市民一人ひとりが戦場に立っている
――そもそもの不安や怒りを取り除くことも必要ですね。
【長迫】反ワクチンであれ、ディープステート論であれ、そうした情報に深入りしてしまう人は、社会に対する不満や不安を抱いているかたも多いと考えられています。
そうした人に「あなたは間違っている」「正しい情報はこれだ」と押し付けてもあまり効果がなく、むしろ意固地になって余計に別の情報を受け入れなくなってしまうことさえあります。
そのような認識レベルが深刻である方々には、無理やり正しい情報を押し付けるのではなく、なるべく別の楽しみに誘導する、孤立している人であるならばコミュニティとして受け入れるなどの心理的、社会的なアプローチも必要になります。
最近の研究では、陰謀論者をAIチャットボットと対話させると、陰謀論への確信度が減少したり信念を変化させることが出来たという研究もあるので、そうした技術的アプローチにも期待できるところです。
認知戦下で狙われやすい分断を社会に生じさせないためには、政府やプラットフォーマーの対応だけでなく、SNSユーザーの方々のユーザーの方の振る舞いや、メディアの報道のあり方、リテラシー教育などあらゆる角度からの対策が求められます。
情報戦・認知戦という観点では、サイバー空間に接続したときに市民一人ひとりが戦場に立っていることとなり、国民も政府も含め、すでに認知戦の文脈では有事のさなかにあることを意識した対応が必要です。