「非対面試験はAIで見るのが国民ルールではないですか」
最近、韓国の大学街は「AIカンニング」で疲弊している。 チャットGPTのような「生成 AI」をつけたまま試験を受ける不正行為疑惑が、ソウルの主要名門大学で相次いで提起された。 「正直に試験を受ければバカ」という自嘲混じりの声まで出ている実情だ。 しかし、AIに答案用紙を任せる間、私たちの脳は静かに作動を止めているという警告が出た。
このような混乱の中で「30代以上は自負心を持っても良い。 私たちはチャットGPTが出る前にすでに大学を卒業したのではないか」という笑い話まで出るほどだ。 生成 AIが登場して3年も経っていないが、すでに全世界にはAI狂風が吹いている。 生成 AIへの依存度は天を突く勢いだ。 特に、大学街は狂風を越えて混乱そのものだ。 レポートは基本であり、複雑なコーディング、情報分析までAIがあっという間に成し遂げたため、学生たちはAIに事実上すべてを委任している。 すでに全世界の大学生の86%が学業にAIを定期的に使用しているという調査結果も出た。 1年前までは「どう使うか」を悩んだとすれば、今は「AIなしでは勉強できない」という話が出るほどだ。
国際学術誌「ネイチャー(Nature)」は最近、「大学はAIを受け入れている:学生たちはもっと賢くなるのか、それとも考えを止めるのか」というタイトルで、このような大学街のAIパラドックスに集中的に注目した。
最も衝撃的な警告は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボから出た。 ナタリヤ·コスミナ博士の研究チームは最近、学生54人の脳波(EEG)を測定し、エッセイを書かせた。
結果は驚くべきものだった。 AI(LLM)の助けを受けて文を書いた学生たちは、自ら考えて書いた学生たちより脳の連結性が顕著に低く現れた。 脳の様々な領域が情報をやりとりしながら疎通する活動がほとんど開店休業状態だったわけだ。 さらに大きな問題は、この学生たちが自分がAIと一緒に書いた文の内容をほとんど覚えていなかったという点だ。
コスミナ博士は「全世界の教師たちから『生徒たちがAIを使いながら教室で何が起きているのか分からない』として切迫した心情のEメールを4000通も受け取った」と吐露した。
これは中国の清華大学の研究でも同様だった。 清華大学の王秀國教授がAIチューター(課外教師)を使った学生たちの成績を分析したところ、授業直後の本試験では点数が高かったが、2~3週間後にはむしろAIを使わない学生たちより成績が落ちた。 ワン教授はこれについて「学生たちがAIの助けで正解を当て『理解した』という偽りの感覚を持ったため」と分析した。
しかし、AIが学生たちの思考力を崩すだけではない。 どう書くかによって人間教師より優れた「助力者」になれるという研究結果もある。
米国ハーバード大学のグレッグ·ケスティン博士研究チームが開発した「AI物理チューター」が代表的だ。 このAIは生徒たちに絶対に正解をすぐに知らせない。 代わりに学生が詰まる部分を把握し、「この現象を説明する他の概念はないだろうか?」として絶えず質問を投げかけ自ら考えるよう誘導した。
この積極的な学習方式を適用したAIから学んだ学生たちは、人間教師から学んだ学生たちより成績がさらに高く出た。 単純に答えを探す近道ではなく、考える過程を助けるガイドになる時、AIの潜在力が爆発するということが立証されたわけだ。
大学も足早に動いている。 米国オハイオ州立大学はすべての学生に「AI活用能力」教育を義務化し、中国清華大学は色々なAIモデルを結合して学生たちの質問に答える自主システムを構築した。
評価方式も変わっている。 オーストラリアのシドニー大学は、興味深い二重評価システムを導入した。 一つは対面実技試験と口述試験などAI使用が源泉禁止されたセキュリティ評価だ。 もう一つはレポートなど課題物だが、ここではむしろAI使用を許容する。 AIを活用して課題をしても、結局セキュリティ評価で自分の実力を証明しなければならないため、学生たちがAIを答案用紙ではなく学習ツールとして使うように誘導する戦略だ。
再び前に戻ってMIT研究チームは学生たちの脳が「開店休業」状態であることをどのように知ったのか、脳の電気信号を読む「脳波(EEG)」分析技術のおかげだ。
脳波分析は、科学者たちが人間の複雑な精神活動を垣間見る強力な窓だ。 最近の脳波研究は教育だけでなく、生命の最も驚異的な瞬間を捉えることにも使われた。 22年、米ミシガン大学の研究チームは、生命維持装置を取り除いた昏睡状態の患者の脳波を測定した。
驚くべきことに、患者たちは心臓が止まった直後にも数秒間意識が活発な時に現れるガンマ波を爆発的に噴き出した。 これは死の入り口で体験する臨死体験(人生がパノラマのように通り過ぎる経験)の科学的証拠と解釈された。 脳が酸素不足という危機状況で、最後の生存モードをつけたという分析だ。
偶然にも脳の最後の瞬間を明らかにした脳波技術が今はAIに依存して「考えを止めた」脳の姿を赤裸々に見せている。
ネイチャーは「大学がAIをまともに教えられなければ学生たちの知的能力を阻害する危険がある」と警告する。 今や教育の焦点は知識を暗記することから、AIが出した答えを批判し判断し、AIと協力する能力に移らなければならないという指摘だ。