3e46b631 No.1300
「I still have fine breasts today♪」
鏡を見ながら僕は服を脱いで下着姿になる。
鏡に映るのはセクシーなブラとショーツを身に付けた美女だ。
ブラからはこぼれんばかりのスイカが2つ、少し身体を動かせば揺れる揺れる。
そんな立派に聳える山脈が自分の胸に付いていると実感するだけで、僕は無性に興奮していた。
「自分の身体に興奮するとかナルシストか?」と言われそうだけど、この体は本来なら僕の体ではないのでナルシストではない。
僕こと清彦は元男で、不慮の事故で爆乳美女アオハに憑依してしまったのだ。
当初はアオハに申し訳ないと憑依を解除しようと、ネットや図書館などで資料を漁って色々と試したけど、完敗。
なので今は、アオハに成り済まして、アオハとしてアオハの人生を生きている。
そんな僕には「女の子になりたい」という願望があった。
でも、そんな事は誰にも言えず、目をつけられないようにひっそりと生きてきた。
大学を卒業し、ブラック企業で馬車馬のようにこき使われ、生きるか死ぬかの瀬戸際だった。
そして3日前、僕は不慮の事故で命を落とした。
その現場にたまたま居合わせたのがアオハであり、僕の魂が引き寄せられ、双方の意思など無視する形で憑依が成立。
事故から意識を取り戻した時には病院のベッドの上で、様々な感情に襲われてテンパったのは言うまでもない。
#様々な感情(念願だった女の子の体になれた喜び・見ず知らずの体になった混乱etc.)
僕が憑依してしまった時のアオハは、金髪と碧瞳に爆乳付きのヨーロッパの人形を具現化したような美女だった。
・・・え?「髪の色が違うじゃないか!」って?
ああ、これはウィッグだよ。
なんというかその、鏡に映る自分の姿が金髪っていうのが落ち着かなくて、わざわざ黒髪のを購入したんだ。
――と、ここまでなら「夢が叶った自慢か?」と思われるかもしれない。
僕だって何事もなければ、このまま誰にもバレることなくアオハとしての人生を謳歌していただろう。
でも、一つだけ大きな問題が生じてしまったんだ。
そう、仕事が一段落したので1ヶ月後にアオハの母国に帰る必要が出てきたのだ。
知らない土地で知らない言葉が飛び交う中で暮らしていける自信がない。
アオハである僕が日本で暮らし続けていくには「結婚」するしかなかった。
そこで、僕は親友である敏明と結婚して日本に残る計画を企てる。
ただ、まさか敏明に人には言えない秘密があるなんて、この時の僕は思ってもいなかった。
#アオハ(清彦)は簡単な日本語なら話せる。ただし、喜怒哀楽の感情が込み上げた時は英語になる。
#アオハに清彦が憑依していることは誰も知らない。気付いていない。
#これは願望ですが、話の終着点は「出産」にしたい
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『敏明と結婚して日本に残る』
言葉で表現すると簡単そうに見える。
だが、実際に行動に移すとなると色々な問題が生じてくる。
まずは「アオハと敏明が初対面」という点。
接点のない二人をどうやって引き合わせるか。
ただ、敏明のタイプは分かっているので、タイミングさえ合わせればなんとかなるだろう。
つぎに「制限時間が1ヶ月しかない」という点。
婚姻届を役場に出し、正式に夫婦とならないとアオハの母国に帰らなければならなくなる。
どうやって敏明をその気にさせるかだ。
あとは「敏明と会う時は地毛(金髪)で」。
理由は簡単で、そうしないとバレた時に「話が違うじゃないか!」と喧嘩になるから。
ただ、金髪だろうが黒髪だろうが(敏明が)相手を好きになれば気にしないので、やはり敏明をどうやってその気にさせるかだ。
だが、見知った相手と見知った土地で暮らしていけるなら、それらの問題なんか些細なこと。
こうして、僕はアオハとして親友である敏明を落とす作戦を練っていく。
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#ちょっと訂正。
#「作戦を練っていく」じゃなくて「作戦を練って実行に移していく」の方がしっくりくるかな。
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敏明を結婚相手の候補に決めたのは、親友だからという理由だけではない!
親友という色眼鏡を抜きにしても、敏明は信頼できる男だ。
今は彼女もいないし、もちろん結婚もしていない完全フリーなのも知っている。
さらに、アオハも今は彼氏もいないので、二人をくっ付けてもなんの問題もないはずだ。
それに、これはアオハの意見(記憶)もちゃんと尊重した上での判断だ。
僕だって、アオハに恋人がいたり結婚していたら別れさせてまで日本に残ろうなんて考えなかった。
でも、アオハは完全フリーなので誰と恋愛しようがお咎めないよね?
