なぜ女性トイレには行列ができる? 全国1092カ所を調べた61歳の疑問、国を動かす
国が協議会発足、対策に本腰
駅や公共施設で女性用トイレにだけ長い行列ができるのは我慢すべきか―。そんな疑問から長野県松本市出身の行政書士、百瀬まなみさん(61)=東京=が全国千カ所超のトイレの便器数を独自調査し、注目を集めている。男性用に比べ、女性用の便器数が少ない実態が調査で浮き彫りに。国交省も6日、有識者らの協議会を発足し、女性用トイレの環境改善に向けた対策に本腰を入れる。 【図】便器数が女性用に比べて男性用は2倍、JR長野駅内にあるトイレの配置図
男性用は女性の1.7倍
百瀬さんは3年前から首都圏や全国1092カ所のトイレを実地調査。9割以上で男性の便器数(個室と小便器を合わせた数)が多く、全体では男性用の便器は女性用に比べて平均1・7倍だった。女性用の便器数が上回ったのは73カ所と7%にとどまった。
調査の中で、駅は平均より男女差が大きい施設の一つだと分かった。例えば長野市のJR長野駅。新幹線改札内にあるトイレは女性用の個室は6しかないが男性用個室は4。小便器は8あり、合計すると男性用は女性用の2倍だった=図。
きっかけは「推し活」
調査を始めたきっかけは、「推し活」。百瀬さんは人気歌謡グループ「純烈」の熱烈なファンで各地のライブに足を運んできた。2022年夏、島根県でのライブ終了後、特急列車で2時間移動した先のJR倉敷駅(岡山県倉敷市)でトイレに駆け込むと女性用には5~6人の行列。脂汗をかきながら用を足し、ふと案内板を見ると、女性用は便器が4だった一方、男性用は大小合わせて7で、女性用の1・8倍あった。翌日、JR福山駅(広島県福山市)で数えても、同じだった。
国交省から問い合わせも
「下着を下ろしたり生理用品を交換したり、女性の方が用を足すのに時間がかかる。なのに数が少なく、女性用ばかり行列を作っている」と百瀬さん。以来、行く先々で便器の数を記録し、交流サイト(SNS)で発信してきた。こうした調査が話題になると、国土交通省から問い合わせも受けた。
明確な基準なく
男女差が生じる背景には、駅や商業施設などのトイレ設置数に明確な基準がない現状がある。同じ面積なら小便器がある男性用の方が設置個数が多くなりがち。加えて国交省は、女性の社会進出が進み、駅などの利用者が増えたことも混雑に影響しているとみる。