原神世界で不死身のボケ担当がハッピーエンドを目指すのは間違っているだろうか(旧:契約の国で働いてたら過労死したので自由の国に逃げようと思います) 作:ありがとうはなまる
今回の話は戦闘メインであまりギャグ要素を入れられず、さらに少し長くなっております。ご了承ください
それでもよろしい方はゆっくりしていってね
戦が始まり、両軍兵士は手に持つ己の武器を眼前の敵に振るい、ある者は手に持つ刀で敵を斬り、またある者は手に持つ槍で敵を穿つ大合戦を繰り広げた
「風と共に去れ!!」
そんな中、旅人は最前線で初っ端から風元素爆発を発動し、周囲の水元素を纏った竜巻が幕府軍の兵士たちを巻き込んでいった。好調な滑り出しを見せる旅人だが、その表情は切羽詰まった表情で敵に目もくれず何かを探すように周囲に目をやっていた
「永一さん!!」
旅人は周囲を見渡し永一の存在を探す。しかし、敵と味方が入り乱れる戦地でたった一人を見つけるのは難しく、未だ永一の補足は叶わず旅人の焦りは募る一方だった
このままでは見つからない、そう思った旅人は岩元素で岩石を出現させ地面に落とし、*1落とした岩石に乗り風元素を足裏に集中させ上空へ飛び上がった
「…………………いた!!」
空中に飛び上がった旅人は飛んでくる矢を全て斬り伏せながら戦場を見渡し、*2その並外れた動体視力で永一らしき人物を見つけることに成功。地面に着地した旅人はすぐに永一を発見した場所に、雷元素の高速移動で向かった*3
「ワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメ!!!!」
永一を発見した場所へと着いた旅人が見たものは、先程の某神父リスペクトオーバーコートから一転、魚屋のような黒いエプロンにハチマキ、長靴を履いた永一が両手にワカメを持ち幕府兵士にワカメを叩き込んでいる姿だった
「これが稲妻で育てられたワカメの力だ!」
「こんな時に何ふざけてるんですか!?」
「ふざけてるが半分だけだ!!」
ワカメを持った永一の後ろから別の兵士が現れ永一に斬りかかるが、既のところで迫りくる刀をワカメで止める永一
「いいか?ワカメはな…使いようによっちゃ鞭より使いやすい武器になるんだよ!!」
永一は刀を止めていたワカメから力を抜き、ワカメをたるませ刀との間に隙間を作る。その隙に刀は迫ってくるが、永一はたるませたワカメに一気に力を入れ、その反動を使い迫ってきた刀を逆に押し返し兵士のバランスを崩した
その隙に兵士の懐に入り込み、兵士の股間を鷲掴み握りしめる。金的を握りしめられた兵士は「ギィっ!!」と短い叫びを上げ地面へと倒れた*4
「柔軟で軽く長い、おまけにネチョネチョしてるから刀で切られる心配も槍に貫かれる心配もない、れっきとした武器になるぜ。ふんっ!!」
旅人と話している最中に、幕府兵に押されている抵抗軍兵士を見つけた永一は、ワカメを鞭のように扱い、味方の兵士に斬りかかろうとした兵士の首を絞める
いきなりの事に目を見開き驚いた抵抗軍兵士だったが、すぐに持ち直し手に持つ槍で幕府兵を攻撃した
「だからってそれは……っ!!」
旅人は左右から来た兵士を横目で捉え、右から迫りくる兵士の一撃を横にスライドするように躱しながら兵士の懐に潜り、兵士の腹に剣を突き刺す
