長期金利1.755%に上昇、17年半ぶり高水準 財政悪化懸念で国債売り
18日の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは一時、1.755%に上昇(債券価格は下落)した。前日比0.03%高く、2008年6月以来およそ17年半ぶりの高水準だ。高市早苗政権が掲げる積極財政を巡り、財政悪化への懸念から債券売り圧力が強まっている。
日本政府が近く策定する経済対策の規模について、財務省は17兆円台にする方向で調整に入ったと伝わっている。市場では想定以上に規模が膨らみ、財政悪化への連想が強まるとの声が聞かれている。
自民党内からはさらなる財政出動を求める声もある。自民党の中堅、若手議員でつくる「責任ある積極財政を推進する議員連盟」は17日、国会内で開いた総会で、政府が近く策定する経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案について、25兆円規模にするよう求める方針を確認した。
財政リスクを映しやすい超長期債では、新発30年物国債利回りが一時前日比0.07%高い3.325%まで上昇した。高市氏が自民党総裁に就いた直後の10月7日以来の高水準となった。
明治安田アセットマネジメントの大崎秀一シニア・ポートフォリオ・マネジャーは「財政拡張に伴う国債の増発があっても、短めの年限に限られるだろう。だが、本当にそれだけでとどまるのかという疑心暗鬼がどうしても拭いきれない」と話している。
長期金利は前日にも1.73%と約17年半ぶりの高水準をつける場面があった。財政懸念に伴う金利先高観から、投資家の間では積極的な買いを手控える姿勢も強まっている。
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(更新)- 小宮一慶小宮コンサルタンツ 代表取締役CEOひとこと解説
主に中堅・中小企業向けの経営コンサルティング会社を経営しているが、先日、顧客企業の社長と話していたら、「長期借入の借り換えをしたら、金利が倍になった」と言っていた。 以前は「イールドカープコントロール」の名のもとに日銀は短期だけでなく長期金利を抑え込んでいたが、このところ急激に長期金利が上がった。今年初には10年国債利回りは1.2%台だったのが、このところ急速に上がった。「責任ある積極財政」だが、歯止めがかかるかどうか。 一方、長期金利上昇は企業負担の増加とともに、国債を大量に抱える金融機関の含み損も心配だ。自己資本に影響を及ぼす。
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