原神世界で不死身のボケ担当がハッピーエンドを目指すのは間違っているだろうか(旧:契約の国で働いてたら過労死したので自由の国に逃げようと思います) 作:ありがとうはなまる
第三視点side
戦が終わり、味方の安否を確認し、負傷者の手当てをする抵抗軍の兵士たち。その一同を他所に9人の男女が顔を合わせていた
「御機嫌よう、お初にお目にかかります。まず、自己紹介をしましょう。私は珊瑚宮心海、抵抗軍の指揮官であり、海祇島の「現人神の巫女」です」
「永一、名乗らせてもらおう。
「
「YEAAAH!」
パシ!ピシ ガジ グッ グッ*1
「この肩書きは初めてお聞きになるかもしれませんが…簡単に言えば、海祇島は現在私が管理しています。それと、あそこは抵抗軍の本拠地でもあります」スルー
「始めまして、数日前に抵抗軍に入った蛍(旅人)です」
永一と般若マン1号の絡みを無視した心海は、北斗や万葉たちから旅人について聞いて存在を知っていたこと、これからの対策を練るため珊瑚宮へ来ないかと旅人を誘う
「幕府軍が一時的に撤退したとはいえ、戦争はまだまだ終わりを迎えることはありません。「目狩り令」は廃止されておらず、天領奉行と雷電将軍も止まる気配はない…問題は何も解決していません」
「珊瑚宮へ行き、今後の対策を練ることをお勧めします。いかがでしょうか?」
「分かった」
「なら海祇島の案内役が必要だな。哲平頼んだぞ」
「…!わ、分かりました!でも、僕も行っていいんですか?海祇島なら永一さんも詳しいでしょう」
「何いってんだ旅人の専属案内役(ガイド)はお前だろ?……あ、そうするとパイモンと役職が被るな、まぁいっか」
「オイラは旅人の相棒だから哲平とは違うぞ」
「蛍もそれで良いか?」
「もちろん、宜しくね哲平」
「ああ!任せてくれ!」ニコ
「ゴロー、此度はお疲れ様でした」
「抵抗軍の力はもとより幕府軍より弱いもの。私がいないこの期間、きっと大変だったでしょう。このあともまだあなたには残ってもらう必要があります。幕府軍を見張り、負傷人員の治療をしてください。ここには傭兵を手配します、万葉さんもいるので、あなたもいくらか楽になるでしょう」
「なら俺たちあら…じゃなかった、般若マン1号と2号が手伝ってやる。大船に乗ったつもりでいろ!」
「微力ながら手伝おう」
「と、本人達も言ってますのでこいつらのことじゃじゃ馬のように扱ってくれ。ちなみに1号がアホ担当で2号がクール担当だ」
「誰がアホだ!」
「7✕6は?」
「え?…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………よんじゅう、ご?」
「お前まだ七の段覚えてねぇのかよ」
「仕方ねぇだろ!七の段は九九の中でも最高難易度の計算だ。この俺様でさえいまだに覚えられてほどなんだ。できる奴なんて永一か俺のかーちゃんぐらいさ」
「ほう……2号、7✕13は?」
「91」
「…死んだお前の両親も草葉の陰で泣いてるだろうよい」
「う、うるせぇー!!あと、勝手に俺の親を殺すな!!今も鬼婆婆と一緒に元気にやってるわ!!」
「…とにかく!よろしくお願いしますね」
「任せてくれ、珊瑚宮様!永一さん!それと、ご助力感謝する般若マン1号、般若マン2号!」
「私はもう一つ用事が残っています。先に珊瑚宮へ戻らなくては…旅人、準備が終わったら、哲平のところに行ってください。彼があなたを珊瑚宮へと連れて行ってくれるでしょう」
「これまでの貢献、感謝いたします。これからは、共に戦いましょう」
「稲妻の…未来のために」
─
──
───
蛍side
戦が終わり、皆が寝静まった深夜。私は布団をかぶりながら眠ることができずにいた
眠れない
いつもなら布団に入ってすぐに寝られるのに、こんなの久し振り
