心をくすぐられたような甘く落ち着かない感情で一杯になり、何度もシミュレーションしたはずのムードを高める一言が出てきませんでした。しかし惹かれ合う二人にはもう言葉は要らなかったようで、彼女の漏れる吐息が私の頬に触れた時、彼女が欲しているものを理解しました。
2024-09-29 20:18:21私が口キスへ移行するため姿勢を変えようとしたその時、Fさんは二人で固く握りあっていた手を一度離し、その手で私の前腕から手首までを撫でるように沿わせて進み、私の手を握り直してこう言いました。「私たち恋人だよね?」 Fさんは完全に落ちました。
2024-09-29 20:22:21私は「はい…」と答えるのが精一杯で、彼女の目を見ることができませんでした。経験上、外見があまりにも刺さると、女性に効くテクニックを使わずして魅了フェーズに入れる事もあるようで、このような場合はあえて流れに任せた方が上手くいきます。
2024-09-29 20:27:30私も落ち着きを取り戻し、「これからキスだよ…」と直接的に口キスを促したところ、彼女は急に深刻な顔になり「実は先週職場を欠勤したせいで罰金取られちゃった。家賃が払えないから5000バーツ貸して?こんなこと彼氏にしか頼めないよ…」と吐露しました。
2024-09-29 20:37:25たった5000バーツの可愛いお願いですし、彼氏の私にしか頼れない相談ですので、財布にあったほぼ全額の5000バーツを気前よく貸してあげました。彼女がお札をしまうため鞄を開いた時、緑色の何かが詰まったパケ袋が落ち、彼女が急いで拾いました。慌てた様子に違和感を覚えたので、何なのか尋ねました。
2024-09-29 20:44:04彼女は「これマリファナ…毎日吸ってるけど大丈夫だよ?」と答え、突然の告白に言葉を失いました。嫌な汗が噴き出てきました。タイで大麻が合法なのは知っています。街中を歩くと何軒もの大麻屋を目にします。しかし、それは道を外した不良や沈没したファラン達が手を染めるものだと思っていました。
2024-09-29 20:51:34イサーンの田舎から出てきた純朴な彼女と、日本では違法薬物の大麻が結びつかず、眩暈を覚えるほど困惑しました。彼女は根はいい子ですから、善悪もわからぬまま悪友の囁きで悪の道に引き込まれたのでしょう。更に毎日大麻を吸っているなんて 中毒に陥っているのではないでしょうか。
2024-09-29 21:00:17呆然としている私に、彼女は用事があると言い私をハグして去っていきました。私は一人ホテルに戻りましたが、彼女が大麻中毒に陥っていると考えるのは耐え難く、思考が悪い方向に沈んでいきました。何とか落ち着くため、冷蔵庫を開け冷えたシンハービールの缶を鷲掴みして、思わずがぶ飲みしました。
2024-09-29 21:10:30いつもは爽やかなシンハービールも苦味しか感じず、もう一缶開けても酔いを感じなかったため、追加アルコールの買い出しに行かざるを得ない程でした。彼氏として、何とか彼女を更生させてあげたいです。身も固まりましたので、早く職を探して安定した地盤を築き、彼女を必ず正しい道に戻してあげたい。
2024-09-29 21:24:22彼女は毎日大麻を吸うせいでお金もなくなり、それでもやめられないという状態で、私の貸した家賃の5000バーツはすでに全て大麻代に溶け、家を追い出される寸前だというのです。
2024-10-02 19:48:18彼女に会い、本気で叱ってきます。こんな状況に堕ちてしまった彼女を更生させてあげられるのは私だけでしょうし、それが私の義務だと思っています。
2024-10-02 19:50:48彼女は寂しかったそうです。私に出会う前は私のように彼女を理解してくれる人がおらず、イサーンの田舎から出てきた彼女がバンコクで一人孤独を感じていた時、酒場の同僚の悪友から大麻を勧められ、それ以来大麻が病みつきになりやめられなくなってしまったそうです。
2024-10-05 21:10:29彼女も最初はまずいと思いつつ、少量では効きが徐々に悪くなってきて、気づけば一度に吸う量も増えていったそうです。吸わない日があっても不眠や手が震えるような禁断症状はないそうですが、精神的に依存しており、ストレスが溜まるとつい大麻セットを掴み、現実から逃げるため吸ってしまうそうです。
2024-10-05 21:12:59また少し調べると数日で5000バーツを大麻のためだけに使い切るのは現実的ではないようでした。まさか他の薬物もやっているのではという疑惑があり問い詰めましたが、彼女は急にしどろもどろになってしまい具体的な答えが得られず、私は暗い想像に打ちひしがれそうでした。
2024-10-05 21:19:30真っ当な生き方をしない彼女に対し、語気を荒げて彼女を叱りました。薬物は必ずやめなさいと、涙を溜めて説得しました。そして今後彼女が悪い誘惑に負けないようにするため、私と同棲するよう強く求めました。私の私欲は一切なく、誠意から出た純粋な要求でした。
2024-10-05 21:22:52彼女は薬物を絶たれる恐れのためか、同棲と聞くと強く困惑していました。しかし彼女の更生のため絶対に同棲が必要な旨を何度も粘り強く畳み掛け続けると、数ヶ月後の同棲を約束してくれました。しかしそこで、出張のための短期滞在のはずだった私がなぜ将来タイで同棲できるのか聞かれてしまいました。
2024-10-05 21:30:06焦りから嫌な汗が流れてきました。しかし更生のため大人としての手本を示す必要があり、ここで無職なのに嘘をついていたとは言えないため、やむを得ずタイ法人の管理のため来月あたりに移籍予定だとやむを得ず答えました。彼女の更生のためとは言え、真実を伝えられない胸中は苦しみでいっぱいでした。
2024-10-05 21:35:18彼女は私のタイ法人移籍の話を喜んでくれ、峠は越えたようでした。話も終わり家賃の5000バーツを再度渡すと、彼女は涙を溜めてありがとうと言いました。そして緊急に大家に支払いをする必要があるそうで、彼女は急いでgrabで車を呼び、その場を後にしました。
2024-10-05 21:42:11何とか彼女の大麻をやめさせる説得に成功し、更生のためにはなりますが同棲も決まりました。後は仕事を見つけるだけですが、上海駐在員に選ばれたほどの実力はありますので、ほとんど心配はしておらず短期決戦で終わらせる予定です。私の人生の再出発、タイ生活の本格始動が近づいてきました。
2024-10-05 21:47:57職探しに難航しており、気分転換のため隣のラオスへ小旅行をしてきました。彼女はラオ語も堪能だと聞いており、旅行に誘ってあげたのですが、ラオスにはあまり興味がないと断られました。興味のある無しではなく、二人一つ屋根の下、彼女にとっても恋のステップを進めるチャンスだったと思うのですが。
2024-10-13 21:34:17日本に戻ってからしばらくは何も手につかず、廃人のように日々を無為に過ごしていました。華々しい上海の駐在生活やバンコクでの刺激的な第二の人生も、日本の片田舎の両親の家で一人部屋に閉じこもりインターネットを見ていると、全て夢だったようにしか思えませんでした。
2024-12-13 23:41:13苦しみの果てにようやく客観的に現実を見つめ、受け入れることができるようになりました。ただ愛する人と一緒にいたい、私のその純粋な想いを嘲笑うかのように、中国に引き続き、タイでもこんな悲運が待ち受けているとは微塵にも思ってはいませんでした。タイ人の彼女が全財産と共に失踪しました。
2024-12-15 21:05:34