私に非は無かったため、運命に翻弄されたとしか言いようがありません。 彼女に勤務先の酒場で知り合ったというタイ人事業家を紹介され、カタコトの英語と彼女の翻訳を通してお酒を飲んで話していると意気投合してしまい、私と事業家の2人でビジネスを立ち上げることになりました。
2024-12-19 19:25:58事業家はタイに会社を持っており、立派なスーツを着ていました。タイの日本人向けビジネスに巨大な商機があるため、上海駐在経験がある私に、役員かつ共同出資者になって欲しいと熱く頼みこまれました。提示された役員報酬も魅力的で、私の実力を活かしタイで人生を挽回するチャンスに震えました。
2024-12-19 19:30:25事業家が当初出してきた事業計画は、上海駐在経験もあり国際ビジネスに強い私の目を通して見ると、見通しや詰めが甘い部分が多々あり、そこは厳しい指摘を入れて修正させました。最終的に出てきた事業計画はまあ及第点といったところでしたが、会社設立へのゴーサインを出すことにしました。
2024-12-19 19:35:18登記手続きのペーパーワークは事業家が進めてくれており、書類は全てタイ語でしたが英語の翻訳がついていました。私は英語のスピーキングはあまり得意ではありませんが、受験英語で鍛えたリーディングという武器がありますので、書類は難なく読むことができ、英文を完全に理解した上で署名をしました。
2024-12-19 19:39:46登記の直前で事業家から、タイ国内の銀行口座からでないと法律上資本金の払込ができないため、可能であれば彼女の口座を通して払込を行った方がいいとの指摘を受けました。そこで日本の銀行口座にあったほぼ全額を一時的にですが彼女のタイ国内口座に海外送金しました。ここまでは全て順調でした。
2024-12-19 19:46:57当面の生活費は役員報酬で賄う予定で、登記完了の数日後には最初の役員報酬受取のはずでした。しかし彼女に送金をした翌日、私が外国人株主のため政府の許可がおりないと突然事業家から連絡がありました。慌てて彼女に連絡をしようとしたのですが、そこで彼女と全く連絡がつかないことに気づきました。
2024-12-19 19:51:39すぐに事業家とのLINEも既読がつかなくなり、電話も繋がらなくなりました。嫌な汗が吹き出してきて、目の前が真っ暗になりました。 そして更に恐ろしい事実に気づきました。日本に帰れない状況になっていました。
2024-12-19 19:55:06タイの入国時に取消可の帰国チケットを別に買っておいたのですが、帰国日が不明で取消していたのが仇となりました。役員報酬を見込んでいたのでクレジットカードは既に限度額限界まで使用、その引落用口座もほぼ空、手持ちの現金もわずかでした。ホテルのチェックアウトと同時に路上生活が確定します。
2024-12-19 20:07:51最後の頼みの綱として、祈るような気持ちで離婚した妻に電話しました。しかし呆れたことに前回癇癪を起こして以来まだ私をブロックしているのか知りませんが、妻はこんな重要な時に電話に出ない暴挙に出ました。何十回もコールしたのにLINEの通話音だけが虚しく鳴り響き、指が震えてきました。
2024-12-19 20:15:44胸の鼓動が気持ち悪いほど鳴り響き、手が震え吐き気が込み上げてきました。何とか震えを抑えるため、ホテルの部屋に置いていた赤ワインの小瓶を鷲掴みし、思わずがぶ飲みしました。2本小瓶を空けたところでアルコールが回ってきて、体が熱くなる感覚と共に少しずつ落ち着きを取り戻してきました。
2024-12-19 20:23:25心を落ち着けると、恥を忍び実家の両親に航空券購入を頼むという最後の手を思いつきました。両親とは妻との離婚以来、両親の無理解により少し疎遠になってしまい、彼らが口を開けばまるで私が悪かったかのように離婚の事を当てこすられ辟易としていましたので、あまり連絡を取っていませんでした。
2024-12-19 20:28:23しかしもはや私の人生には後がなく、苦悩の末に母親に電話しました。困惑した母親が電話に出ると、私は近況を話しました。タイに行ったことは話していなかったため、会話の途中で話を信じてもらえず詐欺だと疑われる場面もありましたが、何とか状況を理解してもらいました。
