「わざわざコンビニ」なぜ? レジ死角のATM、偶然目にした銀行名
愛媛県八幡浜市のコンビニエンスストアで、店員らが見事な連係プレーで特殊詐欺の被害を防いだ。活躍した3人に、八幡浜署から感謝状が贈られた。 【写真】「ひき逃げ事件か?」 路上に横たわる男子高校生をガードマンが保護 10月1日午後1時ごろ、「ローソン保内(ほない)喜木(きき)店」。コピー機の定期点検をしていた中山俊介さん(67)=愛媛県宇和島市遊子(ゆす)=が異変に気づいた。 すぐ隣のATMで、高齢男性がスマホで話しながら画面を操作していた。ATM利用者の多くは用が済めばすぐに立ち去る。だが男性は長い時間、通話相手に尋ねながら、不慣れな手つきで操作していた。 中山さんは特殊詐欺を疑った。だが、ためらいもあった。 「ほんまに詐欺なんかな。声をかけて、嫌がられてもあかん」 その時、男性が持っていたキャッシュカードの銀行名が目に入った。すぐ近くに、その銀行のATMがあるのを知っていた。「わざわざコンビニに来る必要ないのでは」と思い、レジにいた店員の佐竹あゆみさん(52)に詐欺の疑いを伝えた。 佐竹さんはすぐにATMへ。声をかけると、男性は「年金機構からお金がもらえる」と説明した。 通話中のスマホの画面を見せてもらうと「非通知」の文字。佐竹さんは「その電話、切ってください」と頼んだ。 佐竹さんはバックヤードにいた店長の斉藤省三さん(53)に報告。斉藤さんはすぐ八幡浜署に連絡し、原付きバイクで去ろうとする男性を引き留めた。その後、到着した署員に引き継いだ。 署によると、男性は年金機構を名乗る人物から「5万円余りの還付金がある」と自宅の固定電話に連絡があり、それを信じたという。 署は11月11日、3人に感謝状を贈った。コピー機の点検を担う会社の社員だった中山さんは、今回の活躍が社長に伝わり、社内報で取り上げられたという。会社を10月末で退職し、担当していた県南部各地のローソンに点検に行くことはもうないが、「コンビニに行くことはある。間に合わなかったらいけないので、今度からは自分で声をかけたい」。 佐竹さんは「中山さんが言ってくれたので気がついた。たまに来られていたお客さんだったので、声をかけやすかった。これからも進んで声かけをしていきたい」。斉藤さんは「実際に被害に遭われた方も知っている。声かけは積極的にやっていかなきゃいけないなと、今回改めて思いました」と話した。(中川壮)
朝日新聞社