さよなら、にじボイス
声優さんの団体から「声優さん個人にめっちゃ酷似した声なんだけど?ふざけんなよ削除しろよ」といういちゃもんをつけられたAI音声サービスのにじボイスは、33件のAI音声キャラを削除しました。
さらに、おかわりで20件のAI音声キャラも酷似してるということで合計53件を削除したらしいです。
サービス終了
そしてサービス終了に至りました。サービス終了のお知らせは以下の通りです。
社内で再度調査を行い、法的な権利侵害は確認されませんでした。しかし、実演家の方々や関係団体にご心配やご懸念を生じさせることは本意ではないと判断し、同33体のキャラクターボイスの提供を終了いたしました。
以降も問題がないように細心の注意を払いながら運営を続けてまいりましたが、今回、11月17日に、追加で20体のキャラクターボイスについて、同様の削除要請を受領いたしました。
こちらについても、確認したところ、法的な権利侵害はございませんでした。
日本俳優連合の威嚇射撃2発であっさりとサービス終了してしまいました。訴訟にすら至っておりません…
にじボイスは「法的な権利侵害は無い」と明言していますが、これはどういう意味なのでしょう?本当に権利侵害は無いなら、サービス提供を続けてもよかったんではと思います。
「法的な権利侵害は無い」とはどういう意味なのでしょうか?
偶然、似てしまった説
声優さんの声をAIトレーニングに使っていなかったけど、偶然に既存の声優さんの声に似てしまった、という場合は考えられます。上手い演技ができるAI音声するため調整していくと、結果的にプロ声優さんと似た声に収束していくというのはありえそうです。
しかし、そういう偶然が53人分も起きるのかな?というのは当然疑問が残ります。たまたまAIキャラクターひとりが似てしまったとかならわかりますが、それが53人分も発生すると、さすがに偶然では説明できない気がしますよね。
声優さんの声は使ったけど、問題無いよね説
しかし、お知らせを文章のどこにも「声優さんの音声データをAI学習に使っていない」とは書いていないんですよね。これは凄く省略された文章なんじゃないかと私は思いました。
「確認したところ、法的な権利侵害はございませんでした」という文章を私が補足すると、以下の通りになります。
「担当の弁護士に確認したところ、エッチなゲームから引っこ抜いた音声データでAIトレーニングを行ったとしても、日本の著作権法30条の4でAIトレーニング自体は基本合法であり、また、声自体には著作権は無いとの判断でしたので、法的な権利侵害はございませんでした」
という意味なんじゃないかと私は行間を読み取りました。もちろん、確証があるわけじゃないですよ。
権利侵害が無い、ということを説明するのに一番説得力が強いのは、「そもそも該当の声優さんの声をAIトレーニングに使ってません」という説明ですよね。単純かつ明快なので、使ってないならそういう説明をするでしょう。
でも、「法的な権利侵害はございませんでした」という説明になるということは、使ってるけど合法だよね、という意味に思えます。
でも、これを正直に発表したら、大炎上間違いなしですので、そんなこと書けないですよね。これ以上、探ってくるなよ、訴訟は勘弁してよ、ということでサービス終了したんじゃないでしょうか。
30条の4でAIトレーニングは基本的には合法と言えますが、今回のように生成した声が声優さんの声に酷似する場合については、グレーゾーンな部分が残っています。特定の声優さんの声を再現してしまう場合、30条の4の「非享受目的」から外れる場合や「権利者の利益を不当に害する場合」に該当することも考えられます。この辺は判例が無く、なんとも言えない部分があります。しかし実際に訴訟になると、そんなグレーゾーンが白黒はっきりしてしまうでしょう。グレーゾーンはグレーゾーンのままにしておきたかったのかもしれませんね。
公式にはこう書いてあるよ…
https://nijivoice.com/
にじボイスは、以前は「DMMボイス」という名称だったらしいです。DMMはゲーム事業も行っていますよね。ですので、自社で権利を持っているゲームというのはたくさんあるはずです。
AI音声サービスを立ち上げるにあたって、自社のゲームの音声データをAIトレーニングに使用するのは、あり得なくは無いと思います。
その場合、書いてある「正規の音声データの購入」「適切な権利処理を行った機械合成」「許諾を得た上での収録」はぎりぎり嘘ではないですよね。
自社ゲーム資産であれば、ちゃんと声優さんに対価を払って収録した音声データですからね。でも、特定ゲームタイトルに用いることに限定した契約が普通なんじゃないかと。AIトレーニングに使用して音声AIサービスに使うことまでを許可するような契約は、普通はしていないんじゃないでしょうか。
つまり、ゲームに使うために「許諾を得た上での収録」「正規の音声データの購入」、著作権法30条の4に従って「適切な権利処理を行った機械合成」だと読めば、書いてあることは嘘じゃないですね。
もちろん、声優さんにAIトレーニングに用いることを許諾を得た上で収録したことも可能性としては無くは無いですが、それだったら今回みたいな削除要請なんて絶対に行われないですよね。ですので、ゲームに使うことは許諾は得たが、AIトレーニングに用いることは許諾を得ていなかった、と読むのが自然です。
EVILになり切れない日本企業って感じですね
こんなんじゃOpenAIとかMetaとかに絶対勝てないですよね。訴訟を起こされても札束で殴れば解決できるよねぐらいじゃないと世界のAI競争には勝てない気がします。
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久しぶりのゆのみさんの記事だ! 「にじボイス」って、てっきり完全オプトイン方式でやっているのかと思っていたのですが、違ったんですかね。 世の中には声優志望で養成所にも通っていたけど、メジャーデビューできなかった人達がかなりの人数いるはずで、彼ら彼女らが学習データとして音声を提供…
忙しくて何もできてませんでした! 完全オプトインを匂わせる公式の説明ですよね。 ちゃんとAI学習用に権利取得して対価還元するような仕組みになっていれば、安心して使えるんですけど、そういう風に思わせといてこの結末は…
正直声に関しては「似ているから消せ!」という『いちゃもん』が無限に言えてしまう一方、どう考えても特定の声優さんの声を「複数の人間の声から生成しただけっすよ?w」みたいな言い逃れができてしまうから色々難しいと思いますね。
はい、AI学習に使われたことを証明するのはかなり難しいと思います… アメリカだと、強力な証拠開示の仕組みがあって、データ全部出せという命令が裁判所から出る場合があるのですが、日本だとそういうのが無いんですよね。 「凄く似ている」「過去に該当声優さんの声のゲームを作っている」などの状…
マカピーの写真をご利用いただきありがとうございます♪ 現在マカピーが住んでいるフィリピン北部のイフガオ州の丘陵地に発生した虹です。 お話のにじボイスの話しはなんだか遠い世界の事の様に感じました
にじ繋がりで素敵な写真だったので使わせていただきました!見た感じ雰囲気が日本では無いと思いましたがフィリピンだったのですね。ありがとうございます!