2024-12-19 20:32:58母親は情けないと言って泣いていました。状況があまりにも複雑のため、高齢の母にはすぐに理解が追いつかず誤解をされた部分もあったのでしょう。その後は航空券購入のための手続きを依頼し、電話で話しながら購入をしました。こうして日本への帰国が決まりました。
2024-12-19 20:36:42彼女とはそれ以来、一切連絡を取ることができませんでした。事業家と彼女の関係、資本金の行方など、真相は藪の中です。真実を確かめようとすることもできたかもしれませんが、恋と人生に心底疲れ果ててしまい、全てを諦めて日本に帰ることにしました。
2024-12-19 20:40:29実家に戻ると、自室に引き篭もり塞ぎ込む日々が続きました。一体何が原因でこんな人生になってしまったのか。何度心に問いかけてもこの難問の答えは見つかりませんでした。辛い現実から逃避するため大酒を飲む毎日で、初期のミスチルを聴くことだけが心の支えでした。
2024-12-20 21:16:20両親は私の置かれた複雑で困難な状況を全く理解しようとせず、口を開けば早く働きに出ろと見当違いな事を言うばかりでした。両親の無理解に悲しみと無力感を覚え、更に飲酒量が増えていくと言う悪循環に陥っていました。
2024-12-20 21:20:23ついに両親から、お酒が欲しいなら自分のお金で買えと迫られました。これがこれまでがむしゃらに海外で頑張ってきた私への仕打ちか、と愕然としました。こんな状態になった私を働かせる理由が全く理解できません。しかし私には選択肢はなく、心の痛みに耐えながら就職活動を始めざるをえませんでした。
2024-12-20 21:39:26今日は色々と忙しくしており、また様々な事情が重なった結果として一人で過ごしていますが、来年のクリスマスは誰かと過ごせるようプランをじっくり練っているところです。全ての人へ、メリークリスマス
次の人生プランを練り終わるまでの準備運動として、接客業での短期勤務を開始しました。上海駐在での国際ビジネス経験もある私は、求められる水準を大幅に超えすぎており逆に採用し辛いのではという懸念もありましたが、面接では世間話と勤務開始可能時期を聞かれる程度で即採用が決まり安心しました。
2024-12-30 12:53:27最近は中国人顧客も多いらしく、中国語を理解する私はまさに適任者でした。スピーキングはまだ今ひとつのところもありますが、基本的にはHSK5級合格圏内の実力がありますし、上海の元彼女にも他の日本人駐在員と違って発音が綺麗だと言われていたほどです。
2024-12-30 13:01:44店長を含め、新しい職場は外国人も多く全員私より年下でしたが、若い女性が多いためすぐに溶け込むことができました。職場の一人の日本人女性のSさんは大学4年生で、単位を取り終わって卒業が確定してからは実家に帰って短期勤務をしているそうです。
2024-12-30 13:12:41偶然はあるもので、Sさんは中国語選択で中国語を少しだけ話せる上に、受験では志望校に落ちレベルの下の大学に通っていたそうで、私と同じ境遇でした。恋愛マニュアルにはよく記載がありますが、共通点が多いほど人は親近感を覚えます。Sさんの話ぶりからも私に強い興味を持っているのは明確でした。
2024-12-30 13:21:05更にSさんは上海短期留学に行った事があり、偶然の重なりに私たち二人は出会ってすぐに惹かれ合いました。決定的だったのは、レジ打ちをしている華奢なSさんの後ろを通った時でした。ほのかながらふと懐かしい匂いがして思わず深呼吸をすると、上海の元彼女と同じ香水の匂いがすることに気づきました。
2024-12-30 13:29:49運命的なものを感じ、LINEを交換してあげようと思ったのですが、Sさんは今時珍しくLINEをほとんど使っておらず、代わりにインスタグラムを教えてくれました。私は中国駐在だったこともありアカウントを持っていなかったため、慌ててアカウントを作成しました