眠れない時、いつもどうやって寝てたっけ。確か…いつもお兄ちゃんのベットに入れてもらってたんだっけ(勝手に)
「永一さん…」
自然と言葉が漏れ出た
私は布団を退かして体は起こし、涎を垂らしながら寝ているパイモンを起こさないよう永一さんの居る部屋を目指した
寝付けないと明日に響くし、しょうがないよね。うん、しょうがないしょうがない
ガラガラ…
誰かに対しての言い訳を考えながら、私は足音を立てずに外へと通じる扉に手をかけ外に出る
永一さんは私とは違う家で寝ている
いつも「年頃の美少女と一つ屋根の下で寝るなんて切腹もんだ。俺は自分の部屋に戻らせてもらう!」と言って頑なに私たちと寝てくれない
けど、寝付け無いことを理由にすれば永一さんも私と一緒に寝てくれるよね
外に出て永一さんの居る家へと向かうと、家の前で床に座りながら何か棒状のものを咥え口から煙を出す永一さんがいた
「永一さん?」
「お?どうした蛍、良い子はもう寝る時間だぞ」
永一さんのところまで歩き隣に座る。座る直前に、永一さんが懐から座布団を置いてくれた、優しい
「珍しいな、蛍が夜更かしとは。夜更かしは肌に悪いらしいぞ?」
「永一さんこそ、いつもは誰よりも早く寝てるのに。それにそれは…?」
「これか、これはタバコさ」
「タバコ?」
「ま〜簡単に言うと、毒物だな」
私は永一さんの持つタバコを高速で奪い取る
「奪い取るまでの判断早ぇ~な」
「何でこんなもの吸ってたの?」グシャ ボッ(ハイライトスイッチオ〜フ)
タバコを握りつぶして雷元素で消し炭にしながら永一さんに何故タバコ(毒)を自ら吸い込んでいたのか聞く
返答次第ではすぐにモンドに連行して、監禁して、二度とこんなことをしないよう徹底的に
「火の消し方ワイルドすぎるだろ。スギちゃんでもしねぇぞ」
「…」(ハイライトOFF)
「無視ですかそうですか。何で吸ってたか、それはな…タバコのことが世界で一番嫌いだからさ」
「…………は?」
考えていた返答から大きく外れた回答に思考が停止した
「何でって顔だな」
「俺はな、人が死んだ日にはこれを吸おうと決めてんだよ」
「…!」
「今日の戦、死者が出た」
「…」
「戦だからな、死者0で終われるはずがない。覚悟はしてたさ、でも、やっぱ思うところはある」
永一さんが懐から箱を取り出し、中には入っていたタバコを口に咥え火を付ける
永一さんが毒物を吸い込んでいるというのに、その行動を私はなぜか制止できなかった
「ふー…タバコは嫌いだ。臭いし、苦いし、息苦しいし体に悪い、悪いところを上げればキリがないほどだ。だから、俺はこれを吸って覚えておくのさ」
「人間、嫌いなもんほど記憶に残りやすい。なら俺はこれを使って脳みそに刻み込むのさ。人が亡くなった日を、亡くなったやつらのことを、悲劇的な日を、そいつを救えなかった弱い己自身を…」
「……でも、でも永一さんのお陰で沢山の兵士の命が助かった」
「そうだな…それは喜ばしいことだ。けど、俺は面倒くさいやつなのさ。大勢の命を救ったのに、掬い取った大勢よりもこぼれ落ちた少数を気にする、贅沢者だ」
横から見た永一さんの顔はどこか悲しみを帯びて、私はすっと顔を反らし永一さんから視線を外した
永一さんは優しい人だ。どんな人でも分け隔てなく助け、その人の命を救ってきていた。聖人と言ってもいい、けど、永一さんは優しすぎている
確かに戦で少なくない犠牲を出している。けど、永一さんのお陰で救われた人はそれを大きく上回る
もし、永一さんが戦に参加した人たちに助力していなければ、もっと多くの犠牲者が出ていただろう
けど、永一さんはそれを良しとしない。永一さんは千人助けたとしてもたった一人の犠牲者の為に涙を流せる人だ
私は許せなかった。永一さんにそんな思いを抱かせる戦に、そして永一さんにそんな思いをさせてしまった私自身に怒りを覚えた
