タイ・ラオス叡知の旅⑥~タイのニューハーフちゃんが世界から愛される訳~
旅の最終日はカオサン通りという場所に移動して一般的な観光を楽しむことにした。
カオサン通りというのはかつて〝バックパッカーの聖地〟と呼ばれた場所。
宿が安く、一泊数百円で泊まれる宿がたくさんあったそう。
多くの日本人はここで数週間~数ヶ月連泊し、日がな一日海で遊んだり、大麻を吸ったりして怠惰な生活を送ったという。
そういうのを当時のスラングで〝沈没〟と呼んだらしい。
まぁそれも20~30年前の話。今のタイは物価が上昇し、我々が泊まった宿は1泊2000円ほどしたが、それでも日本人感覚からしたら安い。
しかも屋上にはプールが付いているリゾート仕様。
おいおい、天国かよ。
プールサイドには色とりどりの花が咲いてる。
この国、年中ずーっと途絶えることなく花が咲いてるんだよなぁ。命が枯れることなく永遠に続いてる。それもう天国じゃん。
日本もこういうルーフトッププールは探せばあるんだろうけどさ。
どうもインスタ映えのためにつくられたハリボテみたいな空間で偽物っぽさがあるんだよな。
集まってる人も自撮りを撮ることばかりに夢中で、撮れたらもう用済みみたいな感じだし。
でもここのプールは違う。本当にリゾートって感じで、時間がゆっくり流れてる。
人も少ないし、私だけの秘密の空間って気持ちになる。
プールから上がって部屋に戻る。
昼は王宮でも見に行こうよ、とひかるちゃんに誘われる。プールから見えていたあの歴史的建造物群だ。
歩いて15分くらいで行けるらしい。
王宮は膝が隠れる服装じゃないと入れないらしい。
私はミニスカートとショートパンツしか持ってないので、膝が隠れる服を買いに行こう!と外へ出掛けた。
露天で白いリゾートチックなスカートを見つける。
店主は最初350バーツと言っていたが、ひかるちゃんが値切り交渉して220バーツになった。968円くらい。
店主のおばちゃんにお金を渡すと日本語で『アリガトゴザイマース』といっていた。
タイ全般日本語が通じるが、ここら辺は特に日本語が通じる。
ホテルの前にはたくさんのトゥクトゥクが停まっているけど、これらは絶対乗っちゃだめなんだとか。
ひかるちゃんいわく、
『基本的に宿街に止まってるトゥクトゥクは詐欺だと思った方がいいよ。
ああいうのに乗るとね、今日は王宮開いてないよって言われて、ぼったくり料理屋に連れて行かれちゃうから。』
とのこと。
道を歩いてるとさっそくひかるちゃんが言ってたような怪しいトゥクトゥク集団に日本人女性が捕まっていた。
『助けてあげるべきかなぁ』
とひかるちゃんに聞いてみたが、ひかるちゃんは
『自業自得だからいいんじゃない?』
と冷たい。
『騙されるのも旅の一興だよ。』
と言っていた。
王宮はタイの一番の観光スポットだけあって、様々な客が訪れる。詐欺にはうってつけのスポットなのだろう。
だから向こうから日本語で話しかけてくるやつは詐欺と思った方がいいとのことだった。
なんかこれ、人生一般的に通じる処世術だよな。
陰キャYouTuberのコスメティック田中もかつてインド旅行に行ってた時同じようなこと言ってた。
『インドは確かに詐欺が多いけど、こちらから話しかける分には全員いい人だったし、詐欺には遭わなかった。』…と。
人生、受け身でいると色んな人から利用されて使い捨てられちゃうけど、自分主体で行動すれば自分の思うように人生を謳歌できるんだろうな。
王宮は煌びやかでインスタ映えな感じだった。
日本人のツアー客もめっちゃいた。
まぁ観光と言えばここ来ますよね、って感じの王道過ぎる場所で、インターネットをちょっと検索すれば似たような経験談はごまんと出てくるであろう場所なのでレポートは割愛する。
『どうでした、王宮は?』
とひかるちゃんに聞かれたので、良かったよと答える。
日本の神社仏閣は地味で面白みがないけど、タイのお寺は見ていて目が飽きない、楽しいね。
『日本にはこんな煌びやかな観光スポットがないから残念。日本もこういうのやればいいのに。』
と言うと
『日本も検討してるらしいけどね』とひかるちゃん。
日本では今、外国人観光客向けに皇居ツアーとかをやってみるのはどうだろうと計画が練られているのだとか。
外貨で国税を稼ぐのは大事だ。
帰り際に明日のバスの場所の確認をした。
バス停の写真を撮っていると、インド系の黒人女性から日本語で『ドコ、イクノ?』と聞かれた。
『明日ドンムアン空港に行って日本に帰るんです。でも時間が分からなくて…。』
そう言うと、女性はアハァッ!と笑って『タイ、バスの時間ワカラナイネ!』と言う。
時間なんて分かんないに決まってんじゃん、何言ってんだこいつ、という顔。
どうもタイのバスは何時何分という時刻表がある訳ではなく、一時間に一本来るよ~、みたいなざっくりとした運行らしい。
つまり運が良ければすぐ来るかもしれないし、丸々一時間待つかもしれない。渋滞してたらもっと待つことも…。
明日ちゃんと帰れるのか心配になってきた。
少し昼寝をしてたらすっかり日が暮れていた。
夜はニューハーフちゃんショーを見に行く。
タクシーを使って『カリプソ キャバレー』という劇場に向かった。
目的地へ到着。
ここは大きなショッピングモールで、観覧車やアトラクションなども併設するリッチなアミューズメント施設のよう。
舞浜のイクスピアリみたいな感じか。
