転生逆玉の輿を狙った男の末路 作:猪突猛進で書く
「……で、風邪が完治して早々ルミナスクエアまで私を連れ出すなんて、何を企んでおりますの?」
「楽しいから!」
「……あぁ、そういえば貴方はとんでもないバカでしたわね。忘れていましたわ」
「ちょっと辛辣じゃない?」
「妥当ですわ」
ルミナスクエアの駐車場にて、軽い言葉の応酬をしつつもバイクを降りた二人。
「それで、何をする予定ですの?」
「──ヒントは、給料三ヶ月分だ」
「ささ、三ヶ月分……もしかして指──、いえ、あなたはそういうサプライズは出来ない方でしたわね。焼肉か、回らないお寿司くらいしか思いつきませんわ」
「おい、今一人で盛り上がって一人で落胆しただろ。良くないぞ、ホントに」
「それはあなたがっ!……こほん、それで何をする予定ですの?」
日頃の行いのせいだろう、と怒鳴りたくなる気持ちを抑えて聞き直すルーシーに、クリスは胸を張って自信満々に今日の計画を言い放った。
「この給料三ヶ月分で、お前の欲しいものをなんだって買ってやろう!」
「それで、何が目的ですの?」
「なんだその目!?俺は表裏なく本心からお前に贈り物をしようとだな……」
「私と出会った頃にはすでにお金の亡者で、お金目当てに私に取り入ろうとした張本人が何をおっしゃっておりまして?」
怪しむルーシーにそこまで言われてようやく、クリスは折れた。
正確には、なぜわかったと言わんばかりに項垂れた。
「いやさ、俺に足りないものってなんだと思う?」
「勤勉さと察しの良さですわね」
「いや、そんなのじゃなくてさ…もっと、こう……将来を見据えて?必要なものってあるじゃん」
「……?」
「ほら、お前の隣に立つに相応しい甲斐性くらいはアピールしないとって思ってさ……」
「……っ!」
驚きのあまり顔を赤くするルーシーに、クリスは続けて
「それに、たまには二人で出かけたりしたいだろ?」
その一言にルーシーは顔を上げ、彼の顔を覗き込もうとするが、彼はルーシーとは反対の方向に顔を逸らしていた。
顔を逸らしてはいるものの、後ろからでも見える真っ赤な耳からその表情はだいたい察することが出来た。
「そうですわね。今日は二人で、楽しいデートに致しましょう」
「……よし、任せろ!」
張り切った笑顔を見せる彼を微笑ましく見つめるのも束の間、彼から掴まれた手と、絡められた指にルーシーが更に顔を赤くした。
「エスコートいたしますよ、お嬢様?」
「名前で呼んでくださいまし」
「それじゃあ……行こうぜ、ルーシー?」
「えぇ、喜んで!」
手を引かれ、ショッピングセンターへと二人で歩いて行く。
きっとあと二十分もすればルーシーが手を引く側に入れ替わっていることだろう。
しかし、そんなことは気にならなかった。
だって、今がこんなにも幸せなのだから。
二人は夜が更けるまで──クリスの財布が空になるまで──遊んで、二人で郊外へと帰った。
あまりに帰るのが遅かったので、〝朝帰りかと思った〟などとメンバーに揶揄われたのはまた別のお話。