【ノロ・インフル・RSが同時流行 “クアッドデミック”で飲食業界混乱 “トイレ清掃よりマスク着用”が鍵】
背景
「ノロウイルス=生牡蠣由来の食中毒」という従来の認識はもはや通用しない。
2024-25冬シーズンには、世界的にウイルス性胃腸炎、インフルエンザ、RSウイルス、ノロウイルスが同時流行する“クアッドデミック”状態となっている。
飲食店においても、ヒトからヒトへのノロウイルス感染が「食中毒」から「クラスター感染」へと性格を変えており、あらゆる店舗がリスクを抱えている。
主な論点
ヒト→ヒト感染の拡大
従来は「魚介類由来→散発的食中毒」だったが、現在では「魚介由来→ヒト・ヒト感染→別店舗で食中毒」というネットワーク的な拡大が起きている。
実例として、和菓子店(冷たい食品メイン)で起きたノロクラスターが紹介されており、あらゆる飲食店に発生の可能性があるとされる。
感染経路・ウイルス性状の変化
ヒトの免疫低下(SARS-CoV-2感染の影響)と、ノロウイルスの変異体(例:GII.17)が流行を引き起こしている可能性が指摘されている。
重要なのは、ノロウイルスが唾液腺にも感染し、唾液・飛沫・空気中エアロゾルとしても伝播しうるという新知見である。
飲食店におけるリスクと“もう通用しない”対策
飲食店では「生牡蠣を扱ってないから大丈夫」「トイレ清掃してるから安心」と考えがちだが、冷たいトッピング、スタッフ間の移動、マスク非着用のホール担当者などによってクラスターが発生している。
飲食店の対策として挙げられてきた“トイレ後手洗い”“吐瀉物処理”“体調悪い人は休む”だけでは不十分であり、飛沫・空気感染の視点を含めた総合的対策が必要とされる。
飲食店で取るべき具体的対策
飛沫感染の防止:調理および接客スタッフ全員のマスク着用を必須とし、料理運び・説明時の飛沫付着を防ぐ。
接触感染の防止:ノロウイルスに対してアルコールは効きにくいため、石鹸による手洗い(二度洗い)を徹底。調味料容器・テーブル・ホールの手の触れる箇所を清掃。
空気・エアロゾル対策:換気・空気清浄機の活用、室内CO₂/粒子濃度の管理。調理場とホールの間の動線も見直し。
環境・トイレ・床の清掃強化:トイレ清掃は最初と仕上げにし、床・壁・便器周辺を含めた広範囲清掃。除菌持続性のある手段(例:GSE)も併用。
注意点・補足
飲食店で損害が生じると、治療費・休業補償・慰謝料などの負担が膨大となる例が紹介されており、たとえば20人規模の食中毒で一人あたり5万円の支払いとしたら100万円の負担となる。
スタッフや客が“無症状キャリア”でウイルスを拡散させるケースもあり、発症前・無症状者からの感染という観点を組み込んだ対策が求められる。
結論
飲食店において、ノロウイルスはもはや「魚介由来の食中毒」という単純な構図ではなく、「ヒトからヒトへ飛沫・空気・接触で広がる感染症」としての顔を持ち、あらゆる店舗にクラスター発生のリスクがある。従来の対策だけでは不十分で、飛沫・空気・接触・環境清掃という4つの軸から包括的に備えることが今や不可欠である。
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