「お辞儀する日本」対「ポケットに手の中国」外交会談で印象づけられた“主従の構図”に学ぶべきこと
高市早苗首相の「台湾有事」発言を受け、日本の金井正彰アジア大洋州局長と中国の劉勁松(りゅう・けいしょう)アジア局長が北京で会談しました。 【中国のSNSで広まった問題の動画の場面】金井正彰・外務省アジア大洋州局長が頭を下げているように見える なかでも注目を集めたのは、会見後2人が報道陣の前に現れたときの表情と態度です。両手をポケットに入れたまま立つ劉局長と、その劉局長にお辞儀をしているように見える金井局長。 はたして両氏の胸中とは? 表情・動作分析の観点から考察します。 ■カメラの前で作られた「上下」の構図
会談後、報道陣の前に姿を現した両局長は、言葉を交わし、しばし立ち止まります。このとき劉局長は、ポケットに手を入れたまま、身体の正面をカメラの方に向けています。 顔と視線だけは金井局長の方に向け、口角をわずかに引き上げています。一方の金井局長は、身体の側面をカメラの方へ向け、頭をやや垂らし、視線も下に落とした姿勢です。 報道映像をよく見ると、2人が会場から退出する際、金井局長が報道陣の方へ身体を向けるより先に、劉局長がカメラ正面に身体を向け、ひと言投げかけてから立ち止まっています。この動きによって、両氏の身体の角度は固定されます。
実際の体格差はほとんどないにもかかわらず、身体の向きや頭の角度の違いによって、劉局長の方が大きく、金井局長が小さく見える構図が生まれます。 さらに、金井局長が頭を垂れているため、劉局長の頭の位置は相対的に高くなり、引き上げられた口角と相まって、金井局長を見下し、冷笑しているようにも映ります。 金井局長の「お辞儀をしているような」姿勢については、「通訳の発言に耳を傾けているからだ」という解釈が示されています。実際、通訳が話しているあいだ、そして話し終えたタイミングで通訳の方に顔を向け、アイコンタクトをとり、リアクションをしている様子が確認できます。この点で、その解釈は一定程度妥当だと言えます。
しかし、金井局長の表情に目を向けると、別の読みも可能になります。金井局長は、会場を出て車に乗り込むまでのあいだ、終始、眉間にしわを寄せ、唇をきつく一文字に結んでいます。 これらの表情は、強い感情を抑え込んでいるか、大きな認知的負担、すなわち「頭をフル回転させている」状態で生じることが多いシグナル・サインです。 ■中国のほうが余裕がある状況か? したがって、単に「通訳に耳を傾けているから」頭を下げているだけではなく、会談内容を深刻に受け止め、事態の重さと、問題解決に向けた取り組みが今も続いているという意識が反映されていると推測できます。