向かう

 当主の話では雷電将軍は天守閣でファデュイの使節「淑女」と謁見しているらしい

 

 「淑女」、モンドと璃月で出会ったことのある執行官。ウェンティを傷つけ神の心を奪い逃走した悪人、まさか稲妻の裏でも暗躍していたなんて⋯

 

 

 「スネージナヤの使節…ちょうどいい、このままこの稲妻から立ち去れると思うなよ!」

 

 

 そう言い残し、沙羅は天守閣に向けて1人走り出してしまった。私たちも遅れて走り出し沙羅を追いかける

 

 モンドでウェンティを傷つけ、璃月で魔神を呼び覚まし*3、稲妻では…哲平や罪の無い人達を苦しめ、殺してきた。許すことは出来ない

 私は、内に湧き出る黒い感情を抑え、「淑女」と雷電将軍のいる天守閣へと向かった

 

 

 ─

 ──

 ───

 

 

 道中、沙羅が倒したであろう兵士たちを横切り天守閣に入った私たちの前には、雷電将軍と「淑女」、そして倒れる沙羅の姿があった

 倒れる沙羅に嫌な想像をしてしまったが、パイモンが沙羅の容態を確認したところ、どうやら気絶しているだけのようでひとまず胸を撫で下ろした

 

 私はファデュイと九条家の悪事を告発するが、「淑女」は知らぬ存ぜぬで話を否定、何より私が稲妻で追われる罪人であることを理由に私の発言の信用性を抗議してくる

 

 確かに「淑女」の言う通り、今の私と「淑女」の地位では何を言っても私の発言はただの戯言や虚言にしか聞こえない。だけど、そんな私と「淑女」の地位を対等まで持っていける手立てを私は知っている

 

 

 「私は、「御前試合」を申し込む!」

 

 

 私は「御前試合」を「淑女」に申し込んだ

 私の直訴を雷電将軍が承諾した事で、私の狙い通り「淑女」との一騎打ちにまで持ち込むことに成功した

 

 

 「辛うじて自分を私と対等な位置まで引き上げんとは…認めるわ、これは私にとっても予想外の手。でも敗者は…死ぬのよ?わかってるのかしら?」

 

 「旅人…」

 

 「大丈夫、パイモン」

 

 「ふふふ…じゃあ、ここは甘んじてあんたと一曲踊ってあげるわ。あんたと私、どちらかの命が…尽きるまで」

 

 

 私と「淑女」の決闘が始まった

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 永一side

 

 

 おはコンキーチク、どーも永一です。

 

 蛍が沙羅を追いかけたことを確認した俺は、鳴神大社から離れ、ナタの発明ネコさんと作った某Aさんが乗ってた火で動くサーブボートのような乗り物に乗りながら、甘金島へと向かってる

 

 珊瑚宮を出る前、心海に作戦事項を連絡してたからそこに抵抗軍の兵士達がいるはずだ。"アイツ"もIBM経由で連絡してるし俺が着く頃には着いてるだろ、多分

 

 作戦としてまぁ原作と変わらんが、事前に綾人が根回してくれた奴らと抵抗軍共で稲妻城に正面突破を仕掛ける作戦。作戦かこれ?

 原作と違う点としては、綾人の伏兵と抵抗軍兵士の繋がりを俺経由で深めたり、蛍の稲妻城突撃に合わせて突撃出来るよう数日前に抵抗軍を集合させて体調や物資やらを整えて万全に仕上げてるぐらいかな

 

 と、目当ての小島にたどり着いたのでボートから降りて抵抗軍を探す

 

 

 「あ、永一さん!おーいこっちだ!」

 

 

 嬉しそうな顔で手と尻尾振ってるゴローが見える、犬かよ……犬か

 

 

 「永一殿、お待ちしてたでござる」

 「永一殿、お待たせしてしまった」

 

 「「ん?」」

 

 「おっ、タイミングバッチリだな」

 

 「こいつは今回の作戦に入ってくれた(もん)だ。怪しく思うかもしれんが、こいつの潔白っぷりは俺が保証する、格好は単に正体バレ防止で付けてるだけだから気にすんな」

 

 

 キンセンカ(花の名前)が描かれた顔を覆うマスクに、黒の羽織に白の羽織下(はおりした)を着込み、首に黒のマフラー、手にも黒の手袋を付けた黒を起点にしている服を付けている

 俺がコーディネートしました……⋯うん、我ながらナイス不審者( ´∀`)bグッ!