ただ、この先いつ何処で憑依が解除されるか分からない。
万が一にも憑依が解除されて僕が成仏した場合でも、敏明ならアオハも混乱しなくて済む。
どうしてそう言い切れるかというと、アオハのタイプと敏明がドンピシャだったから。
これは「僕が一生アオハとして暮らす」事になっても「僕が成仏して本来のアオハに戻って」も、どちらに転んでも大丈夫なように企てた安牌だ。
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#清彦はアオハに成り済まして、敏明との結婚を急ぐ。
#だけど、親友である敏明は「アオハ(清彦)の些細な言動」に違和感を覚える。
#主軸の憑依が薄まらない為の補完
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陽光がガラス窓を優しく照らし、街のざわめきが遠くに聞こえるカフェの店内は甘いコーヒーの香りと穏やかな音楽に包まれていた。
アオハ(清彦)は緊張で胸がドキドキしながらカウンターのメニューを手にしていた。
栗色の髪のウィッグが肩にかかり、セクシーなブラウスが豊かなバストを強調するその姿は通りがかりの客たちの視線を引き寄せるには十分だった。
だが清彦の心はまるで嵐に揺れる船のようだった。
(落ち着け、清彦……いや、アオハだ。アオハとして振る舞うだけだよ)と内心で自分を励ます。
敏明がこのカフェに週末によく来るという情報は事前に調べ上げた通りだった。
清彦だった頃に敏明のよく行く店として何回か一緒に来た事がある。
店内を見回すと角の席に座る familiar な背中が目に入った。
いた!
黒いパーカーにジーンズ、コーヒーカップを手にしているその姿——敏明だ。
清彦の心臓が跳ね上がり喉が渇いた。
だが今さら逃げるわけにはいかない。
アオハとしての人生、日本に残るための計画がここにかかっている。
問題はどのように「偶然」を演出するかだ。
カウンターで注文を済ませ、トレイに載せたカフェラテを手に適当な席に向かうふりをしながら深呼吸をして敏明の座る席の手前でトレイを少し傾けた。
するとカフェラテが当然こぼれそうになり、慌てて「Oh, no!」と小さな悲鳴を上げた。
カップがテーブルにぶつかり、液体が飛び散る音が響く。
店内の視線が一斉にこちらに向き、敏明も振り返った。
「ス、スイマセン!」
清彦——アオハとして——慌ててカタコトの日本語で言い急いでナプキンを手に取る。
だがわざと少しぎこちなく動いてナプキンを床に落としてしまった。
「Oh, I’m so clumsy… ごめんなさい、初めて来たお店で緊張してしまって…」
敏明が席を立って近づいてきた。
穏やかな表情で近付く敏明に嬉しくなる。
「大丈夫ですか?手伝いましょう」
と、彼の声はいつものように落ち着いていた。
清彦(アオハ)は黒色に近い栗色の髪のウィッグを軽く触り微笑みを浮かべた。
黒目に見せるカラーレンズのコンタクト越しに敏明の顔を見つめる。
内面では心臓が破裂しそうだったが、表面上はアオハの明るさと愛らしさを必死に演じる。
「Thank you so much! えっと…日本語、ちょっと苦手で…」
と英語を混ぜながら言った。
敏明が少し戸惑いつつも優しく笑う。
「全然大丈夫ですよ。外国の方ですよね?助けられることがあれば、何でも言ってください」
清彦は内心でほっとした。
計画は上手く進んでいる——少なくとも今は。
敏明の視線が一瞬、アオハの豊かな胸元や栗色の髪に留まるのを確認し、
内心で小さく勝利を噛みしめた。
だがどこかでアオハに申し訳ない気持ちも湧き上がる。
この身体、この人生——すべてが彼女のものでありながら今は自分の欲望と策略に使われているのだ。
「ありがとうゴザイます。ワタシはアオハです。アナタの名前、教えてもらえますか?」
できるだけ自然に微笑む。
敏明が自分の名前を名乗る瞬間、清彦の心は複雑な喜びと罪悪感で満たされた。
この出会いが、未来の結婚、そして日本での生活への第一歩になる
そう信じてコーヒーの香りに包まれたカフェの午後が静かに流れていく。
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お互いに名前を名乗ったまではよかったが、此処で僕は自分の考えの甘さを痛感する事になる。
普段なら他愛もない会話で敏明と盛り上がる。
だけど、今の僕は敏明と初対面でカフェラテをこぼした外国人(アオハ)だ。
アオハ自身が陽キャだったら此処でグイグイ行ったかもしれない。
だが、人見知りのアオハの心臓はドキドキが止まらず、口を開こうにも言葉も上手く出ず。
なんとか敏明の隣の席に座る事はできたけど、名前を名乗ってからの敏明は何処か「心此処に非ず」状態で、喋り掛けるのも憚られるような雰囲気を醸し出していた。
(くっ…どうする?なにか敏明を惹くような話題は…)
時間と回数をかけられれば、敏明とアオハなら自然と交際まで発展して結婚も余裕だろう。
だけど、アオハに残された時間は1ヶ月しかなく、今日を逃すと来週まで敏明と会えなくなる。
悠長に構えていられる時間がある筈もなく、僕はどうやって敏明を攻略すべきか必死に考えていた。
そんな時、僕は敏明のテーブルに手を付けられていないカフェラテが置かれている事に気付いた。
これだ!
