転生逆玉の輿を狙った男の末路   作:猪突猛進で書く

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いつも感想やお気に入りありがとうございます
感想は返信できておりませんが(現実もネットも会話苦手マン)
しっかりと目を通して楽しい気持ちにさせていただいております




前回の出来事から数日後

 

「あー、あー、マイクテスト。本日は晴天なり」

「聞こえてますけど……、今日は曇りっすよ兄貴」

「そういうモンだから気にすんな」

 

(……無線?)

 

自分の部屋が無くなった(奪われた)クリストフがいるはずの自身の部屋からの話し声を聞いて、ルーシーは足を止めた。

 

「……で?進捗は?」

「そりゃもう順調っス!兄貴のソレでオレたちも甘い汁啜れるって言うんですから、みんな張り切ってますよ!」

「そうか、それは良かった。……一応言っとくが、この件はどうか内密に……」

 

そこまで聞いて、ルーシーはドアを蹴破って部屋に押し入った。

それは会話の内容からして部屋のドアが塞がれているだろうと想定した行動だったが、意外にもドアを塞ぐようなものはなく、ドアは無意味に壊れてバタンと音を立てて倒れた。

 

「そこまでですわ。……クリス?〝誰と〟〝何の〟話をしていまして?」

 

誰と、何の、を強調して彼へと迫るルーシー。

固まったクリスにさらに詰め寄ろうとしたその時

 

「ん?誰かいるんスか兄貴?」

「そこの貴方、無線を切らずそのまま私の質問に答えなさい。さもなくばあなた方の〝兄貴〟が酷い目を見ますわ」

「えっ?」

 

言うが早いか、ルーシーはクリスの足を強く踏みつける。

 

「痛っ!?……ちょ、俺ってそんな信用できない?足踏むことなくない?──イタタタ!?力入れないでくれないかなぁ!?」

「信頼しているからこそですわ。さぁ、無線の先の誰かさん?早くお話なさって?」

「俺らはルーシーファンクラブの会員ッスよ」

「………………はァ?」

「がふっ……!?鳩尾はヤバい……っ」

「ちょっ!?マジですって!あるんですよファンクラブ!」

 

ルーシーファンクラブなる集団の所属だと言い張る男にため息を吐きつつ、クリスの脛を蹴るルーシー。

 

「ありえませんわ。大体、誰がそんなものを設立いたしますのよ?」

「兄貴です!今ルーシーさんが痛めつけてる兄貴ですって!ファンクラブ一号名誉会長!」

 

次の瞬間、ピタリと動きを止めたルーシーの首が、人形のような不気味な動作でクリスの方を向く。

 

「……あなたが、私のファンクラブなんて馬鹿なものを?」

「あ〜、うん」

「……なぜ?」

「…………黙秘権は?」

「コイツに交渉してくださいまし」

 

ルーシーがバットを取り出すと、クリスは観念したような仕草を見せたのでルーシーは取り出したバットをしまった。

 

「……いや、その……どんなものでも、同好の士ってのはいると嬉しいだろ……?」

「進捗云々といった話は?」

「ルーシーさんの誕生日パーティを豪華に行おうって話っス。兄貴はそのために極秘でファンクラブ作って協力者を集めたんスよ」

 

クリスへの問いに、無線から質問の答えが帰ってくる。

ルーシーは驚いたのか呆れ果てたのか、口をあんぐりと開いて思わずバットを取り落とす。

クリスは少し恥ずかしくなったのか、視線を逸らして黙っている。

 

「……どんな規模のパーティーを開こうとしていましたの……?」

「郊外の走り屋全員を呼べるくらいの広い会場と、打ち上げ花火を用意しようとしてたっス!後は……宝石?指輪?を自費で買うとか……」

 

それを聞いた途端、ルーシーは顔色を変えた

 

「はっ……はぁ!?も、もういいですわ!即刻中止!使う予定だった資材はそちらで売るなり使うなりしてくださいまし!パーティはナシですわ!時間は誕生日直前前であったわけでもないのですからなんとかなるでしょう!?それでは切りますわ!」

 

ルーシーは少し赤くなった顔で無線を切ると、クリスに向き直る。

 

「……指輪というのは」

「本当だ」

「そそっ、それは既に仕入れていまして?」

「ああ」

「そっ、そうですのね。……パーティはなくとも、仕入れてしまったものは仕方がないですから?私が受け取って差し上げても……、まぁよろしくてよ?」

 

顔を赤らめてそう言ったルーシーに、クリスはその()()を取ると、その人差し指に赤い宝石の嵌った指輪を着けた。

 

「右手の人差し指の指輪は、集中力やリーダーシップを高めるという意味で、宝石のレッドスピネルは怒りを和らげ、調和をもたらすと信じられてきたらしい。お前がいつかカリュドーンの子を率いることを祈って…………?」

 

ここまで話して、クリスはルーシーがプルプルと震えていることに気がついた。

彼女は顔を先ほどとは比にならないほど真っ赤にして、クリスを睨みつけている。

 

「……赤い宝石はお気に召さなかったか?」

「……っっ!!そういうことじゃねぇンですのよこのドアホォォォ!」

「指輪でパンチはヤバっうわああああぁぁぁ!!」

 

その夜、カリュドーンの子の宿泊地では、地獄のような悲鳴と怒号が木霊した。

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