 

 

 「千葉ノ勇(ちばのゆう)だ。今回の件は永一殿から聞いている。抵抗軍の皆さん微力ながら助力しよう、どうぞよろしく」

 

 

 男とも女とも取れない声で話し、手を差し出す勇さん

 マスクにはボイスチェンジャーモドキを仕込んであるので声バレの心配なし、配信者にとって心強い品になっております

 

 

 「あぁ、こちらこそよろしく頼む」ギュ

 

 「…」(あの者の佇まい何処かで…)

 

 「?どうしたんだ万葉」

 

 「…いや、何でもないでござる。よろしく頼む」ギュ

 

 

 万葉が何やら意味深なこと言ってるが、特に触れずに抵抗軍に号令をかける

 

 

 「聞けぇぇーい!」

 

 『『『!』』』

 

 「私たちはこれより稲妻城に押し入り、雷電将軍に目狩り令撤廃を申し出る。当然、戦いは避けられない…だが!心配することはない、我らが英雄にしてメカジキ2番隊隊長の旅人が今まさに稲妻城に入り大立ち回りを繰り広げている」

 

 『『『何!?』』』

 

 「我々は旅人の補佐として、幕府兵たちと戦い旅人が雷電将軍との戦いに集中出来るよう尽力する!神の意思に抵抗する兵士たちよ!覚悟しろ!今日この日がお前たちの求める"理想の明日"と知れ!!」

 

 『『『うぉぉぉぉぉぉ!!!』』』

 

 

 兵士諸君、盛り上がらせてる俺が言うのも悪いけど稲妻城の兵士、だいたい沙羅パイセンが1人で殲滅するから君たち多分あんまり戦わない。バタフライエフェクトとか起きてたら分からんけど

 

 蛍に持たせた"アレ"が「一心浄土」とかいう精神世界みたいな場所で上手く発動出来るか分からんが…まぁその時はその時で別案を考えよう

 

 それと、目狩り令を撤廃させたら美味しい料理でお祝いしないとな。蛍のやつも楽しみにしてるって言ってたし、腕を鳴らしまくるか

 

 

盛大な勘違いをしながら永一と兵士達は小舟を動かし稲妻城へと向かうのであった

 

 

 

 ─

 ──

 ───

 

 

 〜稲妻城下町前〜

 

 

 はい、ついて早々分かりました。がっつりバタフライエフェってますわ。知ってたんだから勘違いしないでよね⋯⋯はい

 

 

 「止まれ!貴様ら抵抗軍だな、まさかここに真正面から攻め入るとは愚かなことを!全員お縄に着け!」

 

 

 目の前には武器を持った幕府軍が両手で数えられないぐらいいた

 沙羅さん、もうちょっと暴れてよ、何最短距離で向かってんだあのカラス、蛍はどうした

 

 もしかしてゲームの時って、沙羅が暴れた直後だったから兵士達がいなかっただけで、その後普通に兵士集まってたのか?で、抵抗軍は今みたいに集まった兵士と戦って蛍と合流したのか?

 それとも俺の記憶違いか⋯うーん分からん

 

 まぁそれは今はいいや、さてどうするか…………シチュエーション的にアレするか

 

 俺は懐から黒服とグラサンを取り出し装着、そしてポータブルの大砲を取り出して標準を定める

 

 

 「よーく聞け幕府軍共、3秒以内に道開けろ、でねぇと稲妻城ブチ落とす い~ち…」

 

 ドン!!

 

 

 大砲の弾が放たれ、稲妻城の一部に直撃し爆発した

 

 

 「2と3は!?」

 

 「しらねーなそんな数字、男はな1だけで覚えとけば生きていけるんだよ」

 

 

 決まった。やっぱ1秒ブッパはキマるわ、脳汁ドバドバやで〜

 

 

 「今だ!全軍突撃!」

 

 

 と、俺が天下のクソ親父さんの真似をしてできた隙を、優秀なうちの大将さんが嗅ぎつけ兵士たちを突撃させる

 稲妻城爆撃に驚いていた幕府軍兵士は、反応に遅れ次々とうちの兵士の攻撃を受け地面に倒れた

 

 集まってはいたものの、大したこともなく俺達はそのまま稲妻城へと向かっていく

 だが、沙羅の突撃で減っているはずの幕府兵士が、騒ぎを聞きつけたのか続々と向かって来ていた。あのカラス、まじでいい加減にしろよまじ、俺じゃなきゃあキレてたね*4

 幸い、連携力や強さはこちらに分があり、負傷者なく着実に進むことができた

 

