日本国民を危険にさらす一部野党やメディアの「存立危機事態」議論の危うさ

新聞に喝! ブロガー・藤原かずえ

衆院予算委員会で質問する立憲民主党の岡田克也氏(左)の話を聞く高市早苗首相(右)=7日午後、国会内(春名中撮影)
衆院予算委員会で質問する立憲民主党の岡田克也氏(左)の話を聞く高市早苗首相(右)=7日午後、国会内(春名中撮影)

「台湾を完全に中国北京政府の支配下に置くために、武力の行使も伴うものであれば、存立危機事態になりうる」という高市早苗首相の国会答弁を巡り、一部の野党・メディアが批判を展開しました。

例えば東京新聞は、社説で「中国との戦争も辞さないとの表明にほかならない」「安保法をどう解釈すれば、日本が台湾有事に参戦できるとの結論が導けるのか」「高市氏の発言で、時の政権に恣意(しい)的な判断を許しかねない安保法の危うさが改めて浮き彫りになった」と激しく批判しました。

ここで「存立危機事態」とは、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態のことです。

衆議院予算委員会で立憲民主党の岡田克也議員は高市首相に対して台湾有事が存立危機事態になるのはどのようなケースかについて詳しい説明を執拗(しつよう)に求めました。これは安全保障上危険な行為です。

国家の安全保障は、戦略を研究するゲーム理論において、相手国がどのように行動するかを知ることなく意思決定を行う典型的な「不完備情報ゲーム」といえます。もし、存立危機事態の定義を明確にすれば、日本はムダに行動の自由を放棄することになります。その一方で相手国は、この情報の非対称性を利用して、存立危機事態の一歩手前まで行動したり一歩超えて行動したりして、戦略的状況をコントロールできるようになります。このことは日本国民を危険に晒(さら)すことにほかなりません。

高市発言は、米軍に武力攻撃が行われるという仮定の下に存立危機事態が発生する可能性があることを述べたものです。ここで、武力攻撃は存立危機事態の「必要条件」であるので、台湾有事であろうとなかろうと、武力攻撃が行われるという仮定の下では、存立危機事態の可能性はあるといえます。高市発言は実質的には個別具体的な言及ではなく、従来の政府見解を超えるものでもありません。

岡田議員が引き出した高市発言に対し、同党の大串博志議員が説明の具体性を問題視して撤回を求めていることも極めて理不尽です。これは、過去に野党が高市総務相(当時)に対し放送法第4条の解釈を執拗に問い、法規範性があるという見解を引き出すと、政府が恣意的に放送局を停波するかのようにメディアとともに大騒ぎし、撤回を求めたケースと類似しています。

一部の野党・メディアが政敵を貶(おとし)めるために有害な議論を展開し、国民を不必要に危険に晒すのは言語道断です。

藤原かずえ

ふじわら・かずえ ブロガー。マスメディアの報道や政治家の議論の問題点に関する論考を月刊誌やオピニオンサイトに寄稿している。

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