チケットカウンターに予約票を見せると、受付近くにいるスタッフのニューハーフちゃんが『日本人ですかー?』と流暢な日本語で話しかけてくれた。
『21:20になったら会場が開くから来て下さいね。それまでお買い物楽しんでくださいね~』
と言われる。
『あんなにスラスラ日本語喋れるなんてすごいね。』
『日本人ニューハーフちゃん好きだからね』
と会話してると、それを聞いたニューハーフちゃんは『ハハハッ』と笑っていた。
時間が来るまでモール内を散策する。
『せっかくだからアトラクションに乗ろうよ。ホラーアトラクションみたいなやつ、乗るでしょ!』
と、アトラクションチケットを購入。
300バーツ、1500円弱くらいか。
受付のスタッフに『怖いの平気?』と聞かれる。
うん、と言うと『ウワッ!』と大きな声を出して驚かせてきた。サービス精神旺盛である。
アトラクションは宙吊りにされた椅子に座って進むライド型のもののよう。
ゾンビや幽霊、フランケンシュタインとか、なんかとにかく怖そうな西洋のものを寄せ集めた感じ。
いわゆるジャンプスケア系で、突然オブジェクトが現れて『ワッ!』と驚かせてくるようなタイプのお化け屋敷だ。
おもしろフラッシュ動画のリアル版、って感じのクオリティで、ぶっちゃけ怖さに関してはチープだったが、そのチープさ含めておもしろかった。
ひかるちゃんは『これで1500円と考えるとさ、日本のアトラクションのクオリティがいかに凄いかって思うよね。ディズニーランドなんてあの値段であんなに凄いアトラクションに乗れちゃうんだから』
と言っていた。
ていうかどちらかというとお化けより宙吊りにされてぶらんぶらん揺れる方が怖かったな。
時間になりニューハーフショーの会場へ入場。
チリンチリンチリン、とベルが鳴らされ、キャバレー内に入れるようになった。
キャバレーはラグジュアリーな空間でおしゃれ。
めちゃくちゃリッチだ!(写真じゃ伝わらないのが悔しい…!)
私たちの隣の席の女性2人はどうやら日本人のよう。
隣の隣も日本人男性客。
おぅ!?前の席の人も日本人男性客集団だぞ!
日本人は本当ニューハーフちゃん好きだな。
私もだけど…。
なんならひかるちゃん自身も女装子だからニューハーフちゃんの類と言えばそうかもだし。
ショーはめちゃくちゃにクオリティが高かった!
ブロードウェイのミュージカルを見てるみたい!!
と言ってもブロードウェイのミュージカルを見たことがないんですが…。
とにかくホンモノ!!って感じ。
ニューハーフちゃんの美しい身体のフォルム、ダンスパフォーマンスの艶やかさ、気品、全てが一流!
前に鶯谷のキネマ倶楽部でドラァグクイーンのショーを見たことある。それも素敵だったけど、やっぱり本場は比較にならないほど凄まじいクオリティ。
ニューハーフちゃんがボーイを引き連れて踊る姿は、まるでお姫様みたい。プリンセス!いいなぁ、あんな風に綺麗になって男性に跪かれるような存在になりたいなぁ、なんて憧れちゃう。
途中のおもしろ演目では前の席に座った日本人男性客がめっちゃ絡まれてて面白かった。ケラケラ笑った。
確かにこれは世界に誇る文化遺産って言っても過言ではないくらいのクオリティ。
タイがトランスジェンダーに寛容なのは、宗教的に生まれ持った性別にこだわりを持たないという側面もあるのだが、こうしてトランスジェンダーたちが美しさを芸術として極めてきたからなんだろうなぁと感じる。
それにはとてつもない苦労があって、並大抵の努力でたどり着けるものではなかったと思う。
でもそれを乗り越えてきたからこそ世界でも評価されるほどの美しさを得た訳で。
それによって外貨を稼ぎ、今や貴重な観光資源として成り立ち、彼女たちが国を支えている訳だ。
それは尊敬に値する存在であり、憧れの対象でもある。
なるほど、タイのニューハーフちゃんが世界から愛される訳だ。
まさに旅の締めくくりを飾るには相応しい、最高のショーだった。
翌日。
いつ来るか分からない空港行きのバスは意外にも早く来てくれた。
空港に到着。
タイ王国の王様にコップンカー(ありがとう)して帰る。
ラオス・タイ旅行で使った金額は飛行機代抜いたら総額10万円くらい。
日割りで1日1万円と考えればまぁまぁ。
女遊びをしなければもっと安く過ごせただろう。
あれ?海外旅行って、場所によっては国内旅行よりリーズナブルなんじゃない??
へぇ~。
なんとなく海外旅行って高いもんだと思ってたけど、案外そうでもないんだな。
これならまた行ってみてもいいかも。
ていうかまた行きたい!
ラオスのコンカフェ行ってないし!
あ、すみません、このシリーズ、現段階で④が欠番になってると思うんですが、note運営からエロ過ぎぃ!ってダメ出し食らって公開出来なくなっちゃいました。
今回の旅、バッチリ取材のテーマが決まってたのがラオスの件で、その他は行き当たりばったりだったので、noteの小話でまとめる程度でいいかなーと思ってたんですよ。
人の旅行記なんて興味ないでしょ?
でも、行ったら行ったでやっぱり書き記したい事たくさんあって。
日本では考えられない、ぶっ飛んだ叡智(えいち)も秘められていた訳で。
また同人誌か何か、自由な表現媒体で東南アジアの叡智を共有できたらいいな。


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