週に1回ペースで投稿することを目指すことを検討することを視野に入れています。
学生である内はニートではない、つまりはニートである
『ねぇ、好きだよ』
愛の告白。
そんなことを美少女に言われれば、男なら誰だって嬉しいだろう。
もちろん俺も例外ではない。
美少女のクソ可愛ボイスで愛を囁かれる。思わず『俺もだよ』と返したくなる。
例え、画面の向こうの二次元の存在でもそれは変わらない。
イラストレーターの作り出した美と、声優の演技力の融合技に、ガチ恋は避けられない。
愛のためなら、この子の顔がドでかく印刷されらTシャツで町を歩ける。
それくらいの可愛さというのが、エロゲ―のヒロインにはある。
もし彼女の手を引けるなら、急いで役所に駆け込み、婚姻届けを提出するくらいには愛を叫びたい。
”へぇ、ラクはこういう子が好きなの?”
「……」
先生の声を無視してマウスをクリックする。
”『俺、お前のこともっと知りたい』だって。カッコいいね”
「……」
先生の声を無視してマウスをクリック。
”あっ!キスした!キスしたよ!”
「……」
マウスをクリック。
『ねぇ…あなたなら、いいよ?』
”え…付き合ってからもう始めちゃうんだ。最近の子は早いね”
「…………いちいち感想言うのやめてください。マジで」
神様、助けてください。
俺こと
何を話せば許してくれるのでしょうか。性癖ですか?年上クールヤンデレ束縛監禁です。
あぁ…、死ぬ。死にたい。
あぁ…、なんか走馬灯が見える……。
◇
入学式、初めて見たセミナー会長に何かが目覚めた気がした。
そう、具体的にはセミナー会長の胸を見たあたりから。
その日、俺は理解した。
人生の生きる意味を。
そのことに気が付いた時、自分がやるべきことがわかった。
放課後、時速60キロで走るタクシーから手を出していた。
◇
「なんだあのメイド服美少女は」
スカジャンを着たロリが銃でザ・スケバンをボコボコにしていた。
キヴォトス、怖い。
◇
ふと、自身の学生生活を思い出してみる。
学生で無くなったのは今日だが、学生生活を過ごしていたのはかなり前になる。
正直ミレニアムに来るのも半年ぶりくらいだ。
察しの良い方は気が付いたかもしれないが、俺は言わゆる不登校という奴だ。
ここ学園都市キヴォトスという中で、それはかなり珍しい事例だと思う。
超巨大学園都市にまで来て学園に通わないなら何をしに来たんだと。多くの人は思うかもしれない。
俺もそう思う。
別に学校でいじめられたとか、やむを得ない事情があるとか、そういう理由があるわけではない。
単純に面倒くさかったのだ。
ほら、夏休み後の学校にめちゃくちゃ行きたくないアレ。
俺はその怠惰に他の人より何倍も弱かった。
その結果、「別に今日休んでも変わらないでしょ、夏休み明けに授業ないだろうし」「二日くらい休んでも授業には簡単についていけるだろ」「二日も三日も変わらないだろ」「今日だけ、今日だけ休んで明日行こう!」「ダメだ、今日に限って体調悪い、よし休もう」「ここまで来たら学校行っても行かなくても変わらないか!」。
はい。
もうね、見事に堕落していったよね。
自分でもびっくりした。「あれ?俺って怠惰の魔王の生まれ変わり?」とかガチで思っちゃったもん。
そんなこんなで学校から退学処分にされる前に自分から退学したというのが今の状況。
うん。
これからどーしよ。
……。
………。
…………まぁ、思いつくまでニートでもしてますかね。
そう思って家への帰路を歩む。
バイトでも探すか、流石にずっとニートできる金もないし。
てか、学生じゃなくなったらここから追い出されたりする?しないよね?生徒じゃない犬とかロボとかいるし多分大丈夫か、万が一の時は廃墟使って一生家引きこもろう。
◇
ニート生活をして2週間が経った。
ちなみに少し前まで学生だったので「半年前からニート生活だろ」という言葉は受け付けません。
ちなみにまだバイトは探してない。
…いや、面倒くさくて。あとエロゲが忙しかった。
まぁそんなこんなでニート生活にも慣れ、残りのお金が心配になってきた今日この頃。
皆さんいかがお過ごしですか?
