転生逆玉の輿を狙った男の末路 作:猪突猛進で書く
「やぁルーシー!」
「……ごきげんよう」
「そんなむすっとしなくてもいいだろ?」
「あなたには私のこの……海よりも深い落胆と呆れがわかりませんのね」
深くため息を吐くルーシー。
クリスは頭を掻くと、一度深呼吸をして、ルーシーの正面に座りその目を見つめる。
「……俺はお前がなにがそこまで気に入らなかったのかわかんないけどさ、しっかりわかるまで考えるって約束するから、一旦許してくれないか?ずっとこのままはお互いに嫌だろ」
「…………でも」
「絶対、わかるまで諦めないからさ。一旦はコレで許してくれないか?」
そう言って彼が取り出したのは中身がパンパンになった大きな袋。
開けてみろというように差し出すクリスに、ルーシーは恐る恐る袋へ手を伸ばし、袋を開けて中身を確認する。
中に入っていたのは、菓子や化粧道具など、ルーシーの日常生活に欠かせない、しかし現在の郊外の覇者陣営であるトライアンフが決定した輸送ルートの都合で購入する機会が減っていた嗜好品たちだった。
「本当は誕生日パーティで一緒に送るつもりだったんだが、中止になったからな。今のうちに渡しとく」
「……なんでこんなに?」
「よく買いに行けないってぼやいてたし、そろそろ膨れっ面以外のルーシーも見たいと思って、喜んでくれたら嬉しいなと思ってさ」
「え、ええ。……嬉しいですわ。今回はこれで許して差し上げます。そのかわり、必ずいつかは私の望むものをプレゼントしていただきますわ。…………待っていますので」
「おう、任せろ!」
少し前にあそこまでのルーシーを怒らせたにも関わらず自信満々に任せろと返したクリスに、ルーシーは
「それともう一つ」
「……?」
「今夜は同じベッドで眠ってもらいますわ」
「……えっと、ルーシーさん?何を……?」
「最近は夜になると寒くて、私一人では風邪を引いてしまうかもしれませんわ〜、せめて私を温めてくださる優しい殿方がいらっしゃれば……、何処かにいらっしゃらないかしら?私を優しく温めてくれる殿方は……」
「……わかったよ」
「話が早いのはあなたの良いところですわよ。クリス」
わざとらしい演技とわかっていたものの、ルーシーが風邪を引くかもしれないという発言を無視できず、同衾することとなるクリスであった。
「……そうですわ。そのまま、もっと近づいて」
「……何を目指してんの?」
「私が一番落ち着いて眠れる体勢ですわ」
「そっかぁ」
翌朝、珍しく衝動的に行った自身の行動を少しだけ後悔するルーシーであった。