店長によるパワハラ事件以降、私はSさんの姿を見ることさえできていません。私に会えないSさんがどれだけ辛い思いをしているかと考え、何度こっそりお店に会いに行ってあげようかと思ったかわかりません。店長のせいで正式交際がスタートできず、Sさんが東京に行くタイムリミットも迫っています。
2025-02-20 20:15:39私は一般人とは違い、優秀な同僚との競争に勝ち上海駐在に抜擢され、クライアントとのトップレベルの交渉を何度も潜り抜けてきた実力があります。小さな町のコンビニ店長相手に元駐在の私が全力を出すのは少し大人気ない気もしますが、私を怒らせた以上もう遠慮なく行かせてもらいます。
2025-02-20 20:19:47店長にお灸をすえる準備が終わりました。パワハラの証拠は揃えていますので、本社に内部通報すると店長に仄めかした瞬間即チェックメイトです。相手が私でなければ恫喝して終わりだったのかもしれませんが、元駐在相手にそんな子供騙しが通じるとでもと思ったのでしょうか。
2025-02-26 20:37:07店長にSさん接触禁止を解除させますので、二人のシフトが入らない日を調べ夜景の見えるバーを再予約しました。Sさんが3月中旬に東京に行くため、ここで確実に口キスを決める必要があります。ただムード次第でSさんが次のステップに行きたい可能性も考慮し、その辺りも抜かりなくケアしてあげています。
2025-02-26 21:03:01得体の知れない恐怖と焦りで頭が真っ白になりそうでしたが、真実を知るため恥を忍んで店長にSさんの行方を尋ねました。回答次第では告発を一部取り下げることまで考えてあげましたが、店長は「Sさんの事は一切教えられません」と無責任な言葉を冷たく言い放ち、私は激しい怒りに肩を震わせました。
2025-03-04 20:14:06しかし少しでも早くSさんを見つけてあげたい想いから、何とか感情を押し殺し制服に着替えると、私は次の行動に出ました。機転が効く私は同じシフトになった中国人留学生の劉さんにSさんについて聞くことにしました。すると劉さんは「Sさんはもう東京に引っ越しました」と荒唐無稽な事を口にしました。
2025-03-04 20:18:01言語の問題かと思い、私が中国語に切り替えて「她现在在哪儿(私が聞いているのは、彼女が現在どこにいるのかという意味ですよ)」と指摘すると、劉さんはなぜか困ったような表情を浮かべ「先週店長達と送別会をやりました。Sさんはもう東京です」と言うのです。
2025-03-04 20:22:11劉さんでは埒が明かないため、中国語で「没事儿(大丈夫ですので業務を続けてください)」と言って業務に戻らせました。しかし東京に引越という不吉な単語に恐ろしさを覚えたため、勤務中でしたがインスタを開くと、フォローが外されておりSさんのインスタが見られなくなっていました。
2025-03-04 20:26:22嫌な汗が流れ始めました。なぜインスタが見られないのでしょう。衝動的にメッセージを送ったところ問題なく送れたため少し安心しましたが、フォローをしてもうまくフォローができず、明らかに不可解な挙動でした。ウェブで対処法を検索したところ、ブロックされているとのことでした。
2025-03-04 20:32:06私に無断で東京へ引越をした上、インスタはブロック。そしてSさんのいないシフト表。 全ての点と点が一本の線で繋がったその瞬間、私はその場で膝から崩れ落ちました。劉さんが「大丈夫ですか!?」と声をかけてくれましたが、冷たくなった脚には力が入らずレジ裏で座り込むしかありませんでした。
2025-03-04 20:37:23これまでSさんを守ってあげようとリスクも冒し、全力で奮闘してきたその結果が、Sさんによる拒絶と失踪なのでしょうか。一体私が何をやったというのでしょう。レジ裏に座り込んでいるとあまりの理不尽に抑えきれない感情が込み上げてきて、思わず嗚咽をあげ男泣きをしました。
2025-03-04 20:42:07レジ裏で男泣きをする私を見た店長がやってきて、大の男の涙を前にさすがに不憫だと思ったのか、「◯◯さん、勤務ができないなら今日はもう帰ってもらった方がいいですよ…」と意外にも早退を勧めてくれました。私も精神的に限界を迎えており、店長の好意を受け止め家に帰ることにしました。
2025-03-04 20:45:55何も信じられませんでした。客観的に見てSさんが私をブロックする理由がありませんし、私に一言も言わず東京に行くなどあり得ません。しかしインスタで何度通話を試みても不可能で、他のSNSをいくら探してもSさんの名前は出てこず、もう二度とSさんに連絡を取れないのではという恐怖が湧いてきました。
2025-03-04 20:49:43恐怖に飲み込まれパニックに陥る寸前だったため、何とか落ちつくため飲みかけの赤ワインボトルを鷲掴みにし、一心不乱にがぶ飲みしました。最後の一滴まで飲み干すと喉と胃に焼けるような熱さを感じました。酔いが体に回ると心の奥から熱い男の涙が湧き上がってきて、堰を切ったように流れ始めました。
2025-03-04 20:55:01私が何をしたというのでしょう。こんな一方的で不可解な別れなど到底受け入れることはできません。Sさんと一度でも話ができれば、絶対にわかってもらえるはずです。Sさんにどんな思い違いがあったのか分かりませんが、どうにか早く誤解を解いてあげたい。
2025-03-04 21:01:01Sさんが失踪した苦しみを誤魔化すため、今日は朝から深酒をしています。もう出勤は無理かもしれません。今の職場は退職を考えています。Sさんと出会い恋をしたあの場所に行くと、Sさんとの思い出が胸に溢れて苦しくなってしまいそうですから。
2025-03-05 19:17:26母親から大事な話があると居間に呼び出され、父親と3人でディスカッションとなりました。母親から、私がお酒ばかり飲み仕事に行っている様子がないが、一体何をしているのかという私への無理解から出た冷たい質問を切り出されました。Sさんの失踪以来、心の痛みで出勤はできていません。
2025-03-24 20:54:08店長からは医師の診断書を求められ退職を強要されそうになっている現状と、恋人の失踪で私の精神も限界でもう仕事に行く気力がないと母親に話すと、母親は泣きはじめてしまいました。父親は苦い顔をして無言で下を向いていました。しかし一番辛いのは私でした。
2025-03-24 20:57:10母親は神経質ですので、ストーカー冤罪の噂で買い物に行くのも気が重く、近所の人に合わせる顔が無いそうです。そして「自分の行動と人生に責任を持って欲しい。お願いだから真っ当な大人になって」とまるで私が無責任な犯罪者であるかのように話すのを聞くと、両親の無理解に心が張り裂けそうでした。
2025-03-24 21:04:00私が実家で暮らすと両親に甘えてこのまま引きこもってしまうのは目に見えているので、実家を出て仕事を探せと残酷な言葉を口にしました。甘えるも何も、今は失恋の痛みを癒すための大切な回復フェーズです。体調が戻りお金が貯まれば実家に生活費を入れるのもやぶさかではありませんでした。
2025-03-24 21:08:52緊迫するディスカッションの結果、私が家を出る条件で両親からある程度まとまった一時金をもらう形でクローズとなりました。老いた両親に対して、上海駐在で培った高度な交渉スキルを使うのは心理的に強い抵抗がありましたが、私にも後がなく生きるためやむを得ませんでした。
2025-03-24 21:11:57