右側から来た兵士を倒した旅人は、すぐさま左側にいた兵士の方へ顔を向けるが、そこには鞭のようにワカメが首に巻き付き体を仰け反らせる兵士の姿があり、旅人はそのまま兵士の腹部分を横一文に斬りつけ兵士を戦闘不能にした
「ワカメがあって良かったろ?」
「いや、それとこれとでは話が別です」
トラブルはあったものの無事合流した永一と旅人は走り出し、敵兵を倒しつつ味方兵の援護に回った
「このワカメの弱点か?手がめっちゃネチャネチャするのとワカメ臭くなることかな」
「聞いてないです。永一さん、私から離れないでくださいね」
「ほ〜い」
(本当は早く戦場から永一さんを離脱させたいけど、ただでさえ不利な対局に私が一時離脱するのはリスクがでかすぎる。かといって永一さんを1人にして離脱させるのもリスクがある。なら、せめて私が守れる範囲にいてもらうのがベスト)
旅人の第一優先は永一の安全であり、抵抗軍の安否は二の次。最悪、抵抗軍が負けた場合は永一を連れて戦線離脱をする事も視野に入れていた
非情な判断だと思うかもかもしれないが数日共に過ごした他人と、血は通っていないが家族と遜色ない感情を向けている知人なら旅人は後者を選ぶ。旅人は英雄ではあるが、大切なものを守りたい1人の感
そんな旅人の心境に気づかず、永一はワカメを振り回していた
〜場面転換〜
「喰らえハイドロポンプ!!」ピュー
「いやハイドロポンプっていうかそれただの水鉄砲!!名前負けしてるから!!あっやめて目を執拗に狙うのやめてー!!」
「じゃあ股間を…」
「もっとやめてー!!」
「荒星」
旅人は永一のハイドロポンプ(笑)に気を取られた兵士たちの上に、岩元素で作った岩石を兵士目掛け落とす。岩石に当たった兵士たちの大半は岩石が落ちた衝撃で吹き飛ばされ、一部の兵士はそのまま岩石の下敷きとなり、*5周囲に水と岩元素が反応してできた結晶が出現した
旅人と永一はそれらを拾い集め味方兵に投げつけた
「これを付けたアーマード兵士ども!!気張れよ!!」
「紫影!」
旅人はすぐさま岩元素から雷元素に切り替え、近辺の幕府兵3人に手裏剣型の雷を当て気絶させる
『うぉおお!!』
雷元素で倒れた幕府兵を横切り、幕府兵たちが旅人目掛け前進してきた
「お前甲斐田だろ、プレゼントをくれてやるよ」ポイッ
「え?なぜ俺の名をs…」
永一は旅人に向かっていた幕府兵の横を横切り、赤色の玉を先程旅人の紫影を食らった3人に投げ込む。瞬間倒れていた幕府兵を中心に衝撃波のような爆発が起きた
「俺特製の元素玉だ。触れた瞬間、対象に元素を付着できる」
炎と雷による元素反応(過負荷)で起きた衝撃波は爆心地にいた幕府兵はもちろん、周囲の幕府兵たちを襲い、幕府兵たちは上空へ吹き飛ばされた
『反逆者の永一を捕らえろー!!』
『永一様を守れー!!』
永一の存在を視認した幕府兵たちが押し寄せ、それに気づいた周囲の抵抗軍兵士が永一を守ろうと幕府兵に向かっていった
「もういっちょプレゼントだ!!」
永一は懐から空色の玉を取り出し野球のピッチャーのように先頭にいた幕府兵に投げつけた
