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『地球人に向けて書かない。宇宙人に向けて書く』

去年、児童文学家協会様主催の『児童文学学校』にて、講師を1コマ担当させていただいた。
以前担当した児童文芸家協会様主催の『エンタメ講座』につづいて、こうした講師の仕事は2度めなのだけど、さすがにもう僕に講師を依頼するような酔狂なところもないだろうと思っている…。(や、僕、こういう話しかできないのよ… → https://note.com/varitra/n/nb11f7790bec1

とはいえ、自分がふだん考えていることがどうしたら伝わるか? と、結構がんばって考えて資料を作ったものなので、このまま眠らせてしまうのももったいないなと思い。
『僕が創作で心がけてる言葉7選』と題して講義した資料を、数回に分けて掲載していくことにします。

ということで、ひとつめはこれ。
『地球人に向けて書かない。宇宙人に向けて書く』

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これは、どういうことかというと…

僕はデビュー前、公募でぜんぜん結果が出ないので、
「いったいどういう作品が、選考を通過しているんだろう…?」
と思い、受賞作とかネットで公開されてた最終選考作を、漁って読んでたことがあったんです。
そのときに思ったのが、
「自分の作品の方が面白いのに、なんでこっちの方上げてんだ…?」
「こいつらの目は、節穴か…?」
「それかこいつら、宇宙人だろ!!💢」
…ということでした。

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もちろん、「どういうポイントが評価されて、その作品が上に挙がったのか / 受賞したのか」とかはわかるのだけど……その評価する軸自体が、自分にとってはそこまでおもしろいとは思えない(少なくとも、惚れられない)ものだったので。
なので、「え~、選考ってこんななの~…?」「表で言われてる威勢のいい言葉はなんやねん!」と、腹が立ったというか、落胆したのを覚えていて。

そうした腹立ちとか失望の感情って、小説を公募に出している人……より広くいえば、「なにかに挑戦したことのある人」にとっては、結構共通する感情なんじゃないかと思うのです。
で、この感情ってなんだろう…? と。

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創作にかぎらず、なにかに熱中して熟達していくプロセスって、ダイビングみたいなものかなと思っていて。
はじめは、『自分が書いていて楽しい』。
これは、だれに文句を言われることも、褒められることもない無評価の世界。浅い海辺で泳いでいるようなもので、ほんとにただただ楽しい世界。
それが、潜っていくと、だんだん、『自分にとって面白い作品を書けるか?』とか、『自分に近い誰かにとって、面白い作品を書けるか?』とか、それが自分の目か他人の目かはさておき、だれかの視線(=評価)に晒される領域になってくる。
で、さらに潜っていくとこれが、深海になっていって…。
浅いところで泳いでいたときにはまったく感じなかった、謎の水圧がかかってくるというか…。
あれ? しんどいな…って。

僕は、こいつら宇宙人だろ! って落胆した時点において、『自分にとって面白いものを書く力』と『自分に(価値観や生き方が)近い人にとって面白いものを書く力』については、まあまあ自信があったんだけれど。
自分から遠い誰かにとって面白いものを書くことは、想定してなかったなと。
「そもそも、自分に価値観が近い人なんて、生きてきてほとんどいないんだし、遠くに向けなきゃしかたなくね…?」と気づいて。
で、
「こいつらの目は節穴なんだけど、そもそも、作家の仕事って節穴に目玉を突っ込むことなんじゃねえのか…?」
「こいつらが宇宙人なら、もう宇宙人向けに書くしかねぇんじゃねえか…?」
と思うようになっていって。
だいぶ頭湧いてるんだけど。

それでもやっぱり、好意を持てない宇宙人のために書きたくはないし、情熱をもって書けないよな~とか、宇宙人は宇宙人でも、好きになれる宇宙人に向けて書きたいな~とか考えていて。
そんなときに、つばさ文庫の第一回公募をみかけて、「あ、子供って宇宙人だし、好きだな…」と思ったのが、僕が児童書ジャンルに足を踏み入れたきっかけだったりする。

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子供向けの小説、というものを考えたときにはじめて、「自分がおもしろいと思うものをそのまま相手に手渡すのって、エゴだよな」と、すんなり思えたのです。
相手を宇宙人だと想定すれば、「つうじないのはあたりまえ」と思える。相手の生態や、相手の銀河の文化や風習に興味を持って、そのうえで自分を伝えることが必要だと自然にわかる。
相手を地球人だと想定していたから、「なんでわかってくれないの? おなじ地球人なのに!」って気持ちが、出ちゃってたんだろうな~と。
それはたぶん、甘えなんだよね。

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まあ、自分に近い人がたくさんいる(自分と価値観の近い人がたくさんいる)人の場合は、こんな面倒なこと考えなくてもいいんだろうけど。
僕みたいに、共感では戦えないタイプの場合は、「遠くの宇宙へ向けて言葉をかけること」が、重要なんじゃないかなと思っている。
創作っていろんな技術論とかあるんだけど……個人的には、そうしたテクニックを乗せる土台となる部分の意識が一番重要で、そこさえうまくハマればあとは、自然にプロになってるんじゃないかな~…とか思ってたり。

ということで、僕が創作で心がけてる言葉のひとつ、
地球人に向けて書かない。宇宙人に向けて書く』
でした。

ほかの言葉も、不定期で更新していきます。

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コメント

1
緋村燐
緋村燐

すみません、宇宙人に笑ってしまいました😂
でも確かに自分とは違う価値観の人にも届けたいと思うなら、それくらい別の存在として考えた方が書けるのかな、と思いました。
こちらの記事を読んでいて、『自分から遠い誰かにとって、面白い作品』というのがいわゆる決まっている作品の型なんだろうな、と思いました。
問題は、その型をどう自分らしく書けるかですよね……

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『地球人に向けて書かない。宇宙人に向けて書く』|針とら
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