私が強ければ、抵抗軍の皆を全員助けられるほど強ければ永一さんを悲しませることなんてなかったのに
「お前が気にすることはない、これは俺が勝手にセンチメンタルになってるだけだ」
そんなわけ無い、永一さんは優しいから私を気遣って言っているんだ
「死んだらナニも残らない。だから、死んだ人間を悲しんで涙を流すのも、死んだやつに線香たいて手ぇ合わせんのも、こうやってタバコ吹かして勝手に自分に戒めを課してんのも、死んだ人間には一切関係ない。これらの行動は、ただの生者の自己満足さ」
「ま、これは俺の持論だ。こんなこと胡桃とかに言ったら笑われんだろうがな」
ハハハハと笑う永一さんは手に持ったタバコを口に咥え、煙を出すとタバコを地面に擦り付けて火を消し、真剣な顔でこっちを向く
「よく覚えとけ蛍」
私は息を呑む
永一さんの私を見る目が、璃月の"あの時"に見せた感情を感じられない冷徹な瞳で私を射抜く
「『死』は常に不平等に降りかかる。たとえ魔神や仙人でもな」
「だから後悔のないように一日一日を生きろ」
「好きな人や大切な人、親しい人、とにかく色んな人との時間を大切にしろ。そうして…その人がいなくなっても自分が納得できるよう、自分が死んだ時に悔いが残らないように、思い出を作っておけ」
「…」
真剣でどこか重みのある言葉に私は話す事が出来ず、ただただ永一さんの言葉に耳を傾けることしか出来なかった
「俺の言ってることをまだ理解しきれなくてもいい。だが、これだけは覚えておけ。もし、親しい人間に何か違和感を感じたらすぐに対応、又は俺や他の人間に相談しろ。何もせず後回しにしたり、見て見ぬふりをすればお前は必ず後悔する」
「…」
言い終えた永一さんの顔には僅かに悲しみと後悔の色が見て取れた
「……はい!シリアス終わり!さ、美少女はさっさと自室に戻って寝なさい。夜更かしはお肌と身長の大敵ってな」
パンと永一さんが手を叩く。すると永一さんの雰囲気が元に戻り、笑顔で私を立たせて私の自室の方に背を押していく
一緒に寝ようと永一さんに会いに来たが、永一さんの言葉に私は当初の目的も忘れ、気づいた時には自室に戻って布団を被っていた
後悔のないよう一日一日を生きる
何もせず後回しにしたり、見て見ぬふりをすればお前は必ず後悔する
その人がいなくなっても自分が納得できるよう、自分が死んだ時に悔いが残らないように思い出を作っておけ
その永一さんの言葉が頭から離れず、私はその日、一睡もすることなく朝を迎えた
それから2日経った頃、私たちは哲平との待ち合わせ場所まで行き珊瑚宮まで向かった
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三人称視点side
「我々と幕府軍の衝突が日に日に激しくなっている今、いち早く後方作業の安定化を図る必要があります」
「はっ。再考してみます…」
「ご安心を。以前手に入れた物資に加え、永一さんの持ってきてくださった物資もありますので、軍隊の拡張もスムーズに進んでいますよ」
「人手不足だった頃は苦労かけましたね。これからは形勢も良くなっていくでしょう」
「軍隊の拡張?それは良かったです。無名の支援者と永一様の支援には感謝してもしきれませんな…」
心海と兵士が話し合っている中、珊瑚宮に到着した旅人たちが合流
「ん?哲平に…永一様ではないか!?いつ海祇島に戻られたのですか?」
「ついさっきだ。後、様付けは辞めてくれ鼻にワサビぶち込むぞ」
「す、すいません。それで、その方は…」
「へへっ、珊瑚宮様のお客さん。僕は彼女と永一さんを海祇島につれてくるためにここに来たんだ」
「それって…?まさか最近軍隊の中で噂になってる…無限の力を有し、放つ矢は百発百中、そして体は金剛のように硬いあの新人か!?」
