転生逆玉の輿を狙った男の末路 作:猪突猛進で書く
「お〜い!生きてるか!?」
崖の上からクリスの声が響いた。
リンは何が起こっていたのか分からず記憶を整理する。
「……何があったの?」
「タンクローリーが逆走してきて、避けるためにホロウに突っ込んだんだ」
ビリーがリンにそう話すと同時に、崖の上から
バイクに乗ったクリスがほぼ九十度の急斜面をバイクで駆け降りてくる。
「怪我はねぇか?パエトーン?」
「あ、うん。なんとか無事だよ」
「ふぅ、ヒヤヒヤしたぜ全く。パエトーンの亡骸しか持って帰れなかったなんて話になったら、アイツに頭かち割られちまう。とっととホロウを出ようぜ。この車には、廃棄されたデータスタンドが数本と抗侵食薬が積んである。ガイドできるか?パエトーン」
「もちろん!伝説のプロキシを舐めないでよね!」
リンを試すように言うクリスに、リンは少しムッとして言い返す。
険悪な雰囲気になりかけた二人の間に、タイミングよくビリーが
「よし!それじゃあ早速、データスタンドを取り付けようぜ!」
「……はいよ。ビリーはデータスタンドを運んでおいてくれ」
ビリーの言葉に頷いたクリスはジャケットの内側から古めかしいリボルバーを取り出す。
「……?クリス、お前そんな銃持ってたか?」
「あぁ、この間買った。改造品で威力は折り紙付きだ」
そう言いながら現れたエーテリアスへと発砲すると、エーテリアスはたった一発で粉微塵になって消え去った。
しかしその反動は大きいようで、クリスはその威力で後ろへ下がっただけでなく、銃を持っていた右手をその場で二、三度振って痛みを紛らわしている。
「……痛え、反動ヤバいなこれ」
「おいおい、また使い勝手悪いガラクタを買ったのか?」
「うっせ、ロマンだよロマン。この良さがわからねぇとはまだまだガキだなビリー?」
「はぁ?ガキじゃねぇよ!」
「あ?ガキだろガキ、ガキロボット」
「あぁ!?」
「ま、まぁまぁ二人とも、落ち着いて!」
リンの仲裁もあり、三人はデータスタンドの取り付けに向かうことになった。その道中
「クリス、お前って戦える方だったか?」
「いや、全然?」
「じゃあなんでンなもん買ったんだよ」
「護身用だよ、いざという時に守る手段は必要だろ?」
クリスはそう言って改造品の銃を見せびらかす。
そんなしょうもないやり取りをしながらデータスタンドの設置を行なっていると、突如巨大なエーテリアスが姿を表す。
「パエトーン、データスタンドの調子は?」
「バッチリ!作業は終わってるよ!」
「よし、車まで──」
「走るぞ店長!」
「人のセリフ取るなよバカロボット!」
ゴタゴタと言いながら三人は走り出す。
しかし、巨大なエーテリアスも負けじと三人を追い続け、エーテリアスの巨大な角に弾き飛ばされ地に伏せる三人。
万事休すかと思われたその時、背後から三人を飛び越えてエーテリアスの眼前に一台のバイクが着地する。
そこに乗るのは色素の薄い黄緑髪の女性、クリスの所属する走り屋のリーダーでありビリーの旧知だ。
「久しいな、ビリの字。で、こいつが伝説のプロキシか!」
その時、動き出そうとするエーテリアスをビリーの横を通り抜けた青年が殴り飛ばす。
「パイセン、なまったっすね」
前線に立った二人。
「紹介する。ウチのリーダーとチャンピオンだ」
「いくぜ!目にもの見せてやっからよぉ!」
二人の背後でクリスがリンに二人を紹介したと同時、リーダーと紹介された女性──シーザーが剣を構えた。