突然玉を投げ付けられたことに驚いた幕府兵は、咄嗟に片腕をだし玉の直撃を防ぐが、玉は幕府兵の腕に当たると砂のように溶けて消え、幕府兵には困惑と妙な肌寒さだけが残り、他の幕府兵は気にせず永一の方へ前進した
旅人はそんな幕府兵たちを無視し、先程永一の元素玉を食らった幕府兵のところまでジャンプで近づき、事前に切り替えておいた風元素を幕府兵に食らわせた。旅人は幕府兵に食らわせた風元素の元素力を高め、周囲にいた幕府兵たちを吸い寄せる
「風刃!!」
旅人は元素力が最大になった風元素を解き放ち、周囲にいた幕府兵全員を吹き飛ばし全員に氷元素を拡散させた。
氷元素を付着された幕府兵たちは地面に吹き飛ばされ、一部では海辺まで吹き飛びそのまま凍結して身動きが取れなくなっている者もいた
「今だ!!」ピュー
先程の水鉄砲を持った永一は氷元素が付着した幕府兵たちに水を掛け全員を凍結させ、その隙を逃すまいと、近くにいた抵抗軍兵士たちと旅人に号令をかけ、凍結した幕府兵たちを襲わせた
抵抗軍兵士たちの攻撃に加え、氷砕きを受けた幕府兵たちは、皆地面に倒れ戦闘不能になっていく
大量の幕府兵を倒し喜ぶ一同だったが、喜ぶのも束の間、すぐに幕府兵の増援が現れ再び戦闘が開始された
「切りが無い!!」
「そら「量」で完全に負けてんだ!!不利なのは当たり前だろ、お前やゴローみたいな「個」が頑張らないと…っ!!」
突然横から飛んできた矢に気づいた永一は、既のところで前へ倒れ込むようにしゃがむことで矢を回避した。しかし、片耳は当たっていたのか耳たぶより上が炭のように黒く焼け焦げていた
「なら、貴様はさしずめ「武器庫」だな」
「九条沙羅!!」
「数の勝っているこちらの軍勢が圧倒的に有利のはずが、貴様という「武器庫」のせいで奴らの「量」は私たち「量」に食らいついている。貴様の浅知恵だな」
沙羅の言う通り永一はこの戦いが始まる前に兵士たちにあるポーションを配っていた。
それはアルベドと永一が共同で作った*6もので、いわば力のポーションである。飲めば数時間身体能力が2倍にも膨れ上がる破格の代物
しかし、デメリットももちろん存在し、薬の効果が切れた瞬間から激しい脱力感に腹痛、頭痛、筋肉痛、深夜にポテトチップスが食べたくなる衝動が丸2日続く危険な代物
永一もこれを飲み丸一日トイレに篭り、妖怪便所こもりになったという悲しい話があったとか
「さてね。俺は俺のできる事しかしてないさ、今も昔も」
「そうか」スッ
沙羅は弓を構え、矢の先端に雷元素を集中させる
「ならば私も、私のできる使命を果たそう。未来永劫、永遠にな」
「国に…将軍に対しての忠誠心が犬以上に高くて俺は嬉しいよ」
「永一さん!!」
「蛍、こっちは任せろ」
永一は千切れかけた自身の耳をちぎり、地面に投げ捨てる
「敵の頭は俺が相手する。お前はあいつの手足をできるだけ無力化してくれ」
「でも…」
「でもじゃねぇ、時間をかければかけるほどそれだけ多くの人間が骸に変わる。敵も、味方もな」
「…」「っ!」
「行け。これ以上犠牲者を出すな、お前もお前のできることをしろ」
「…………負けないでね」
反論しようとした旅人だったが、永一の気迫のこもった声に、現状こちらが圧倒的に不利であることを理解し、出かかった言葉を飲み込み、せめてと永一にエールを送り永一に背を向け幕府兵へと走り出した