ニート見習いこと私ですが……。
ピンポーン
ピンポーン
”魚沼君、魚沼君いる?”
ドアを叩かれながらインターホンを押されています。
財産差し押さえでしょうか?キヴォトス追放でしょうか?ニート生活と別れをしないといけない気がしてなりません。
なぜ、一番親しくした友との別れが、こんなにも早いのでしょうか。
こんなことなら恰好つけて退学届け提出しなきゃよかった。
ミレニアムなんてマンモス校なんだし、一人くらい学校行ってなくてもバレなかったかもしれない。
けど仕方なくない?退学届けを偉そうな人に突き出すシチュエーションカッコいいじゃん。
”仕方ない、アロナ、お願い”
?あろな?
静かな部屋にカチャと音が響く。
ん?今の音何?
”お邪魔しまーす”
玄関から一直線に向かってくる足音。
ん?
んん?
”お、やっぱりいたね。居留守してたでしょ”
「セキュリティ!?」
俺の目の前に現れた謎の女性。(美女)
おっぱいが大きい。
間違えた。
おかしい。
俺の家のセキュリティはどこいった。
というかこの人は誰だ。デリヘル?頼んでません。あとここは学園都市です。
じゃあなんだ強盗?連邦生徒会?ヴァルキューレ?何俺死ぬの?それとも逮捕?
”勝手に入ってごめんね、ちょっとどうしても話したいことがあってさ”
「は、はぁ」
俺も話したいことたくさんあるわ。
まずどうやって入ったんだよ。
あと彼氏いる?
なんて疑問は心に留めておく。
”あ、ラクって呼んでもいいかな?”
「あ、はい」
なんで名前知ってんだ。
”ありがとう、それじゃよろしくね、ラク”
「え?あ、はい、よろしくお願いします」
何この距離の詰め方怖すぎる。
会話に縮地とか使ってきてるでしょ。忍者?コミュニケーションの忍者なの?
”あと、胸見てるのバレてるよ”
俺は両手を差し出し手錠がかかるのを待つ。
カツ丼って食べれるかな。自腹?
”?どうかした?”
女性は頭に疑問符を浮かべながら首をかしげる。
どうやら逮捕はされないらしい。よかった。次から目線は気を付けよう。
けど目が胸に吸い寄せられてしまう。
だってでかいもん、重力が発生してるよこれ。
母なる地球を感じる。(逮捕)
”…………ねぇ”
「はい」
”頭に何かついてる?”
「いえ」
”じゃあなんで上を向いてるの?”
「重力というか万有引力というか乳ートンというか、そういうのを計算した目線です」
目線は女性の頭の上である。
こうすれば胸に目がいかないという算段。
天才かな。
諸葛孔明もこうしていたに違いない。
これが人が空を見上げる理由だよ。
「それで?あなたはいったい…」
”そういえばまだ言ってなかったね。私はこういう者です”
目の前の女性は名刺らしきものを取り出す。
「あ、あぁご丁寧にどうも」
名刺には、『連邦捜査部S.C.H.A.L.E顧問 先生』の文字。
うん。名前は?
肩書しか書いてないんだけど。
なにこれ、名刺ってこんなもんなの?
「あの、お名前は?」
”ああ、私のことは好きに読んでいいよ”
不法侵入、何故か俺の名前を知ってる、自分の名前を明かさない。
スリーアウトだな。退場してください。(土下座)
てか連邦捜査部S.C.H.A.L.Eって何?もう明らかに政府組織じゃん。
じゃあ俺逮捕?学園都市でニートした罪で強制送還?
さよなら俺の青春。オラは実家の畑を継ぎます。
”ん?”
