渡航自粛、日本産水産物の輸入停止…中国対応、熊本県内にも影響 水産事業者「手痛い」 観光事業者、今後の中国人客減少懸念
台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁を受け、中国政府が自国民に渡航の自粛を呼びかけ、日本産水産物の輸入手続きも停止した影響が、熊本県内でも顕在化してきた。魚の加工品の輸出に向けた動きが止まり、熊本大と中国の大学との覚書締結も延期になった。観光関連産業への影響は限定的だが、事業者らは今後の中国人客の減少を懸念する。
「商社から多くの注文が入り、やっと再開だと張り切っていたのに…」。深川水産(天草市)の深川英穂社長(68)は、水産物の輸入手続き停止に声を落とした。2023年、中国は原発処理水の海洋放出に反発して輸入を停止したが、今年6月に一部を除き再開を公表。深川水産は子会社を通した、ブリの冷凍加工品の輸出再開に向け、事務手続きや商品の準備を進めている最中だった。
ハマチの加工品などを輸出する海神貿易九州事業部(天草市)も、既に商品を入れる箱などの資材発注を済ませていたという。山﨑重信部長(57)は「段取りが白紙になり、手痛い」。
渡航自粛の余波は教育機関にも及んだ。熊本大は12月中旬、中国の大学と共同研究や学生の交流などに向けた覚書を締結する予定だったが、中国側の来日がかなわず延期となった。熊本大は中国に留学中の学生1人の安全を確認。一方、中国からの留学生は約300人いる。同大は「就学や研究に支障が出ないよう、安全安心な環境を確保していく」とした。
熊本市中央区の日本料理店「城見櫓」では今週、中国人客と日本人客とのビジネス利用の予約にキャンセルが出始めたという。
観光庁の統計調査によると、24年に県内で宿泊した中国人客は延べ13万9770人で、外国人宿泊客の1割ほどを占める。
黒川温泉観光旅館協同組合(南小国町)は中国人客数について、「今のところ変化はない」。阿蘇温泉観光旅館協同組合(阿蘇市)は、熊本空港と上海を結ぶ定期航空路線が今年10月に運休したことも挙げ、「今後中国人客が減る可能性はある」と話す。熊本市中心部の大型商業施設やドラッグストアに目立った影響はない。九州産交バス(熊本市)の貸し切りバス事業にも現時点で大きな影響は出ていないという。
熊本県港湾課によると、今年、くまモンポート八代(八代市)に中国発着の国際クルーズ船が寄港する予定は13回。12回はすでに寄港し、12月の香港発着便も「18日現在、キャンセルの連絡はない」という。
小野泰輔市長は17日の記者会見で、渡航自粛の呼びかけについて「非常に残念。民間や自治体同士の交流は続けるべきだ。日中関係が良好になり、お互いが尊敬し合うためには交流が一番大事」と述べた。(地域報道本部取材班)
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