国民民主党の玉木雄一郎代表は22日、台湾有事が存立危機事態になり得るとした高市早苗首相の国会答弁について「存立危機事態になり得る一つの可能性、法律に基づいた解釈を話したに過ぎない」と述べ、「撤回する必要はない」と語った。首相の答弁を巡っては中国政府や日本の一部の野党が撤回を求めているが、玉木氏は「殊更にとらえて、プロパガンダのように対立をあおることは双方慎むべきだ」と強調した。
台湾の輸入再開「心から感謝」
東京都内での記者団への発言。
首相の答弁を報じるメディアに対して、玉木氏は「『(中国軍による)台湾への武力攻撃』=『日本が集団的自衛権を行使できる』ように報じる所もある」と指摘し、「中国は意図的だが、欧米メディアもそういう捉え方で報じている。現実とは全く違うので丁寧な報道を求めたい」と語った。
中国政府が日本産水産物の輸入を事実上停止した措置に対しては「合理的理由も科学的根拠もない。経済的威圧にしか捉えられない」と述べ、撤回を求めた。
中国は今年6月、2023年8月の東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に伴い全面輸入停止した日本産水産物の輸入再開を決めた一方、今月19日に日本政府に再開手続き見合わせを通知した。7日の首相の台湾有事を巡る答弁に反発した対抗措置とみられる。
玉木氏は、台湾が福島第1原発事故後に導入した日本産食品への輸入規制を21日に全面撤廃したことについては「心から感謝したい。困ったときに助けてくれることに、非常にありがたく思っている」と謝意を示した。(奥原慎平)