据置型Wi-Fiルーターの契約は高齢者を中心にトラブルが増加傾向 なぜ?誰の身に起こりえること
スマホやタブレットなどを多くの方が使うなかで、国民生活センターは、据置型Wi-Fiルーターの契約に関する高齢者のトラブルが増加傾向にあるとして、注意を呼びかけます。その理由に、高齢者が店員にスマホの操作方法やトラブル解決などを尋ねようとして、携帯電話ショップなどを訪れて、よくわからないまま勧誘されて、契約してしまう状況があるようです。
しかし「据置型Wi-Fiルーターって何?」と思った方も、トラブルに巻き込まれる可能性があります。70歳以上の方が全体の件数の3割を占めているとはいえ、50代、60代、20代の順で、この種のトラブルが多く発生しています。なぜなのでしょうか。
据置き型Wi-Fiルーターとは?
据置き型Wi-Fiルーターとは、モバイル回線を利用してネットに接続する無線ルーターのことで、ルーター本体にSIMカードを挿入し、コンセントにさすだけでWi-Fiが利用できます。光回線と異なり工事が必要なく、すぐに利用できる点がメリットです。
国民生活センターによると「据置型Wi-Fiルーターは設置場所の中心を設定する必要があり、利用できる場所は限定されます。また障害物の所定を受けやすく、設置場所によってはつながりにくい場合がある」といいます。
そうしたなかで、契約したものの「電波状況が悪くつながらない」や、勧誘の際に「無料といわれて契約したが、解約したら高額なルーター本体の代金を請求された」といった相談が寄せられています。
「契約時にきちんとした説明があれば契約しなかった」という相談も
【事例1】
70代男性のスマートフォンがつながりにくくなり携帯電話ショップで相談すると、据置型Wi-Fiルーターを勧められた。Wi-Fiは使わないと伝えたが「ルーター本体は約7万3000円だが、サービスで毎月約2000円を割り引くので実質無料」といわれたので契約。後日、請求明細を確認すると、通信料金が前月より約5000円高かったので、解約を伝えたら「3年間契約を継続すればルーター本体は無料だが、中途解約する場合は本体の代金を支払ってもらう」といわれます。
契約時にきちんとした説明があれば契約しなかった。
【事例2】
70代男性が、スマートフォンの調子がおかしかったので携帯電話ショップで相談したところ、ウイルス感染が見つかり3000円で削除してもらった。スタッフに「携帯電話料金が毎月2~300円安くなる」と言われ、安くなるならと思い、何の契約かよくわからなかったが、契約を承諾した。
料金の確認をすると、今まで5000円位だったのに1万円以上になっていた。その後、据置型Wi-Fiルーターの契約をしていたことを知らされた。それについて全く説明がなく、とにかく安くなるということだけを聞いていた。
自宅には以前から別のWi-Fiがあるので必要ないし、お金がかかるなら契約しなかった。解約したいと伝えたところ「解約は可能だが、今後は約36回にわたって携帯料金が1900円位高くなる」とのことだった。無条件で解約したい。
これらのケースでは、店員の説明不足の面が大きくあるように思いますが、一方で利用者も契約書面などを見ていると思いますので、それをよく理解しないまま契約した面も否めません。
トラブルを防ぐために知っておくべきこと
トラブルに遭わないためには、利用者が知識をもっておくことが必要です。
同センターは三つの注意点をあげます。
一つ目は「家族を含めて、自宅のインターネット環境の有無やネットの使い方などを確認しておき、どの程度のデータ量を使っているのかを認識しておく」ことです。
お店の側から「料金が安くなる」といわれても、上記の点がわからない時には、その場で契約を避けることが大事です。
二つ目は、契約前に「月額の請求額がいくらになるのかだけでなく、契約それぞれの通信料金やルーター本体代金の解約時に発生する料金についても確認する」こと。
三つ目は、契約後に「キャンセル、解約したいと思った場合は、できるだけすみやかに事業者に申し出る」こと。
通信サービスの契約は、電気通信事業法における「初期契約解除制度」の対象です。契約書面を手にしてから、8日目までの間に契約解除などの書面を出すことで、契約解除が可能です。ただし、据置型Wi-Fiルーター本体の購入契約は解除の対象ではありませんので、違約金や本体代金などを払うことになります。