「なんでそんな噂があるんだよ!」
「金剛のように硬い……ペチャパイってことか」ボソッ
「何か言った?永一さん」ニコ(圧)
「いえ何も言ってませんよ金剛さん」
「…」ガシッ グググゥゥゥゥ(アイアンクロー)
「ヌグゥアアアア!」(CV:神◯明)
「……お、お二方とも遠路はるばるお越しいただいたからには、きっと何か急用があるのでしょう。これ以上私が邪魔をするわけにはいきません。今後また時間があれば、私のところにお茶でも飲みにいらしてください」
旅人のアイアンクローに若干引いた兵士だったが、すぐに気持ちを切り替え、旅人と心海の邪魔にならないようと、この場からの退出を申し出て歩き出す
「じゃあ今から行くか」*2
「え?」
しかし、旅人のアイアンクローから復帰した永一が兵士と肩を組み、兵士の歩みを止めさせる
「どうせ今から暇だろ?せっかくだし久坂部の所行って茶たかりに行こうぜ」
「いや、私にはまだやることが…」
「じゃあ心海、蛍、ついでにパイモン、ガールズトーク楽しめよ〜」
「ちょっ…永一、永一様ー!!」(ズルズル)
「あ、様付けたから後でワサビ入れようね」
「イヤァァァァ!!!」
「…」「…」「…」「…」
肩を組まれながら引きづられていく兵士を黙って見つめる男女四人
「えっと…おほん、ところで珊瑚宮様、先ほど大久保の兄貴から「支援」という言葉が聞こえましたが、一体何のことでしょうか?」
変な空気になってしまった場の空気を変えるため、哲平は心海たちが話していた話題について触れる
「少し前に、ある方から手紙が届いたのです。その方は、海祇島の抗争を支援するため、大量の物資を送り届けてくださいました」
「そのおかけで、我々はやっと兵力を確保し、幕府軍と正面から立ち向かうことができるようになったのです」
「それは良かった…けど、それは本当に信用できるの?」
「実を言うとこのことについて私は疑念を抱いているのです…ただ海祇島の資源はあまり豊かではないので、この物資は確かに渡りに船とも言えるでしょう」
「相手側の要求も度を超したものではありませんでした。ただ我々に、全力で幕府軍に抗ってほしいようです」
「永一様が来てくれたお陰で海祇島の物資に余裕が出て来たので、物資の輸入を打ち切ろうと検討しましたが、「貰えるものは貰っとけ」と永一様も言っておられたので、一旦彼らの事は表に出るのを避けたいと思っている盟友、ということにしておきました」
「もちろん、警戒を完全に解くわけにはいきません。もし何か異常を見つけたら、すぐに私に報告してください」
「分かった」「分かりました」「分かったぞ」
その後、旅人は心海にメカジキ二番隊の隊長に任命され、さっそく浪人の殲滅を頼まれることに
道中、旅人の隊長就任に納得のいっていない隊員とのいざこざもあったが、無事解決し、旅人は浪人の殲滅とメカジキ二番隊の隊員に自身を認めさせることに成功した
それから数日間、旅人はメカジキ二番隊の隊員と交流を深めていき、共に訓練を行い、隊員の単体戦力アップと軍隊を指揮する能力を鍛えた
哲平も幕府軍との戦いで功績を残し、ニシン一番隊という小隊の隊長となり抵抗軍へ貢献していた
その報告を聞き、旅人とパイモンは哲平の昇格を祝い、昇格祝いとして哲平を食事に誘ったが、それぞれの小隊を持つ旅人と哲平は隊の任務で忙しく、哲平は「また後日に」と言い、その日は昇格の報告だけで終わりそのまま2人は隊の任務へと戻っていった
旅人は寂しくも嬉しい気持ちを胸に、心海に依頼されていた古代遺跡の調査へと向かった
幕府軍との戦から抵抗軍の快進撃が続き、幕府軍に多大なダメージを負わせていることを永一から聞き、知っていた旅人はこのまま順調に幕府軍に勝利してこの戦争を終わらせ無事に目狩り令を廃止させられると考えていた
永一をこれ以上悲しませなくて済むと思っていた