「あ…あの… If you don't mind …じゃなくて…敏明さん、そのcafe latteは…」
手に汗を掻きつつも何とか声を絞り出して、僕(アオハ)は敏明のとは別のカフェラテを指差して尋ねる。
すると、敏明は表情を曇らせつつも僕(アオハ)に優しい表情を向けて答えてくれた。
「これはね…遠くに行ってしまった親友が大好きだったカフェラテだよ」
敏明の言葉を聞いた瞬間、それが誰に送られた物かを理解した僕は、敏明の優しさに公共の場である事も忘れて号泣してしまった。
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敏明の優しさは根からのもので、僕が清彦だった頃も敏明の優しさには何度も救われてきた。
「僕なんかが敏明の親友で大丈夫か」と不安になる事もあるけど、背中を安心して預けられるのは敏明だけだし、敏明も何故か僕に全幅の信頼をおいてくれていた。
貸し借りなしで助けてくれる敏明の男気に、清彦だった頃ですら惚れそうになった。
これでどうして彼女がいないのか疑問でしかなかったけど、アオハになってしまった今は逆にそれがありがたかった。
今だって、泣きじゃくるアオハ(僕)にそっとハンカチを差し出しつつ、初対面なのにアオハ(僕)が悪目立ちしないように気を配ってくれていた。
「あ、背中に触れちゃダメなんだっけ?えっと…その…大丈夫?」
周囲を適当にあしらい終えた敏明が、涙が止まらずに嗚咽する僕に近寄ってきて、あたふたしつつも心配そうに声を掛けてくる。
敏明の事だから慰めようとして(良かれと思って)背中を擦ろうとしたのだろう。
ただ、泣きじゃくる相手が女性だった事で、万が一にも痴漢だと訴えられたらという危険が脳裏を過ぎり、手を引っ込めた。
それが、傍からみたらあたふたして困っているように見えてしまったと推測できる。
(敏明にこれ以上迷惑はかけられないんだけど涙がとまらないんだよなぁ)
何とかして涙を止めようとするんだけど、敏明の想いと目前のカフェラテを見てしまうと、胸が熱くなって感情が込み上げてきて、涙が溢れ続けてしまう。
敏明がせっかく落ち着かせてくれた周囲の視線も、僕が泣き止まないことで再び此方に向けられ始め、それは泣いている僕にも確りと伝わってくる。
制限時間は1ヶ月で、その間に敏明と仲良くなって籍を入れなければならないと焦っていた。
その結果が泣きじゃくって敏明に迷惑をかけてしまうという最悪の第一印象を与えてしまった。
アオハにも公共の場で恥をかかせる展開になってしまったし、敏明の顔は見えないけど流石の敏明も冷めた目で見ているだろう。
「これでは流石に敏明の気を惹くことは無理か」と焦りすぎた自分に嫌気が差し、敏明に頭を下げて一秒でも早くカフェから去ろうとした。
完全にマイナス思考になっていた僕だったが、敏明はそんな僕の予想を遥かに超える言葉をアオハ(僕)にかけてきた。
「ちょっと待って!このままキミにカフェから出ていかれると、僕がキミを泣かせた悪いヤツみたいになっちゃって困るんだけど」
決して怒っているわけではなく優しい口調で、敏明はそうアオハ(僕)に告げたのだ。
それは敏明の優しさというか、冗談交じりで場を和ませようと頑張って考えた言葉だと、親友の僕はすぐに気付いた。
(やっぱり敏明は優しいなぁ)
当初の予定とは大幅に狂ってしまったものの、結果的にアオハ(僕)は敏明と同じテーブル席に座る事には成功したのだった。
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「ひっく… Sorry for showing you the unsightly side …ぐず…」
(色々とグダグダすぎて自分が嫌になる)
同じ席に座れたまでは良かったのだけど、まだ感情が落ち着かなかったアオハ(僕)は思考も混乱して冷静に喋る事もできなかった。
腿の上に置かれた握り拳を作った右手にはずっと力が入っており、左手は敏明が渡してくれたハンカチで涙を拭く。
ナチュラルだけど敏明に好かれようと頑張ったメイクは崩れ、軽くウィッグがズレていた事にも気付けないくらい僕は泣いていた。
