三菱UFJ貸金庫窃盗、元行員「17億〜18億円分手を付けた」 東京地裁公判
三菱UFJ銀行の支店の貸金庫から顧客が預けた金品を盗んだとして、窃盗罪に問われた元行員、山崎由香理被告(46)の公判が25日、東京地裁であった。山崎被告は被告人質問で100人余りの金庫から計約17億〜18億円分を盗んだと明かし「金融業界全体への不安や不信感を招き、申し訳ない」と謝罪した。
検察側、弁護側双方が追加立証を行うと明らかにし、検察側は予定されていた論告求刑を見送った。
山崎被告は2020年ごろに貸金庫の管理者となり昇進した重圧や、私生活でのトラブルから「今まで感じたことがない不安とストレスがあった」と説明。外国為替証拠金取引(FX)での多額の損失を補塡するために貸金庫の金品に手を付けるようになったと述べた。
金庫を開けるのに必要な鍵は予備を持ち出し、自宅で保管。後日金品を戻すために、被害者の名前や金額をパソコンで管理し、金庫の中身を撮影していた。三菱UFJ銀に与えた影響について問われると「私一人のために悪く思わないでほしい」と涙ぐんだ。
警視庁は被害額が現金で10億円以上、金塊で7億円相当としていたが、検察側は、23年3月〜24年10月、勤務先だった2支店の貸金庫で、顧客6人が預けた現金計約6千万円や計約3億3千万円相当の金塊を盗んだ罪で起訴した。三菱UFJ銀は顧客約70人が被害を受け、総額は約14億円に上ると公表していた。
被告は短大卒業後の1999年に入行し総合職に転じた。2024年10月に顧客から相談があり窃盗が発覚。翌月に懲戒解雇された。
被告が両支店に在籍した期間中に貸金庫を利用した顧客には使用料を返金したほか、被害額の補償もしている。〔共同〕