しかし、
この世界は甘くは無かった
蛍side
この数日間、私はメカジキ二番隊の隊長になって、幕府軍を退けてきた
いつものように心海からの任務をこなし、珊瑚宮へ帰還した時だった
ゴローと心海が何やら神妙な顔で話し合っているのを発見し、2人に話しかけた
2人が話し合っていたのは抵抗軍内で謎の老化現象が多発していることについてだった
話を聞いていくと、老化現象が起きている兵士は支援者からある物を貰っていたことが判明し、それを見せてもらうと、それはファデュイが使っている邪眼である事が分かった
話を聞き終えた私の頭に嫌な予感が横切り、私はゴローたちに何も言わず全速力で哲平がいるであろう家まで走った
「おい旅人!!」
走って、走って、走って…走った
「ああ…君たちか。来たんだね」
走った先に待っていたのが、変わり果てた友人の姿であると分かるのにそう時間は掛からなかった
「ちょっと待ってね、今立つから…あれ、おかしいな…体の力が抜けて」
「哲平…」
今出したのが自分の声なのか、自分でも分からなかった
数日前まで元気だった友人が老人のように痩せ細り、弱々しく地面に座り込んでいた
「ああ、まだ詳しく言ってなかったね。僕は最近、いくつとの手柄を立てたんだ」
「船に乗って幕府軍と海戦を繰り広げ、一人で幕府武士を撃退し、拠点に拘束されていた仲間を助けた。昔の僕だったら夢にも思わなかったことばかりさ」
「もっと強くならないと…強くなれば、もっとたくさんのことができる…あれ、僕の「秘密兵器」は…?」
「それ…いつから使ってたの?」
「いつからだろう…君がメカジキ二番隊の隊長になってすぐ、支援者側の謎の人物に会ったんだ」
「彼らからこれをもらってね。強くなりたいと思えば、この秘密兵器は僕に応えてくれる。そう言ってたよ」
「ははっ、まるで「神の目」みたいだろ?僕は神の目を使ったことがないから、どんな違いがあるかは分からないけど…」
「これは…邪眼…」
「邪眼…聞くからに良いものじゃないみたいだね…」
「神の目と何が違うの?」
「…使用者の命を…削る!」
あの夜、永一さんが言っていた言葉。あれは永一さんの"警告"だったんだ
こんな結末にならないために私に"警告"を出してくれていたんだと、今になって気づいた
「………そうだったのか…確かに、こんな得体のしれない物、代償があって当然だね」
「ここ数日、どんどん疲れが溜まってきて、心の底で嫌な予感はしてたんだ」
「以前は戦ったあとに疲れを感じるだけだったけど、今日帰ってきたら、目の前すらよく見えなくなってた」
「あ~あ…やっと君に…追いつけたと思ったのに…ははっ…」
「やっぱり僕は…神の眼差しを受けられなかったんだね…」
「……」
馬鹿だ私は、永一さんに言われていたのに、私は哲平の異変に気づくことができなかった
「旅人、一つ君に頼めるかな?」
「僕達の隊服ができたら、僕の分も持ってきてほしいんだ…それで、一緒に来てさ…」
「……」
哲平の言葉に、なんと言葉を返せば良いのか、分からない、どんな言葉をかければ良いかわからない
何を言っても気休めにすらならないことだけが分かってしまった
「はは、なんて表情してるんだ、相棒。大丈夫、少し休むだけだから…少し休めば…きっとよくなる…」
いや、あの時、魔神戦争の遺跡で何となく哲平の体調が悪いことは薄々気づいていた
けど、働き過ぎて起きた体調不良だとばかり思って深刻に考えもしなかった。藤兜砦にいた時にも同じ事が起きていたからまた働き過ぎたんだろうなんて楽観視していた
もし、あの時、出会った時に哲平の異常に気づいて対応していればこんなことにはならなかったのに…こんなことには…!!
「哲平…」
「ファデュイ…」
ファデュイさえいなければこんなことになんてならなかった。許さない…!