「私の相手をするならあの旅人のほうが適任だったのでは?いや、奴の実力を見るに私ですら敗れる可能性がある。それが分からん戯けではあるまい」
「悪いが俺は戦とか争い事が大っ嫌いでな」
人差し指を沙羅に向ける
「人命優勢だお嬢ちゃん。悪いが俺で我慢してもらうぜ。何、心配するな俺はニンニクたっぷりラーメンみたいにしつこいお味だ。食べ終わっても口ん中に残り続けてやるぜ!!」
「ふっ!!」
永一が喋り終わると同時に、沙羅は弓の弦を離し永一目掛け雷元素が付着した矢を放った。永一はそれを目で捕らえ身を捩ることで躱し、沙羅目掛け一直線に走り出しワカメを振り抜く
沙羅はワカメを避け、振り抜いた姿勢のままの永一に弓を構える。永一は振り抜いた姿勢を解き、沙羅の持つ弓目掛け切り上げるように腕を持ち上げた
腕を振り上げる男と弓を引き絞る女の視線が交わり、二人の戦いが幕を上げた
幕府軍大将
九条沙羅
沙羅が矢を離すよりも早く、永一の腕が沙羅の弓の軌道を変え当たるのを防ぎ、放たれた矢は戦争の何処かへ消えていく
矢を防がれた沙羅は、すぐさま弓の軌道を変えるため上へ伸びている永一の腕を掴み、背負投げを繰り出し永一を遠くへ投げ飛ばす
投げ飛ばされた永一は受け身を取りながら地面へと倒れる。受け身によりダメージを負わなかった永一は、すぐさま立ち上がり沙羅を見るが、そこにはすでに弓を構える沙羅の姿があった
沙羅は
(何故やつに攻撃が当たらん。これほどの矢に一度も当たらず向かってくるなど、並の実力者とて困難なはず)
「何で俺がお前の矢を全部防げているのか不思議そうだな」
沙羅の攻撃を避けながら話す永一は自身の目を指差す
「目線だよ」
「目線……まさか」
「遠距離武器を使う相手と戦う時は、そいつの目線を見て次に来る攻撃の軌道を読むべし。黒い剣士様のありがたいお言葉だ!!」
沙羅の猛攻を凌ぎながら、永一は手に持つワカメを沙羅目掛け伸ばし、矢を持つ手に絡ませ弓矢を引き絞る動きを阻害した
永一はそのまま一気に沙羅との距離を詰め、沙羅の持つ弓目掛け足を蹴り上げた
(見知ったやつを殴るのは気が引けるし、武器を破壊してただの一本下駄で身長誤魔化してる少女にしてやる、これが我が計画よ!!(最後だけDI◯風))
永一の足が沙羅の弓に近づき勝利を確信した永一だったが、永一の足は沙羅の弓に当たることなく空を切った
「あ…!?」
驚きつい声が出てしまった永一は、迫っくる足に気づくのが遅れ、モロに男の急所部分を攻撃された
「いっ!!!」
「相変わらず甘いお人だ」
沙羅は永一が自身ではなく弓を攻撃してくると読み、わざと弓を手放し、永一が弓に気を取られている間に股間に攻撃を仕掛けたのだった
沙羅は間髪入れずに永一の首、喉仏部分目掛け拳を振るうが、その一撃は股間の痛みから復帰した永一が腕を割り込ませることによって防がれた
しかし、沙羅は永一の防御を意に返さずすぐに手を引き、永一の腹目掛け重い回し蹴りを食らわせ、永一を後方へ吹き飛ばした。その拍子に、沙羅の手に巻き付いていたワカメも永一と共に離れていく
「グフッ……!!」
「弓を扱う上である程度の近接戦闘術を身に着けろ。あなたの指導の賜物だ」
