13-6.
そうしてユリウスは私を伴って登城した。
私たちは王城の大広間に通される。貴族たちも、大勢集まってきていた。
もう、戦のことも、右目が治ったことも、先兵に状況は聞いているのだろう。国王陛下も王妃殿下も笑みをたたえていた。
「此度の魔獣討伐、ご苦労であった。我が弟ながら鼻が高いぞ。それから、その傷。治ったことをうれしく思うぞ」
「はっ。ありがたきお言葉にございます。無事ご下命果たして参りました」
短いながらも、魔獣討伐が無事に終わったことの報告と報償の言葉が交わされる。
「ところで、ベールマー侯爵令嬢を連れて、どうしたのかな?」
にこにこと上段にいる国王陛下が笑っている。そして、並んで礼を執っている私たちを見下ろした。城下で騒ぎになったことだ。既に事情は知っているのだろう。それでも、そして兄弟だとしても、礼儀は必要だとばかりに、ユリウスが口を開く。
「私、ユリウス・アイベンシュッツは、ここにいるクリスティーナ・ベールマー侯爵令嬢と結婚したいと思っております。そのお許しをいただきに、ともに参りました」
「そうかそうか。ようやく嫁をもらう気になったか。めでたい! 私は異論はないぞ。ベールマー侯爵! ここにいるか?」
大勢居る貴族たちに向かって、国王陛下が声を投げかけた。すると、大勢の人の中から、お父さまとお母さまが姿を現した。
「ベールマー侯爵にその妻だな」
「「はい」」
「そなたたちは、この結婚に反対するか?」
国王陛下のその問いに、お父さまが大きくかぶりを振った。
「滅相もございません。王弟殿下にもらっていただけるなど、光栄の極みにございます」
お父さまが返答した。お母さまも、同意だというように、礼を執って頭を下げている。
「いやめでたい! 戦勝に、弟の結婚! 明日は祝いじゃ! 今日から準備せい!」
そう命じられて、城の使用人たちがわっと慌ただしく動き出す。
結婚を許された私っとユリウスは顔を見合わせてにっこりと微笑み合う。そして、そっと手をつないだ。
それから、大勢の人混みの中から抜け出して、私とユリウスは私の屋敷へと向かった。もちろん、私たちの結婚のことをケットシーたちに認めてもらうためだ。
「カイン、アベル。ただいま!」
私は扉を開けて、ユリウスとともに屋敷に入る。すると、ひょこっと二匹が顔を出した。
「もう安全?」
「ええ、ここにいるユリウスが怖い魔獣を倒してくれたわ」
「じゃあ、安心にゃ!」
カインとアベルがニコニコと笑った。
「ところでどうしてそのユリウスが一緒にいるにゃ? 今はお昼時じゃないにゃ」
カインが不思議そうに私たちの顔を交互に見る。
「ええっと……」
私が言いかけると、ユリウスが私を制止した。
「私から言うよ。カイン、そしてアベル。私は君たちの大切なクリスティーナを花嫁にもらいたいと思っている。もちろん、私たちの両親にも了解をいただいている。あとは君たちだけなんだ。……いいかな?」
すると、カインとアベルが顔を見合わせてしばし思案している様子を見せた。
「良いんじゃないかにゃ」
先に口を開いたのはカインだった。
「いっつも仲よさそうにご飯をたべてたにゃ。仲良しなら、結婚してもいいんじゃないかにゃ」
その言葉に、アベルが頷く。
「うん。それに、とーっても強いんだろう? だったらクリスティーニャを任せても安心にゃ!」
二匹はうん、と頷き合った。
そして、私たちの方を見る。
「「婚約おめでとうにゃ!」」
二匹そろって、祝福の言葉をくれたのだった。