悪役令嬢 Meets 占い師 その1
神奈水樹。登場回。
中等部になる事で何が変わるかと言うと、クラスの数が倍になる。
それまでは3クラス百人だったのだが、中等部になると倍の6クラス二百人となる。
なお、高等部ではその倍の12クラス四百人となっているのだが、その倍増してゆくクラス数のカラクリがこのゲームのきっかけとなる特待生である。
もう少しこの特待生について掘り下げていきたいと思う。
この特待生、中等部と高等部の間ですら区別がある。
まず前提として初等部からの進学組。
これは華族および財閥や国会議員等の特権階級からなり、胸元に金色の扇紋の校章を付ける事が許される。
俗に言う金バッジ組という奴だ。
で、中等部から入る連中は基本金バッジ組の側近集団という形で形成され、中等部の銀バッジとどの側近集団であるかを示す家紋バッジの2つを付ける事になる。
だから、中等部入学組を銀バッジ組ともいう。
こうなると、物語本編の高等部が銅バッジなのは言うまでもないが、彼らもまた特待生。つまり、学力および体力または芸術等の成績優秀者によって構成されている。基本は銅バッジ一つだが、私達特権階級がスポンサーになる場合、銀バッジ組と同じく家紋バッジを渡して御恩と奉公の関係が作られる。
こうやって見ると、この国の華族が大名文化の影響を強く受けていると分かると同時に、国内での権勢を誇る手段として優れた人材を抜擢・庇護下に入れるというシステムが構築されていると感心するしか無い。
「お嬢様。
よろしいでしょうか?」
「はい。
今からそちらに行きます」
そんな中等部の譜代構成だが、現在の華族や財閥で実際に側近を送り込んでいる連中は少ない。
だが、そういう側近を送り込む権力がある華族の家は、地元の優等生を推薦する事で利益を得ていたりする。
その地元の優等生が見事に大成した場合、推薦した華族に恩返しをするという訳だ。
なお、そんな家の一つだった桂華院家はこの年、他所の華族から枠を買い取ってなんと橘由香を始めとした十人もの人間をこの中等部に送り込むことを決めた。
もちろん、私の護衛と側近団形成の為だ。
「お嬢様がお入りになられます」
橘由香の声と共に座っていた同級生予定者九人が立ち上がり、私に向けて頭を下げる。
彼女たちが、私の手駒となるわけだ。
あきらかに日本人離れした顔の女子が半分以上。
たしか、樺太の孤児院から優れた子供を買ったとか橘が言っていたな。
私しか縋るものがないから、その身に代えても私を守るだろうという中々救いのない理由で。
「楽にして頂戴。
桂華院瑠奈。
あなた達と同じ中等部で学ぶ事になります。
よろしくね」
権力という毒をこの時点から流し込む。
そして、最終的に望まれるのは、私達特権階級の傀儡化である。
日本式組織は、基本として権威と実権を分ける事で運営されている。
私達特権階級は蝶よ花よと温室の花として飾られて、最終的には優れた実力者と結ばれてその血を次代に残す事だけを求められる訳だ。
それも昭和と共に終わり、平成のこの時、私達の存在価値は惨落していた。
不良債権処理で財閥は解体の方向に向かい、青い血のみの華族も次のITバブルの長者たちに血を移す事に失敗していたからだ。
IT革命というのは、技術者が己の才能で世界に打って出て飛躍的に成り上がれる暴風だったからだ。
世界を相手にするのならば、日本の青い血より欧米の青い血を狙った方が効率は良い訳で。
私はその辺りも対応できるお買い得商品だったりするのだが、お買い得どころか激レア商品でプレミアが付きまくっているから相手については色々と困っているのだろうなあ、なんて他人事のように考えていたり。
話がそれた。
「一応、私と華月詩織様をいれて11人。
6クラスの組分けを考えれば、2人は配分されると考えています」
側近団の形成がこの中等部の仕事の一つではあるが、だからといって全員をまとめるほど帝都学習館学園も腐っては居ない。
クラス分けにおいてはシャッフルされてバラバラに配属されるので、側近団と離れてクラスでぼっちにという事もあるあるである。
それを避けるために、今回桂華院家は12人もの側近団を送り込む事を目指して、他家華族から推薦枠を買い漁ったのである。
……ん?
「11人?」
私の声に橘由香は申し訳なさそうに頭を下げる。
「申し訳ございません。
華月家を含めて当初12人の枠を抑えていたのですが、先代様とのご関係からどうしても1枠を譲ることになりまして、華月家の推薦枠をそちらに渡したのでございます」
「へ?
という事は、桂華院本家の推薦枠を求めた相手を、華月家推薦枠という形にして渡したって事?
相手に文句を言われたりしてないでしょうね?」
この手の推薦嘆願は、つまり桂華院家の庇護を求めると同義でもあるのだ。
華月家推薦枠ということは、推薦で帝都学習館学園に入れても、桂華院家の家紋バッジは渡さないという事を意味している。
相手側が気分を悪くする可能性は十二分にあった。
「はい。
それは、相手側にも納得していただきました。
向こうも帝都学習館学園に入る事を目的としているらしく、桂華院家の庇護までは求めないと念書を頂いております」
「ちなみに誰よ?
先代、つまりお祖父様にコネがあって、お義父様が断れなかった相手は?」
私の質問に橘由香は淡々とその名前を告げた。
私は、その名前を前世のゲームで知っていた。
「はい。
占い師一門、神奈世羅様の養女。
神奈水樹様でございます」
金バッジ 銀バッジ 銅バッジ
元はヤのつく自由業から。
まぁ、武家がそもそもヤのつく自由業の元みたいなものだし。
何処で見かけたか忘れたけど、『島津がおしとやかに見える鎌倉武士』という言葉に大爆笑した覚えが。
今、ぐだぐだイベント中な某TSFな戦国武将ランサーも大概だがというか、星3で出たDQN四天王に大爆笑しているのですが。
アレよりヤバイのが牛若丸とか源頼光とかである。