先生は首をかしげる。
いや、どちらかというと…俺の後ろを見ようとしてい……。
「!?」
忘れていた。
先生の目線はおそらく俺の付いたままのパソコン。
絶賛エロゲをプレイ中である。
俺は急いでパソコンの電源を落とす。
俺の光より早い動作にむしろ電気信号が足を引っ張ったと言っても過言ではない。(過言)
無事に真っ暗な画面になったパソコンを見てすぐさま先生の方を向く。
「しゅ、就職活動の準備ですよ。そろそろ働こうかと思いまして。」
”ふーん。そっか”
セーフか?セーフなのか?
”アロナ、お願い”
そう言って先生は取り出したタブレットに目を向けた。
ん?
”ふーん。なるほどね”
ん?
「あ、あの、先生?どうかしました?」
”ん?別になんでもないよラク。あっ、幼馴染君って呼んだ方がいいかな?”
幼馴染君と呼ばれた。誰が?俺が。
もちろん俺はこの人と幼馴染という関係性ではない。
じゃあ何故そう呼ばれたのか。
ちなみに関係ないとは思うが今やってるエロゲのヒロインが主人公のことをそう呼ぶのである。
うんなんでだ。(泣)
”主人公の名前に自分の名前入れるタイプなんだね、ラクって”
アウトでした。
うん。退場させてください。この世というマウンドから。(土下座)
さよなら人生。遠くにいる父さんと母さん、オラ、今還ります。
”ねぇ”
もう先生が何言っても俺には聞こえない。
何故なら俺は今、自分を見つめなおしているからだ。
死ぬ前の身辺整理というやつだ。
あぁ、世界とはこんなにも無意味だったんだな。
ニートをしてもしなくて、人は結局死ぬのだ。
”このゲームやってるところ見せてよ”
「………………はい?」
魂を殴られたような衝撃である。耳が聞こえなければ手で伝えるってか、バカか死ぬぞ俺が。
◇
走馬灯終了。
最近の記憶しか出てないんだけど。
もっとあるよね。家族との思い出とか。
退学した時の記憶はともかく、なんで数分前の記憶が走馬灯として蘇るんだよ。
てか学生時代の記憶少なすぎるだろ、確かに思い出もなかったけど、数分前の記憶よりはもっと出すべき記憶あったでしょ。例えばほら、アレとか、アレだよアレ。
……。
………。
…………うん。
なんか自分の人生の無意味さを感じて悲しくなってきた。
あぁ、泣きたい、死にたい。
”うわっ、男の人のモノってこんなに大きいの?”
パソコンの画面では二人の男女がやることをやっている。
そしてそれを画面越しに見る二人の男女。
この差はなんなのだろうか。
ていうかマジでなんでこの人いちいち感想言うのかな。
俺のこと殺しに来てるの?もういいでしょ、俺は死んでます。死にました。
”ラクのもこれくらいあったりする?”
先生は薄くモザイクがかかった部分を指さしている。
この女マジで。
”ごめんごめん。冗談だよ”
一般常識を学びなおした方がいいのではなかろうか。
教師向いてないでしょマジで。
人手不足なの?政府は危機感持った方がいい。
”まぁこれよりは小さいよね”
この女マジで。
俺は無意識に握りしめていた拳で己の怒りを自覚する。
落ち着け俺。
アンガーマネジメント。
六秒。
六秒。
六秒。
六秒。
六秒。
無理!
「ていうか!!」
”うわビックリした”
「ビックリしてるのはこっちですよ!!何しに来たんですか!!?」
”あれ?言ってなかったっけ?”
「不法侵入されてエロゲをやらされてしかいないです」
”ごめんごめん”
先生は絵に描いたような『てぺぺろ』を見せる。絵なら破っていた。
そんなことを思っていると、先生は体ごとこちらを向いて、改まったように言った。
”ラク、シャーレで働かない?”
先生の見た目は「変好き」の沖田先生を想像してます。
あとこの作品の先生は偶に頭がおかしくなりますが、基本的には聖人です。
あと主人公の年齢は18です。
一浪です。それとヘイローはないです。