「…!!」
永一を蹴り飛ばした沙羅は落とした弓を拾い上げ、砂浜に膝を付けた体勢のまま永一を狙い撃つ。永一は飛んできた雷矢をワカメを盾のように広げ防御
防御に使用したワカメは雷によって一部が焼き切れたが、雷矢の軌道を変えることに成功し、雷矢は永一の肩を掠め取る程度に留まった
「一本下駄蹴り目茶苦茶痛ぇ、ちょっと容赦なさすぎないかい?沙羅ちゃん」
永一の軽口に返事を返すように続けざまに矢を放ってくる沙羅
「敵の軽口には乗らないってか!ほんっと真面目キャラになってくれて俺は嬉しいよ!!」
状況が振り出しに戻ってしまった永一は、軽口を叩きながら沙羅の猛攻を避け反撃の手立てを考える
「ダンスのように、軽やかに!!芸人、のように大胆に!!頑張って、24時間避っけきりま〜す!!」
永一は謎の掛け声を上げながら沙羅の攻撃を避け続ける
「…貴様は、」
「あん!?」
「貴様は昔から甘すぎる。先程の攻防、武器ではなく私に攻撃を仕掛ければ状況はまた変わっていたはず」
「…」
「それに普段の貴様なら死なない特性を生かし敵の攻撃を受けながら攻撃を仕掛けていたはずだ。なのに貴様、先程から私の攻撃を避けてばかり、私を舐めているのか」
「…」
沙羅の言葉を聞き、永一は迫りくる矢を避けずに足を止める。矢は永一の頬を掠り、永一の頬からは少量の血が流れ出る
永一が足を止めたのを見て沙羅は弓の弦を限界ギリギリまで引き、矢に元素力を溜めていく
「戦場では躊躇ったものから死んでいく。甘い考えを持って、戦場に足を踏み入れるな」
「……俺は、」
「俺は誰よりも甘いやつだ。だから
「こんな奴のせいで
「…………」
「…ニヤ だが、勘違いすんなよ。俺はお前を傷つけないが負けるつもりは毛頭ないぜ」
「角砂糖舐めんなよ」
永一はしゃがみ込みクランチングスタートの構えを取り走り出した
走り出す永一に沙羅は眉一つ動かさず思考を巡らせる
(どれだけ矢を放とうと奴には避けらてしまう。ならば避けられない位置にまでおびき寄せ、奴が感知できない速度で矢を放つ)
沙羅は腕に力を入れ、弓を限界まで引き絞り、矢に元素力を溜め込み、走ってくる永一を見据え静かに狙いを定める
永一は沙羅の作戦を察していたが、それでも足を止めず一直線に前進した
両者の間が徐々に縮まり、1メートル程まで差し掛かったタイミングで沙羅の弓が火を吹いた
沙羅の手から離れた矢は真っ直ぐ永一に向かい、矢は永一の鳩尾へと突き刺さった
(命に関わる急所を外し、雷元素で奴の動きを封じる)
鳩尾は人体の急所であり、殴られるだけで横隔膜の動きが一瞬止まり呼吸ができなくなったり、神経の集まる
そんな部分に電気を帯びた矢が突き刺されば常人ならあまりの痛みに失神、下手をすればショック死してしまう。戦闘などできるはずがない─常人であれば
「なっ……!!?」
沙羅は驚愕した。人体の急所である鳩尾に矢が突き刺さったはずの目の前人物が、意に介さずこちらに向かってくることに
(何故だ!?鳩尾に矢が突き刺さっているんだぞ!!普通なら痛みで身動きすらできんはず。それに矢には雷元素が付着してあった。もし仮に鳩尾の痛みを我慢したからといって雷元素で感電して動けんはず、何故動ける!?)