 

 「⋯向かってくる幕府武士の数がまばらだな、旅人が倒した、それかこちらの体力を削る作戦?それとも別の何かがあるのか?…」

 

 「永一殿から噂は聞いていたが、やはり優秀な御仁たちだな、肩を並べ戦うことで改めて実感した」

 

 「…」(あの剣捌き…やはり、しかしあやつは将軍に…)

 

 「敵が少ないからって油断すんなよ、俺たちは一刻も早く旅人(蛍)と合流して雷電将軍と戦う基盤を安定させるのが目的だ。まぁ少なくとも安全第一だ、急がず油断せず着実に歩いていくぞ」

 

 

 さてさて、蛍の方はもう第八位だったかシニョーラと戦ってんのかな

 原作では勝ってたが"璃月の件"がある。ゴローたちに行ったようにさっさと合流しないとな

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 蛍side

 

 

 「はぁぁー!!」

 

 

 周囲の炎元素を風元素で拡散させて剣に纏わせた一撃を、炎元素を操るドレスのような姿に変身した「淑女」へと食らわせる

 

 

 「くっ…!この、ちょこまかと⋯!」

 

 

 私の攻撃に怯みこそしたが、未だ倒れることなく火球を放ってくる

 私は既のところで火球を回避し地面に着地、そのまま飛んでくる無数の火球を回避する

 

 

 「荒星」

 

 

 無数に飛んでくる火球を回避しつつ、岩元素で出現させた岩の影に逃げ込む

 岩を盾にしつつ、私は懐から"酔い止めの飴"が入った袋の中から、空色の飴を取り出し口に入れる

 すると、口の中で爽やかなミントのような味わいが広がり、先ほどまで感じていた暑さが消えていくのを感じた

 

 この飴は永一さんが船で酔った時に食べるようにと渡してくれた飴だけど、その中にあった「体内の温度を一定時間上昇させる」紅色の飴と、「体内の温度を一定時間低下させる」空色の飴のお陰で、「淑女」によって周囲の温度が上下するこの空間内で私は「淑女」と戦闘を繰り広げている

 もし、この飴が無かったら私は「淑女」とまともに戦うことすらできなかっただろう。稲妻で永一さんに出会ったときにこの飴それぞれの効力を教えてもらっていて助かった

 

(四方にあったオブジェクトが無くなり、体温調整が出来ないハードモード淑女戦に立たされている可哀想な蛍)

 

 

 「いつまで隠れているつもり!」

 

 

 「淑女」の放つ炎の鞭により、岩が壊され無防備になる私、そんな私に「淑女」は容赦なく炎の鞭を振るうが、私は放たれる鞭を目で捕らえながら最小限の動きで回避する

 

 確かに「淑女」の放つ鞭は速いけど、雷電将軍や雷電人形の放つ一撃に比べれば避けるのは簡単すぎる

 あの地獄の特訓が無駄ではなかったことを実感しながら私は、雷元素を使った高速移動で「淑女」の後ろに回り込み地面へと手を伸ばす

 

 

 「震えろ!」

 

 

 私は岩元素の元素爆発を放ち、「淑女」の周りに動物の牙のような岩石を出現させ「淑女」を閉じ込める

 

 

 「この程度で、私を捕まえたつもり!」

 

 

 しかし、「淑女」は体を炎の風へと変えながら移動し、岩石の包囲網から抜け出す。だけどそれは予想通り、「淑女」が炎の風になって私の包囲網から抜け出るのは…

 雷電人形との特訓で、相手の一挙手一投足を逃さない観察眼を手に入れた私は、何度も攻撃を仕掛けている内に、「淑女」の最も反応が遅れた瞬間を見つけた

 

 それは、体を炎の風へと変化させての移動直後だ

 

 

 「…なっ!?」

 

 

 体を元に戻した「淑女」は、目の前に元素を集中させた剣を構え、振り降ろそうとする私に驚愕した

 

 体を炎の風へと変化させての移動は物理攻撃も元素攻撃も効かない便利な移動手段たが、体を炎の風にしている間、周りの様子を視認することが出来ないのだろう

 通常時に仕掛けた攻撃と、炎の風による移動直後に仕掛けた攻撃では、攻撃の対応速度が段違いに違っていた

 恐らく元素視覚も反応しないのだろう。現に元素を集中させた私の剣に驚いた顔を晒している

 

 

 「天鼓雷音(てんくらいおん)斬」

 

 

 剣に集中させた雷元素爆発を見て、炎の風での回避は間に合わないと踏んだのか、「淑女」は体の周りに炎の渦を纏わせ私の攻撃を防ぐ

 

 炎と雷による過負荷反応により、私と「淑女」との間にバチバチと衝撃波が放たれる

 

 

 「こんなガキに!執行官であるこの私が負けるものですか!!」

 

 

 「淑女」は元素を高め、炎の渦の威力を上げ、私を押し出していく

 

 

 「ぐぅぅ…!!」

 

 

 負けるわけには、いかない!

