怠惰な凡人男子生徒はシャーレで働く   作:怠惰らボッチ

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ニンニクと胸はあればあるほどいい

 

 「いらっしゃいませ、柴関ラーメンで……わわっ!?」

 

 店に入ると、セリカさんが店員として出迎える。

 予想外の来店だったのだろう、驚愕の声が聞こえた。

 

 「あの~☆6人なんですけど~!」

 「あ、あはは……セリカちゃん、お疲れ……」

 「お疲れ」

 「お疲れサマンサ!」

 「うざい!」

 「ひどい」

 

 無論、俺は五条悟である。

 前が見えないので先生に紐を経由して引っ張ってもらっての移動だ。

 ホントにコレどうにかしないとな、と思ってはいるが、正直エンジニア部の連中に任せるのが一番手っ取り早いと思って考えるのを放棄している。

 というか、昨日の夜に電話で依頼した。

 見る生物の体が全て男の体に見えるメガネを開発してもらっているのだ。

 これが完成さえすれば、晴れて先生のお散歩プレイからも卒業だ。

 

 「み、みんな……どうしてここを…!?」

 

 至極当然の疑問である。

 そしてその答えはストーカーの犯行だ。

 しかし馬鹿正直に答えるわけには行かない。

 

 「風がさ、教えてくれたんだよ」

 「そんなわけないでしょ!!?」

 「風のことを疑うのか?アイツが俺たちに嘘をついたことが一回でもあったか!?」

 「風じゃなくてアンタを疑ってんのよ!!」

 

 何かで叩かれる。おそらくハリセン。

 何故持っている。

 

 「アビドスの生徒さんか。セリカちゃん、おしゃべりはそれぐらいにして、注文受けてくれな」

 「あ、うう……はい、大将。それでは、広い席にご案内します……こちらへどうぞ……」

 

 セリカさんにそう促す男の声が聞こえ、彼女はおとなしく俺たちを案内し始めた。

 どうやら誤魔化せたらしい。

 

 「あ、俺カウンターで食べるから」

 

 同じ席で食べようとしてみろ、目隠しラーメンとか言う一人二人羽織しなくちゃいけない。

 

 「先生、カウンターまで案内してください」

 ”……はいはい”

 

 若干面倒臭さを感じつつもやってくれる先生に、俺は惚れることしかできなかった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 「ふぅ」

 

 カウンター席に座り、マフラーを外し、溜息を一つ。

 

 「はい、先生はこちらへ!私の隣、空いています!」

 「……ん、私の隣も空いてる」

 

 聞き耳を立てる必要もなく、アビドスと先生たちの会話が聞こえてくる。

 他に人がいないから、別に迷惑になることはないか。

 なんて思いながら、俺はアビドスの連中の方を見る。

 顔の確認はどこかのタイミングでしなければいけないからな。

 今のところ、砂狼さんとセリカさん以外の顔知らな――。

 

 「!?」

 

 俺は椅子から転げ落ちる。効果音があるとすればトムとジェリーに使われているレベルの音がなっただろう。

 

 「だ、大丈夫かい兄ちゃん!?」

 「は、はい。大丈夫です」

 

 柴犬の大将さんに心配を他所に、俺はさっき見たモノで頭がいっぱいだった。

 な、なんだアレ。

 なんだあのおっぱい。

 でかすぎるだろ。

 ニュートンへの冒涜だろもう。

 引き寄せられるとかじゃなく、時空の歪みを感じるぞマジで。

 あんなん直視しちゃうだろ。むしろ直視する俺は悪くないまである。

 

 ”……ラク”

 

 先生の呆れた声が聞こえた。

 俺が転げ落ちた理由に察しでも付いたのだろう。

 何故だ仕方ないだろ、あの大きさだぞ。

 なんて思いながら、椅子を戻し、座り直す。

 そしてもう一度アビドスの方を向く。 

 決してあの惑星を見ようとしているわけではない。

 アビドスの奴らの顔と声を一致させるためだ。

 他意はない。

 

 「窮屈ですか?それなら、私の膝の上でもどうぞ?」

 「何してんのよ!人の店で!」

 「あはは、冗談ですよ、セリカちゃん☆」

 

 ふむ。

 

 「セリカちゃん。バイトのユニフォーム、とてもカワイイです☆」

 「いやぁー、セリカちゃんってそっち系か。ユニフォームでバイト決めちゃうタイプ?」

 「ち、ち、ち、違うって!関係ないし!こ、ここは行きつけのお店だったし……」

 

 ふむ。

 

 「ユニフォーム姿のセリカちゃん、写真撮っとけば人儲けできそうだねー。どう?一枚買わない、先生?」

 ”私よりも高額で買う人に心当たりがあるよ”

 「変な副業はやめてください、先輩……あと先生も乗っからないでください」

 

 ふむ、ダメだ。

 惑星の持ち主がノノミさんということしか分からない。

 これは重症だ。視線がノノミさんに吸い込まれる。

 エンジニア部に頼んだメガネ。早急に必要かもしれんな。

 仕方ないか、今日はアビドスの連中の顔を確認するのは諦めよう。

 しかし今日覚えたノノミさんの顔を忘れないためにも、もう少しノノミさんを見ておこう。

 うん、他意はない。

 