「目ぇ見開いてめっちゃ驚いてんねぇ沙羅ちゃん」
「!!」
「良いこと教えといてやる」
沙羅が驚愕している間に距離を詰めた永一がワカメを振りかぶりながら沙羅に話しかける
永一に気付いた沙羅はすぐさま永一目掛け蹴りを放ったが、永一は攻撃の姿勢を変えることなくワカメを振り抜き、沙羅の蹴りは永一の脇腹にモロに入った。しかし、永一の振り抜いたワカメは、弓を持つ沙羅の手に直撃し弓を弾き飛ばすことに成功した
真横に蹴り飛ばされ永一は蹴りの痛みに動じることなくすぐに懐から片手剣を取り出し弾き飛ばした弓に向かい走り出し片手剣を構える
「このエプロン、実は帯電防止性でした~!!」
そのまま弾き飛ばした弓目掛け片手剣を振り抜き、沙羅の弓を真っ二つに叩き切った
「あと矢はめちゃ痛かったけど我慢して走りました」
弓を切った永一は鳩尾に刺さった矢を引き抜き、沙羅に片手剣を突きつける
下には2つに切られた弓が無造作に砂の地面に倒れていた
「さて、武器を無くした大将さん。悪いが、降伏してさっさと稲妻城に帰ってくれるかな。犬のお巡りさんがワンワン鳴く前に、な」
方や全身に少なくない傷跡を残しながらもが相手に剣を突き立てる男に、方や武器をなくし佇むことしかできない少女、もはや勝敗は決した
…はずだった
「……やはり…」
「ん?」
「…やはりあなたは甘いな」
「!!」
笑みを浮かべる沙羅に永一の第六感が鳴り響き、永一は後方へ飛び沙羅との距離を離す。その直後、沙羅から膨大な雷元素が溢れる
「まさか…!!」
「言ったはずだ、戦場では躊躇ったものから死んでいく」
沙羅から発される膨大な雷元素に永一は顔をしかめる
「くそ、こんなことなら脅す前に縄とかで
沙羅が元素爆発を発動しようとしていることに悪態をつける永一
(いくら帯電性のエプロンでも、元素爆発は防げん。ここは…)
「避け1択だろ!!」
永一は沙羅の元素爆発範囲から逃げるため走り出す
「良いのか逃げても」
しかし、沙羅の言葉に永一の足は止まり、沙羅の方へ顔を向ける
(沙羅のやつ俺の方を向いてない?一体どこを向いて……っ!?)
沙羅の向く方向を見た永一の足は自然と動き出した
沙羅の向く方向、そこには幕府兵と戦い負傷している抵抗軍兵士2人がいた
「常道を恢弘せしは、永遠なる鳴神なり!」
沙羅の元素爆発【
沙羅の元素爆発が炸裂し、抵抗軍兵士たちがいた場所は沙羅の元素爆発攻撃により砂煙が舞っている
「…貴様は敵であろうと味方であろうと、自分以外の「犠牲」を良しとしない。」
「「犠牲」を嫌い、全てを救おうとする貴様はこの場(戦場)にいるべきではなかった」
「「え、永一様!!!」」
煙が晴れるとそこには身体にスパークを纏い、地面に膝を付ける永一が抵抗軍兵士たちをかばう姿があった
「…っ!!」(体が動かねぇ!!)
「不本意ではあったが、負傷した兵士を囮にさせてもらった」
「ぐあっ!!」「がはっ!!」
動けない永一の横を2本の矢が通り過ぎ、負傷した抵抗軍兵士に突き刺さる
「だが、流石だな。先ほどの一撃、当たれば貴様はもちろん、後ろにいた兵士たちにも少なくないダメージを負わせる程の威力で撃ったが、貴様の体だけが麻痺する程度まで威力が落ちている」
「その様子では復帰までにかなり時間を要するだろう」
「…」(元素爆発が当たる前に、帯電防止性のエプロンを空中に脱ぎ捨ててIBM2体を盾にして防いだってのにこの有様かよ!ふざけやがって〜!!(ベジ◯タ風)やっぱ急いで出したからIBMが中途半端だったのか?それともエプロン脱いだからいけなかったのか!?)
体が麻痺し思考を巡らせることしかできない永一を他所に、沙羅は永一に近づき懐から取り出した縄で永一を縛っていく
「自害されて体を治されては困る。このまま大人しく拘束されろ」
「…!」(くそ、俺はMじゃねぇぞ…ん?)