そんなアオハ(僕)に、敏明は何かするわけでもなく何も言うこともなく、アオハ(僕)が落ち着くまで傍に居てくれた。
「…落ち着いた?こういうのって言っていいのか分からないんだけど…その…ウィッグ…だっけ?」
敏明は最後まで言葉を言わなかったけど、それだけでも今の自分がどんな状況になっているかは簡単に想像が付く。
まぁこの栗色のウィッグは「自分の髪の毛が金髪だと落ち着かない」という理由で付けていただけで、これと言ってウィッグに深い意味合いはないのだけど。
だから、敏明にウィッグだとバレたところで…いや、醜態を曝した時点でウィッグバレなんか今更だ。
止まる気配のない涙を流しながらアオハ(僕)は敏明に指摘されたウィッグを右手で直していると。
「凄く綺麗な金髪……アオハさん美人だから金髪だと目立っちゃうのかな?似合いそうなのに隠しちゃうなんて勿体ない…なんて俺が言える立場じゃないけど」
ウィッグの間から覗いた金髪が敏明の目に留まったのか、アオハ(僕)の金髪に見惚れた(?)敏明が心の声をボソッと呟いた。
その言葉は風に掻き消されるくらいの消音だったにも関わらず、泣きじゃくって嗚咽するアオハ(僕)の耳には一言一句ハッキリと聞こえ。
その瞬間、体の奥底からボワッと炎が燃え上がるような感情が芽生え、アオハの体が一気に火照り出して顔が真っ赤に染まる。
「///(ポッ♡)」
(これは…本物のアオハの感情?)
だが当の本人は心の声が漏れた事に気付いていないのか、アオハ(僕)の金髪を穴があくほどまじまじと眺め続けていた。
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「はむっ♪」
思いっきり号泣してスッキリした(?)僕は、コーヒーを飲む敏明の隣でフルーツ山盛りのパフェを食べていた。
甘いモノは清彦の時から好きだったし、アオハも甘いモノには目がなく、昂った感情を落ち着かせる為にも僕はパフェを食べる事にしたのだ。
とは言え、感情を落ち着かせないと脳内がグチャグチャで(日本語が)喋れないので、食べる食べない議論は意味ないのだけど。
「女の子にこういうのも失礼かもだけど良い食べっぷりだね♪そのパフェ見ていると親友を思い出――ってゴメン!」
栗鼠の如くパフェを頬張るアオハ(僕)を見て苦笑した敏明だったけど、其処で「またアオハ(僕)が泣きじゃくってしまうのでは?」と思ったのか、謝罪してくる。
確かにさっきは敏明の想いとカフェラテで号泣しちゃったけど、パフェでかなり感情が落ち着きを取り戻したので、敏明が清彦(僕)の事を振り返ってもさっきみたいに号泣する事はない。
「私こそ取り乱してしまってすみません。ハンカチ…ありがとうございマシた。洗ってお返ししますね」
「俺の自己満だから気にしないで♪何と言うか、アオハさんを見ていたら放っておけなかったんだよね」
親友の清彦にも見せたことのない照れくさそうな表情で頭を掻きつつ苦笑する敏明。
更に其処で自分の発言がマズいと思ったのか「疚しい気持ちとかじゃなくて」と、アオハ(僕)は何も言っていないのに弁明までしてくる。
あれだけの醜態を曝してしまったにも関わらず、どうやらそれが敏明には好印象だったらしく、そんな敏明の優しさにアオハの緊張もいつの間にか解けて自然体で喋れるようになっていた。
ただ、だからと言って今すぐに体の関係を求めるほど僕もケダモノではない。
本音は1ヶ月しかないので一秒でも早く『既成事実』を作りたいけど、焦りすぎて計画が崩れかけたばかりでそれは学習能力がなさすぎだ。
今日は敏明と仲良くなれただけで良いじゃないか!ハンカチを返す口実で連絡先も交換したし、じっくりと確実に敏明の心をアオハに向けさせて行こう!
グダグダだったけど、こんな感じで初日は敏明との接点(基礎)を築き、また会う約束を交わして解散したのだった。
#日にちを進めて敏明と親密になっていくも良し。
#夜にやり取りして、敏明を想ってオ〇ニーしても良し。
#久しぶりすぎてSubjectとOptionsを勘違いしていた。サブタイトルはSubjectの方ね。