朝日新聞が、台湾有事に関する高市早苗首相の答弁を報じた7日配信のデジタル版の記事を巡り、当初の見出しを変更したことがSNS上で物議を醸している。中国の薛剣駐大阪総領事が不穏当な表現で8日に投稿したX(旧ツイッター)には修正前の見出しの記事が引用されており、投稿が注目されたことを受けて修正したと疑問視されるためだ。一方、朝日新聞社広報部は産経新聞の取材に対し、7日時点で見出しを更新したといい、「批判を受けて修正したものではない」とコメントした。
当初見出し「先制攻撃示唆」誤解生む可能性も
朝日が7日の衆院予算委員会での首相の答弁を受けて同日午後4時前に配信した初報の見出しは「高市首相、台湾有事『存立危機事態になりうる』 認定なら武力行使も」。現在は後段の部分が「~武力攻撃の発生時」に修正されている。
当初の見出しだった「~認定なら武力行使も」の場合、「日本側が先制攻撃を示唆するかのような表現にもとられかねない」との声がSNSで指摘されている。
さらに、薛氏が8日深夜、この見出しを引用したXで「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」と不穏当な表現の書き込みをしたことから、「国際的な緊張が生じた」と問題視されている。
修正理由「表現の重複避ける」
朝日新聞社は取材に対して「翌日の朝刊紙面に向けた編集作業の過程で、デジタル版もあわせて記事の内容や見出しを更新した」と説明した。更新時間は「7日午後10時前」だったという。
見出しを変えた理由については「『なりうる』と『認定なら』という仮定の表現が重なっている」ことに加え、「どんな場合に存立危機事態と認定されるかを説明するため」と回答した。また、薛氏の投稿が8日であることから、「批判を受けて見出しを修正したわけではない」とした。
ただ、薛氏が引用した記事は朝日の修正を反映していない見出しであるため、X上では「そもそも誤解される表現を世界に広めた責任もある」「国際的な緊張が生じた記事タイトルを、しれっと訂正するな」などと訴える声がある。(奥原慎平)