政府が策定する経済対策案が報道されている。自治体が自由に使える「重点支援地方交付金」を拡充し、地域で利用できるプレミアム商品券やマイナポイントの発行を支援する。物価高で力強さを欠く個人消費を喚起し、高市早苗首相が掲げる「強い経済」の実現に向けて賃上げや投資を促進する方針だ。
15日の日経新聞によれば、「裏付けとなる2025年度の補正予算の歳出規模は前年度を上回る14兆円程度とする。所得税がかかり始める「年収の壁」の引き上げやガソリン税などに上乗せされる暫定税率の廃止による大型減税も盛り込む。経済対策は21日にも閣議決定する」と書かれている。
この記事は、閣議決定までは時間があるので、おそらく関係者からの既成事実化を狙ったリーク記事ではないか。それでは、マクロ経済的にどの程度の対策が求められているのか。
足元の国内総生産(GDP)をみると、7~9月期で前年同期比で2%程度のマイナスになっている。そこで、筆者なりのGDPギャップを算出すると20兆円程度になる。経済対策による有効需要でこの差を埋めないと、半年後程度から失業率が上がり、物価が低迷する。7月の失業率は2・6%であり、やや上昇傾向だ。
7月の消費者物価は、対前年同月比でみると総合2・9%、生鮮食品を除く総合2・9%と高いように見えるが、基調を示すといわれる欧米コアの食料・エネルギーを除く総合では1・3%と、インフレ目標の2%に及ばない。
こうしたときの経済政策のセオリーは、GDPギャップを埋める有効需要だ。これは真水で20兆円程度の経済対策だ。報道によると財政出動14兆円で減税措置があるので、17兆円程度だろう。
経済対策の中身はまだ明らかにされていないが、昨今の南海トラフでの地震確率再推計、相次ぐ下水道破裂事故、将来ともにノーベル賞を獲得するための研究開発、造船・次世代動力潜水艦のための投資。さらに日米レアアース協定を受けた海洋投資などで、あと3兆円以上の投資が必要であろう。
そのためには、現在の社会的割引率4%の見直し、現在の10兆円研究ファンドの使い切り型への変更などを含めて、現行制度の見直しと新基金の創設が必要であろう。
今査定中の来年度予算は石破政権で方針が作られたので高市カラーは出せないが、補正予算なら出せる。今の高い内閣支持率を維持するためにも、高市カラーの経済対策を見たいものだ。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)