「…なんだ?」
永一を縛り上げた沙羅と永一は、ほぼ同時にこちらに向かってくる金髪の少女を視界に捉えた
「永一さんから、離れろ!!!!」
旅人は血気迫る顔で行く手を阻む幕府兵をなぎ倒しながら、沙羅(永一)の下まで雷元素を纏い高速で迫ってきていた
向かってくる旅人に、沙羅は予備の弓*8を構え矢を射出する。しかし、雷を纏った旅人は迫りくる矢を全て剣で切り裂きながら最短最速で向かってきた
射程距離まで近づいた旅人は地面を蹴り上げ、上段から沙羅目掛け剣を振り下ろした
「雷閃」
「!?」
しかし、旅人の剣は沙羅に当たることなく空を切り、旅人の目の前には弓を構える沙羅の姿があった
沙羅は旅人の剣が当たる直前、元素技を発動し高速で後方に移動し弓を構えながら矢に雷元素と「鳥羽」*9を纏わせ旅人に発射する
空中で身動きが取れない旅人は予期せぬ事態をすぐに飲み込み、冷静に迫りくる矢を剣を盾にすることで防ぎ、矢の衝撃で後方へ少し押される程度に抑えた
地面に着地した旅人は追撃の手を緩めず、再び沙羅に向かおうとした
「…! きゃああ!!」
しかし、剣に付着した「鳥羽」が旅人に牙を向け、旅人を中心に広範囲の雷元素攻撃が炸裂した
「兵士たちよ、今のうちに旅人の捕縛を開始、そして残った兵は抵抗軍を蹴散らせ、かかれ!!」
沙羅は「鳥羽」の雷元素攻撃でダメージを負った旅人に幕府兵をけしかけ、縄で縛った永一を
永一が連れて行かれる光景を黙っている旅人ではなかったが、「鳥羽」の元素攻撃で少なくないダメージに、自身を取り囲むように陣取る幕府兵たちに、永一を追うどころか徐々に追い込まれていた
「引くな!!前線を維持しろ!!」
他の抵抗軍兵士も、永一から強化薬を貰ってパワーアップしていたとしても数の暴力には勝てず、徐々に押されていっていき、助けが来る見込みは無いに等しかった
「ゲームの、お約束を、知って、るか、嬢ちゃん?」
「?」
だがそんな中、沙羅に担がれた永一は、担がれながら未だ回復しきれていない口で辿々しくいつもと変わらない軽口を叩く
「
「貴様、一体何を言って「おりゃぁああああ!!」…っ!?」
沙羅が永一の発言の真意を探ろうとした瞬間、沙羅の真横から1つの人影が飛び出し、沙羅に殴りかかってきた
咄嗟のことに反応が遅れた沙羅は、そのまま拳を無防備で受け横方向へ体を吹き飛ばされた
「まぁ、最後まで取っておいて、結局使わず終わるのが、定番だが、な」
その拍子に縛られていた永一は空中に飛び上がり…
「ヘブっ!!」
「あっ…ヤベっ」
そのまま砂の地面に叩きつけられた
「ぐっ!!」
一方、殴り飛ばされた沙羅は地面に片膝をつき、殴られた腕を押さえ、腕から伝わってくる痛みに苦悶の表情をしていた
沙羅の殴られた箇所は青く腫れ上がり、まともに弓を扱うことができる状態ではなかった
しかし、沙羅は腕から伝わってくる激痛を無視し、立ち上がり自身に殴りかかってきた人物に目線を向ける。そこには般若の仮面を被り某戦隊モノが来ているような山吹色の全身タイツ*11を着た大男が立っていた
「やいやい、お山の大将!俺様のダチに手ぇ出すってんなら俺様が相手になるぜ!」
「俺様こそは!!泣く子も笑う!!正義の戦士!!般若マ「荒瀧一斗!!貴様!!」…いや俺様は荒瀧一斗じゃなくて般若マ「荒瀧一斗、まさか貴様が抵抗軍に入っていたとはな、それとも永一の差し金か!」いや…俺様は…………よく俺様の正体に気づいたな!そう俺こそは泣く子も黙るあr「違う!!お前は荒瀧一斗なんて無職じゃない!正義を愛し、正義に愛された男、般若マン1号だ!!」
「誰が無職だコラー!!」
