フォンテーヌから逃亡したいのに元水神様から逃げられない 作:桜紅月音
身近な人が死ぬ事は今は考えるなんて出来ないですけど…大事にしていかないといけませんね
フリーナに襲われて楽しい事をやることになった。
そういう関係になったという事ではない。
「サクヤ…どうして僕の物にならないの…」
と僕に乗っかって言ってくる。
そんな人を物扱いしないでほしい。昔からずっと思ってきた事だが
「フリーナ…」
「僕の事…嫌いにでもなったのかい?」
「そういう事ではないけど…ずっと一緒だったから…今更…そういう事に見れないというか…」
と今にも泣きそうなフリーナの目をはっきりと見て言う。
そんな僕の声を聴いて
「サクヤ、もういいでしょ…僕の物になってくれよ…昔みたいな関係じゃないんだから…」
「けど…僕がフリーナの事を好きじゃない事はフリーナは知ってるでしょ?」
「そうだけど…どうしてもサクヤの事が欲しくなったんだよ…」
とフリーナは言うが、それでも僕の気持ちは変わらない。
フリーナの事を好きになるならないの話ではない。
彼女の事を好きになってはいけないのだ。
「いくら言っても、僕の気持ちは変わらないよ…フリーナが悲しい気持ちで訴えてきたとしてもね…そこは分かってほしい」
酷な事を言うが、こればっかりははっきりとしておかなければいけない。
「それでも…僕は君の事が欲しいんだよぉ…」
とフリーナは僕の服をギュッと握って訴えるようにして言ってくる。
「フリーナ…」
「サクヤは、一体何をすれば僕に惚れてくれるんだい…これだけ言っても…響いてはいないんだろうけど…僕の気持ちを考えてほしいよ…」
と僕の胸に顔を埋め、ひたすら手で叩いてくるそんなフリーナの頭を撫でる事が出来れば良いんだろうけど…それが今の僕には出来なかった。
フリーナの言葉が全く響いていないという訳でもない。
「フリーナには悪いけど…何をされてもフリーナに惚れる事はないと思う…こればっかりは謝る…本当にごめんな…」
何もできない自分に嫌気が差してくるが、何をしろというのだ。
何もできないのに…
「…うん…分かってる…君は…そういう人だって事は…」
僕の胸の中でずっと泣きながらも、そう伝えてくる彼女
こういう事があるから
それは約束だからだ…でも、いずれは言わないといけない。
その時が来るまでは我慢…
「君に僕の気持ちを言えてすっきりとしたよ…納得はしていないけど…今はこれでいいんだ…ありがとう」
と目の下に涙を浮かべながら笑顔で言ってくる。
ああ…僕はやっぱり好きなんだな…彼女の事
「そうか…フリーナが元気そうで何よりだよ」
さっきも言った通り、この気持ちは言ってはいけない。
「それじゃ、今まで通りの関係でね」
「そうだな」
言ってしまうと…
僕はこのフォンテーヌから去らないといけないからだ