説明と違い、通信速度が遅く、今までつながっていた通信機器もつながらず…
次のような事例はどうでしょうか。
【事例3】
20代女性は、スマートフォンの機種変更をするため、家電量販店に行ったところ、「現在使用している携帯電話会社Aよりつながりやすくなり、速度も速い。今乗り換えると安くなる」と通信速度の数値を見せられたうえで、携帯電話会社Bの据置型Wi-Fiルーターを勧められて契約しました。手続時、タブレット端末の自動再生による重要事項説明でチェック操作を行ったが、口頭での具体的な説明はなかった。
ルーターを使用したところ、勧誘時の説明と違い、通信速度が遅く、今までつながっていた通信機器もつながらず、スマートフォンの検索サイトが立ち上がらないなどの支障があった。
「事業者がうたう通信速度は最大通信速度であり、実際は回線の混雑状況や消費者の通信環境により通信速度が変化するベストエフォート形式がとられているため、必ずしも通信速度が速くならないことがあります」と同センターは指摘します。
「電波状況が不充分であること」や「料金などの契約前の説明や書面交付に問題があった」ことが認められた場合には、「確認措置」という特例で通信サービス、Wi-Fiルーター本体ともに解除可能な場合があります。しかしすべての携帯会社が「確認措置」をしているわけではないので、注意が必要です。
電話勧誘によるトラブル
店舗に赴くだけでなく、電話勧誘によるトラブルも発生しています。
【事例4】
光回線を利用している20代男性は、電話で現在のネット通信料金を聞かれ、月額4500円位と答えたら「据置型Wi-Fiルーターに乗り換えたら、月額約3000円になる」と勧誘されて承諾しましたた。昨日、ルーター本体と契約書が届いたが、ルーター本体代金約10万円と月額通信料金から契約後1年間の割引があり、合計で月額約4000円となっていた。電話で説明を受けた料金と異なっているので解約したい。
同センターは「電気通信事業法では、契約前の説明時に説明内容を記載した書面を事前に消費者に交付し、それにもとづいて説明することが原則となっています。それがなされていない事例」といいます。
このようなケースでは、通信サービスの契約が解除可能です。また、電話勧誘販売・訪問販売での契約にあたるので、Wi-Fiルーター本体も「クーリング・オフ」の対象となります。
いずれにしても、トラブルに遭った時には「188」(消費者ホットライン)に相談するようにして下さい。
かなり悪質な勧誘事例も
非常に悪質な勧誘と思われる相談もあります。
【事例5】
80代女性が、スマートフォンの使い方を聞きに家電量販店の中にある携帯電話会社のコーナーに行くと、最後に「これを持って行ってくれ」と白い箱を2つ渡された。
何も説明がなかったが「いいから持って行って。家に帰ったらスイッチを入れるだけでいい」といわれたので無料でもらえるのかと思った。家に持って帰ったが、どう使うかわからないので箱から出していない。
毎日のようにSMSで「設置するように」と連絡がくる。他の携帯電話会社の店で相談したら「なぜそんな高い契約をしているのか」と驚かれ、据置型Wi-Fiルーターを2台契約していたことがわかった。返品したい。
この事例は、ネットに精通していない高齢者の不理解に付け込み、ルーター2台を契約させていますので、かなり悪質だといえます。
本来、利用者のことを考えれば、まず本人のネット環境などを把握して、契約内容を理解させてから契約をさせるべきです。
同センターも「据置型Wi-Fiルーターの本体代金や通信料金が発生することを消費者に正しく認識させていない」として「事業者の方には、勧誘される方にきちんと説明して下さいというところには尽きる」と述べています。
お店、顧客のトラブルを起こさない両輪が必要
総務省はこの種のトラブルが起こらないように、事前に利用者のネット環境を把握して、その人の利用実態に合ったサービスを提案、勧誘する取り組みを、携帯会社に呼び掛けています。業界団体もそれに応じる姿勢をみせています。
しかし、直接に顧客と接する一人一人の店員に、その内容がしっかりと伝わらなければ、何の意味もありません。
一方で利用者の側も、自分の通信環境の状況がわからない場合には契約をせず、きっぱりと断る姿勢も求められます。
いずれにしても、お店の顧客対応と利用者側の知識向上の両輪が、トラブルを増加させないためには必要です。