 

 私は押し出される体を足で踏み止め、堪える

 

 

 「このまま焼き尽くしてあげる…!」

 

 

 「淑女」の放つ元素が膨れ上がり、炎の渦の激しさが増し、室内の気温も上昇したのを肌で感じた

 体から出る汗すら蒸発するほど、部屋の温度は灼熱地獄へと化していた

 

 このままじゃ押し負ける……なら、成功して間もない不安定な技だけど、"アレ"を使うしかない!

 

 私は雷元素爆発を発動しつつ、風元素を高め、雷元素爆発中の剣に集中させる

 

 イメージは剣に纏わせた雷を中心に、雷に反応させず無反応の風を至近距離で纏わせる、柄のようなイメージ

 

 一本の雷剣を護り、押し出す、どんなものにでも交わることのできる自由な風を

 

 私が2つの元素を剣に纏わせようと集中してどれほど時間が経ったか

 渦と剣の間に過負荷反応が起こることも反発することもはなくなり、剣は自然と渦の中へと入っていった

 

 

 「なに!?」

 

 「風は、どんなものでも受け流し、力にする!!」

 

 

 風と雷を纏った剣は炎の渦の力を受け流し……斬った

 

 

 「なっ、そんなバカな!?」

 

 

 天鼓雷音(てんくらいおん)・風刃斬!」

 

 

炎を拡散させた風と雷を乗せた英雄(旅人)の一撃は、「淑女」の体を切り裂き悪しき魔女を打ち倒した

 

 

 「わたしが、こんなガキ、に…!!」

 

 

 多重元素爆発の一撃に耐えきれなかったのか、「淑女」は爆発し、煙が晴れるとそこには変身が解け倒れた「淑女」がいた

 

 

 「私の勝ちよ、「淑女」」

 

 

 

 

復讐に燃える焚尽の灼炎魔女は、自身の愛する者が愛した自由な風を操る英雄に討たれた

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

 〜鳴神大社〜

 

 永一が修繕した神社内、その中にあるトイレに数人の巫女が立っていた

 

 

 「…これは、出るものも出ないわね」

 「目が、腐る」

 「これを使う人の気も、使わせようとするものの気もしれない。私は絶対使いたくない」

 「凄く⋯キモいです」

 「すっげえキモいデザインだな!」

 

神子「……」(#^ω^)ピキピキ

 

トイレ「オイデ…ダキシメテア ゲ ル」キラキラ

 

 両手を広げ、キラキラとしたお目目でこちらを見つめているなんか変なオカマ天使のオブジェクトをドン引きした目でみる従業員と神子

 

 神子は早々にこのトイレを立ち入り禁止にし、後日永一に撤去させた

(オカマ天使トイレに生理的嫌悪を抱いて、見るのも触れるのも思い出すのも嫌で撤去することができない)

 

 

 

 ───────────────────

 

 

 【永一メモ】

 永一は魔神と戦い勝利(殺)したことがある。

 

 

 抵抗軍の前に幕府兵士が現れたのは、バタフライエフェクトのせいではなく、永ちゃん祭りのせいで出た被害者を回収、それに伴った警備強化によるものです。

 なのでアレは完全に永一が悪いです。抵抗軍のみんなは永一を殴っていいと思います。

 

 

 

 

 

*1
梢さんブチギレてない?

*2
主にポエムの件

*3
発端はあの戦闘狂こと財布のせいだが⋯

*4
他力本願精神極まる




多分、あと4,5話ぐらいで稲妻編終わると思います。
現アンケート結果見てみると、このままスメール編に行くと思いますが安心してください。アザールはポコポコにする予定です。

タイトル元ネタ:魔王様、リトライ!

稲妻編終わったら何編しよう

  • そのままスメール編
  • 回れ右して璃月編
  • そんなことより番外編(茶番)
  • まさかの過去編
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