私の中で黒い感情が溢れ出てきた
「おい、旅人、どこ行くんだ?おい──!」
心海ならファデュイの居場所に心当たりがあると思い、パイモンの声を無視し、私は心海を探すためこの場を後にする─
「ちょっと待ちな蛍」
─はずだったが、後ろから聞こえた声に私は反射的に振り返ってしまった
「ッ!永一、さん」
「よっ」
木箱に座り、笑顔で片手を上げるいつもと変わらない永一さんの姿に、安心感を覚えながらも私はかろうじて名前を呼ぶことしか出来ず、その場で動けずにいた
すると、永一さんが紐で巻かれた紙をこちらに投げてきて、突然のことに驚きはしたがなんとかキャッチした
「これは…?」
「ファデュイの邪眼工場、その位置が描かれた俺特製の地図さ」
「!」「え?」
「心海たちには俺から言っておくし、哲平についても俺がなんとかしておくよ」
「!!」
いつからそこにいたのか、何でファデュイの居場所を知ってるのか、哲平を治すことなんてできるのか、投げかけたい疑問が頭を駆け巡る。けど…
「…ありがとう」
私の口から出た言葉は、そのどれとも違う感謝だった
永一の渡した地図を片手に旅人が走り出すのを見送り、姿が見えなくなったタイミングで永一は哲平に近づきしゃがみ込む
「命を顧みない若者は、DQNと一緒で当人以外からしたら危なかっしくて見てらんねぇ。命を懸けて戦うのは武士として当然だ、当然っちゃ当然だが、死んで軍に貢献するのと死ぬつもりで軍に貢献するじゃ意味が全然違うんだぜ?自己犠牲?糞食らえだな。その役は俺で定員オーバーなんだよ」
「っと、話し過ぎだな、まぁこれが起きることを知ってて黙認していたんだ。"死んでも"全員直してやるよ」
そう言うと永一はナイフを取り出し小指を切り離し、ナイフを哲平に向け……
ドスッ
ズズズズズ…
〜おまけ〜
久坂部家
「ずずず……はぁ~平和だ」
部屋の中でお茶を飲みながら漫画を楽しむ久坂部
「どりゃあああ!!!!」
その中に三輪車で扉を破壊し突っ込んできた永一
「お茶プリーズ!!」
「…」スッ
冷たい目で永一を見ながら大砲の導火線に火を付ける久坂部
「…ふっ ばか〜ん♡」
ドッ!!
成長したじゃねぇか
計48回目のハジケ訪問での久坂部の対応に満足した永一と、
帰ろう
一部始終を家の外から見ていた大久保は静かにその場を去るのであった
────────────────────────
【永一メモ】
永一が懐から瞬時に物や服を取り出している原理は、三〇式·携帯式栄養袋とキャラが武器を出し入れしている原理をミックスさせた物を開発し、それを常に携帯し使っているため。そのため、これがないと永一は武器などを取り出せずほぼ無防備になってしまう
永一はこれを四次元バックと呼んでいる*3
邪眼流出は永一が蛍に命の儚さと「後悔」という感情を知ってもらうため、抵抗軍には「命を懸けて戦う」という言葉の意味を早めに理解させるため、わざと抵抗軍内で広めていた。もちろんアフターケアは万全です。
永一「
荒瀧一斗の両親生存。
一斗の両親が迫害されているところを永一が助け、後の鬼婆婆となる人物に預け命を救っている
今は鬼婆婆と一緒に住み、荒瀧父は鬼特有の筋力で力仕事専門の何でも屋(汚い仕事は受けない)を、荒瀧母は永一の作った酒造場でオニゴロシというお酒を作り生計を立てている
鎖国解除後、オニゴロシがモンドで大人気になることになり、鬼は喜び、猫は眉間にしわを寄せることになった
ちなみにオニゴロシは5段階までアルコール度数が別れ、1でも40度あり、5ではウェンティが一口飲むだけでダウンするほど強くカミゴロシと呼ばれている
トーマに飲ませたら死んじゃうかも…
タイトル元ネタ:りゅうおうのおしごと!
稲妻編終わったら何編しよう
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そのままスメール編
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回れ右して璃月編
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そんなことより番外編(茶番)
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まさかの過去編