自称般若マンが正体を名乗る前に、体の痺れがほぼ取れ呂律が治った芋虫状態の永一が、既で自称般若マンを擁護したことで正体バレせずにすんだ(もうバレてる)
「縛られて絶体絶命だというのに相変わらず緊張のかけるやつだな」
「般若マン2号!」
般若マン1号と同じく般若の仮面に青色の全身タイツを着た男が現れ、永一の縄を解いていく
「立てるか?」
「
(この腕ではもう弓は使えん…なら)
沙羅は地面に落ちていた片手剣を握り、永一と般若マンたちの方へ顔を向ける
「いくら増援が来たところで貴様らの劣勢は覆らん。おとなしく投降しろ」
「ん~なに?「いくら増援が来たところで劣勢は覆らん」だって~」
「本当にそうかな?」ニヤ
「…?…!…何!?なんだこれは…!?」
地面から泡のようなものが吹き出し、周囲の水元素濃度が上昇していくのを沙羅は感じ取り、永一は笑みをさらに強めた
「ゲームも終盤だ!さぁクイーンのお出ましだぜ」
永一の宣言と同時に、近くにある船の上から中を泳ぐように一人の少女が現れた
「珊瑚宮様!!」
「お待たせしました、私の伏兵たち、今がその時です!」
『うぉおおお!!!』
草むらに潜んでいた抵抗軍兵士たちが抵抗軍最高司令官─珊瑚宮心海の号令により、一気に戦場へとなだれ込み幕府兵たちに奇襲を仕掛けた
「軍師殿は誠に我慢強いでござるな ふっ!!」
「傭兵代を払ってもらえるといいんだがな!でぇぃ!!」
北斗の強烈な一撃に、万葉の素早い一撃で複数の幕府兵を一気に蹴散らしていく
「…万葉!」
「久しぶりでござるな、友よ!」
「あぁ」
『うぉおおお!!押せぇえええ!!』
抵抗軍の思わぬ奇襲に幕府軍は虚を突かれ、抵抗軍兵士は持てる力全てを出し尽くし幕府軍を押していった
「チッ……撤退!」
抵抗軍の奇襲を気に、徐々に押され始めた自軍の兵士たちに沙羅はこれ以上の進軍は不可能と判断し撤退を宣言。幕府軍は大将の撤退命令を受け戦場から離れていった
残された抵抗軍は撤退する幕府軍を見送り、自軍の勝利を確信し勝利の雄叫びを上げ武器を空に掲げた
後に、
「はっ!!これワカメじゃなくて海草だ!!」
己の間違いに気付いた男と、
『ぬぅぉぉぉぉぉぉ!!!!』
大量の妖怪便所こもりが抵抗軍内で発生したとか
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【永一メモ】
永一の痛覚機能は正常に動いている。
急所を攻撃されても痛みに慣れきっているため痛ぇなぁ程度しか感じていない。永井君スタイル(亜人の活かし方は佐藤さんスタイル)
般若マン2号と永一の関係は永一が般若マン2号の住む場所に定期的に衣・食を渡したのがキッカケで、般若マン2号は永一に対して恩を感じている(般若マン1号もだいたい似たようなもの)
般若マン1号と2号の関係は永一が無理やり引き合わせたことが始まりで、最初はある事情で仲はあまり良くなかったが、今では一緒に飯を食うぐらいには仲が良くなった
あと、今回のようにボスがでてきたら龍◯如く方式で名前をドン!!と貼るので悪しからず(沙羅は立ち位置的に中ボスかな)
次回は少しダイジェストで話を進めてあの場面まで書きたいです(もしかしたら無理かも…)
タイトル元ネタ:幼女戦記
稲妻編終わったら何編しよう
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そのままスメール編
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回れ右して璃月編
-
そんなことより番外編(茶番)
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まさかの過去編