 「賑やかな子たちだな」

 「っ!?」

 

 不意に大将さんに話しかけられたことに思わず驚く。

 別に悪いことをしていたわけではないが、いきなり大人に話しかけられ、つい驚いてしまった。

 そう。別に悪いことをしていたわけではない。ただ、記憶に焼き付けていただけだ。……顔を。

 

 「兄ちゃんは、あの中で食べなくてよかったのかい?」

 「え、えぇ、一人で食べたい気分でしたので。………あ、醤油豚骨ラーメンと半ライス一つ」

 「あいよ」

 

 何故だろうか。職質された気分だ。

 別に悪いことをしたわけではないのに…。

 うん。顔を見てただけだから、けどなんというか、少し顔が視界の端に寄ってたかもしれないけど、顔がメインね顔。

 

 「おまちどう」

 「ありがとうございます」

 

 大将さんがラーメンとライスをカウンターに置き、俺はそれを自分の目の前まで持っていく。

 

 「兄ちゃん。何に悩んでるか知らないが、あの子たち相手に遠慮する必要はねぇと思うぞ」

 「あ、はい」

 

 俺を見て、何かを感じ取った大将さんは俺に対して諭す様に助言をしてくれる。

 すいません大将。

 クソゴミみたいな悩みなんです、遠慮する必要があるんです。する必要しかないんです。

 大将さんの言葉、普通に悪の道に繋がってるんです。

 そう思いながら食べたラーメンは、何故かカツ丼の味がした。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 「いやぁー!ゴチでしたー先生!」

 「ご馳走様でした」

 「うん、おかげ様でお腹いっぱい」

 「なんで俺だけ自腹なんですか」

 ”さっきの罰”

 

 痛い所を突かれる。

 

 「早く出てって!二度と来ないで!仕事の邪魔だから!」

 「あ、あはは……セリカちゃん、また明日ね……」

 「ホント嫌い!!みんな死んじゃえー!!」

 「あはは、元気そうで何よりだ」

 

 ご立腹のセリカさん。

 しゃーない、悪いのは先生。

 

 ”じゃあ、そろそろ帰ろうか”

 

 悪びれもしない先生。

 いつもの聖人はどこへ行ったのか。

 なんて思いながら、俺は先生に話しかける。

 

 「先生、俺今度ミレニアム行きたいんですけど」

 ”ミレニアム?どうして?”

 「そろそろちゃんとした封印しようと思って」

 ”……あ~”

 

 納得したのか、先生は明日と明後日に休暇をくれた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 明日に備えて早く寝ようと思っていた矢先、先生から緊急招集を受ける。

 どうやらセリカさんがまだ家に帰っていないらしい。

 アビドスの奴らと落ち合うために、俺たちはアビドス高校へ向かう。

 その途中で、先生は例のアロナに色々調べものをさせていた。

 

 ”お待たせ”

 

 対策委員会室の扉を開け、中に入る。

 さすがにふざけてはいられないので、散歩プレイはしていない。

 ……俺としてはふざけているつもりはなく、大真面目なわけだが。

 まぁいくら俺でも非常事態まで女性の胸やふとももを目で追うことはない……とは言いきれないので、サングラスを持ってきた。

 多少目線が変なところ向いていても、バレることはない。

 まぁ見る時は顔ごと動くからあんまり意味ないけど。

 

 ”通信が途絶える前のセリカの端末の位置はここだね”

 

 先生は机に広げられた地図に指を指す。

 

 「ここは……砂漠化が進んでいる市街地の端の方ですね?」

 「住民もいないし、廃墟になったエリア……。治安が維持できなくて、チンピラばかりが集まってる場所だね」

 「チンピラ……もしかしてこの前の不良共か?」

 「その可能性が高いです。このエリア、以前危険要素の分析をした際にカタカタヘルメット団の主力が集まっていると確認できた場所です」

 「なるほどねー、帰宅途中のセリカちゃんを拉致して、自分たちのアジトに連れて行ったってことかー」

 「学校を襲うくらいじゃ物足りなくて、人質を取って脅迫しようってことかな」

 

 本来ならヴァルキューレ案件の犯罪だが、以前気になって調べた際、どうやらヴァルキューレの支部がアビドスにないということが分かった。

 つまり、通報しようが、ヴァルキューレがアビドスに来るまでに日が昇ってしまうということだ。

 となると、取れる選択は一つしかない。

 

 「殴りこみに行くしかないな」

 「はい!急いでセリカちゃんを助けにいきましょう!」

 「うん、もちろん」

 「よっしゃー、そんじゃ行ってみよー」

 ”うん、行こうか”

 

 そう言って教室を出ていくみんな。

 俺とアヤネさんは相変わらずのお留守番である。

 せめて先生の使う謎のバリアが俺にも使えたらいいんだけどなぁ。

 なんて思いながら、俺は応援の発声練習を始めた。

 

 「うるさいのでやめてください」

 「はい」

 

 怒られた。

 

 

 

 

 




ラクは店のおすすめより自分の好みのメニューを頼むタイプです。
マグロ丼より海鮮丼を頼むタイプです。

ストーリーの進行ペース

  • もっと早い方がいい
  • 気持ち早めにして
  • 今のままでいい
  • 今より遅くして
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