「中学受験は嫌いだった」 フローレンス・駒崎さんが語る親としての葛藤

無料会員記事
大沢瑞季
大沢瑞季
認定NPO法人フローレンス(東京都千代田区)会長の駒崎弘樹さん=フローレンス提供
認定NPO法人フローレンス(東京都千代田区)会長の駒崎弘樹さん=フローレンス提供

 子どもに関する社会課題に取り組む、認定NPO法人フローレンス(東京都千代田区)会長の駒崎弘樹さん(45)は2025年2月、長男の中学受験の伴走を終えた。「元々、中学受験が嫌いでした」。そう語る駒崎さんは、受験生の親としてどんなことを感じたのだろうか。

コンプレックスだった中学受験

 駒崎さんは東京都江東区出身。地域の公立中では登校はジャージー姿と決まっており、男子は丸刈りを強制されるなど「謎の風習」があった。

 当時、駒崎さんは落ち着きがないなど発達障害の傾向があり、小学校になじめずにいた。“管理型”の地元中学は自分には合わないと感じ、13歳上の姉に相談したところ、中学受験という選択肢を知り、自ら受験することを決めた。

 塾に通い、自分なりの努力を積み重ねて迎えた試験当日。結果は、第1志望校には届かず、滑り止めと考えていた男子校に進学することになった。

 「子ども心に『負けたな』と思いました。進学先の学校には、自分と同じように第1志望に落ちた生徒が多くて、『負け犬の集まりだ』と自嘲的に言い合っていました。小学6年生で人生の負けを味わったような気がして、コンプレックスを植え付けられました」

きっかけは、ブラック校則

 そんな苦い経験がある中学受験に、我が子も足を踏み入れることになるとは想像していなかった。

 きっかけは、やはり「ブラック校則」だった。

 駒崎さんの息子が通学する地域の公立中学校には、生徒の下着の色が決められているなど理不尽な決まりがあった。「子どもの人権を無視した校則がいまだに残っていることに衝撃を受けました」

 公立中への進学を渋る息子に、「塾へ行って中学受験するのは大変だよ。遊ぶ時間もなくなるけど、どうする?」と問うと、「勉強自体は嫌いじゃないから、やってみたい」という。

 周囲には中学受験をする友人も多かったことから、小学4年から塾に通い始めた。塾への送迎や勉強のフォローなど、駒崎さんの伴走の日々が始まった。

「勉強を“させる”のが嫌だった」

 だが、駒崎さんはさまざまな葛藤を抱えることになる。

 元々、子どもの貧困や子育て施策に関わるなかで、「経済的格差を助長する中学受験は構造的におかしい」と感じていた。

 「本来なら仕組みを是正するべき立場にいる自分が、中学受験という社会制度にフルコミットしなくてはいけないことに、葛藤を感じ続けていました」

 また、フローレンスが運営する保育園では「やってみたい」という子どもの内発性を引き出すことを大切にしてきた。

 「でも、中学受験は全く逆でした。本人の意思とは関係なくカリキュラムは進み、偏差値を上げるという外発的動機のために、勉強をさせるのも本当に嫌でした。自身が言ってきたことと、我が子にやっていることが矛盾している。そんな状態も苦しかったです」

無料の会員登録で続きが読めます。

残り2050文字 (全文3208文字)

毎日IDにご登録頂くと、本サイトの記事が
読み放題でご利用頂けます。登録は無料です。

会員登録して続きを読む
Share

Related Posts

関連記事

CONTACT
記事の感想を送る

Recommend

あなたにおすすめ