「はい」って言ったのに?ができるまで①
この記事ではゲーム制作サークル「プレイクリエイト」の2025秋新作『「はい」って言ったのに?』ができるまでをご紹介します。2月のサークル結成後、当初は2025年5月のゲムマに出そうとしていましたが間に合わず、ふりだしに戻ったりします。
■2/14~ 人間はおもしろい
2025年2月14日
自分(ヨシナガ)は人間がとても好きだ。中でも「特殊能力」に興味がある。
ドコムスとプレイクリエイトの決起飲み会をした際に「ヨシナガは特殊能力が好きすぎるんじゃね?」という話題から、「人の能力を知るといえば、MBTI診断っていいよね」という話になった。
朝5時ころ帰宅して、さっそくMBTIをゲームにできないか検討することに。
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2025年2月25日
MBTIの質問っぽいものをカードにして、ゲーム化できそうな目処が立つ。ゲーム名は「16性格診断王」。「MBTI 王」にしたかったがMBTIは商標登録されており、簡単にゲーム名に使える雰囲気ではなかった。全然知らなかった。
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2025年2月26日
さっそくテストプレイをしてみる。この時点では紙とペンを使うゲームだった。
検討中のゲームをテストプレイ。
— プレイクリエイト (@play2create) February 26, 2025
計算が難しかったりとまだ課題が多いけれど、練れば良くなりそうな雰囲気を感じる! pic.twitter.com/5LJJsJAFyJ
「良くなりそう!」とポジティブな雰囲気で書き込んでいるが、結果は
・難しい
・長い
・何が楽しいかわからない
と散々なものに笑
白で隠してあるのはMBTIの「INFP」などのアルファベットが入っている部分。プレイするとオマケでMBTI診断もわかるしくみで、これが斬新だと自分では思っていた。
ただ、この時点では一つもゲームを作ったことのない素人の自分が一つのゲームに全パワーをかけてしまうと、コケた時に取り返しがつかなくなる気がしたので、この頃から5~6個のアイデアを同時に育てていくことにする。
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2025年3月1日
テストプレイを繰り返して改善を重ねていく。この日までに合計10人ほどで10回以上プレイ。途中からその場で改善するためにカードではなく、パワポの画面を直接表示して書き換えながらプレイしたりした。その結果、
・「-2 ~ +2」の5択を減らす
・合計16問の質問数を減らす
など、ゲーム自体をどんどん簡略化していく方向になっていく。
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■3/5~ MBTIをあきらめる
2025年3月5日
ゲムマに向けて作っているゲームのテストプレイを実施。前よりもブラッシュアップしてかなり良くなったと思う。
— プレイクリエイト (@play2create) March 5, 2025
他のゲームとの差別化のためにこだわって残していた主要要素が一つあったのだが、思い切ってそれを全部それを削除することが必要なのかもしれない。
(そういうことってあるよな…) pic.twitter.com/nK19XovSHu
15回以上、延べ人数で50人以上のテストプレイを重ねていく。
その結果として上のポストを書いたが「こだわっていた主要要素」というのはMBTIのことだ。面白くするために問題数を減らすとMBTIのまともな診断ができなくなる。
しかしこの日を境に
「MBTI診断」という概念自体を捨てるしかないのでは?
という所に追い込まれた結果の書き込み。ゲームを作るきっかけになった「大前提」を失っても大丈夫なのか?でも、このままでは面白くならない。迷う。
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2025年3月8日~
集英社ゲームズのミヤザキユウさんに会えることになり、MBTIゲームを見せる。プレイはしなかったが、少し見た時点で
「これはどんな良いところがあるのでしょうか?」という正直な感想をいただき、「やはり、今のままだと完全にダメなのだな」と確信する。敗北戦である。
その空気でドコムスと帰る途中、道ばたにエロDVDが落ちているのを見つけて二人でびっくりした。令和の都会でもこういうのって落ちてるのか!
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2025年3月26日
まだこのゲームを5/18のゲムマ春に持っていくことは諦めていない。
延々とテストプレイを繰り返し、累計プレイ回数が40回くらい。4~5人位でプレイすることが多かったので、延べ人数は同じ人の複数プレイも入れると150人超えになっているはず。
紙ペンゲームなので、分析用に持ち帰った使用後の紙が随分たまってきた。僕は記録が好きなので全部残してあるのだ。
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2025年3月29日
知人宅でボドゲ会。「性格診断王」を木村さん、あだちさん、きーさんという全員すごいキャリアを持つゲームの達人に見てもらう。
昨日は制作中の自分のゲームをテストプレイ。
— プレイクリエイト (@play2create) March 30, 2025
ゲーム開発おじさんとあだちちひろさんの貴重なダメ出し意見を聞くことができてとても勉強になった…! pic.twitter.com/OmLLbN5yCf
質問数を削り、選択肢の数を削り、MBTIが判別できる要素も完全に削ったバージョン。だいぶ整ったので「もう発売できちゃうかも?」と思っていた。
…が、ゲーム作りの大先輩の意見は凄まじく、特に木村さんの愛のあるダメ出しを聞いて猛省。「一度全てリセットしてゼロに戻し、再構成しないとダメだ」という結論にたどり着いた。ダメなものを「ダメ」と伝えてくれる仲間がいるのは本当にありがたい。
これまでの労力を考えると認めたくない事実だが、完全敗北としてゼロリセットすることにした。この時点で春のゲムマに間に合わないことが確定した。
※翌日、焦りながら作った「肉かるた」の制作秘話はこちら
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■4/1~ ゼロから作り直す
2025年4月1日
新年度。「性格診断王」をいったん全部捨ててゼロから作り直す。
まず全ての質問とMBTIの4つのジャンル分けを捨て、全く新しい5つのジャンルを作る。そもそもMBTIの質問は機械的すぎた。
余談だが、僕は今まで仕事で百回以上やってきた採用面接で「採用した人が良い人である率がかなり高い」という不思議な特徴がある。30分程度の短期間の面接でそれが可能なのは、おそらく人が大好き過ぎて人の能力をとても見ているからだと思う。
そういう観点から、全てのカードを皆が興味を持ちそうな質問に変更する。この質問ならゲームとして戦えるかもしれない。
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2025年4月13日
米光さんからお声がけをいただき歴戦の猛者たちが集まる会で、ゲームを見てもらえることに。気合を入れて制作中の6つのゲームすべてを持っていく。
性格診断王は「ゼロから全て作り直した新バージョン」で望んだ。前とは別物のパワーあるゲームに仕上がっているはず。
結果、質問はかなり面白くなっており
私「米光さんは、趣味でコスプレをしたことがありますか?」
米光「…はい。家では毎日コスプレをしています」
というやり取りがとても印象に残っている。必ず「はい」と答えるゲームなのでこういう変な会話が発生するのだ。(答えは当然✕で、米光さんは趣味でコスプレをしていないことがわかった)
しかしゲームが盛り上がってくると、紙ペンで記入する時の「妙な無言の時間」や、「終了時の点数計算のめんどくささ」が課題として感じられるようになった。
そんな中、持っていった6つの制作中ゲームの一つ「図形を組み合わせるゲーム」で使っていた◯や△のプラスチックパネルを使い、紙ペンを完全に捨ててしまうアイデアが出る。
こうやって現場で即座にルールが変更できるのはアナログゲーム制作ならではの良さ。
試しにやってみると、面白い!確実にスピード感が良くなっている。
その時の様子は米光さんのテレビ密着ドキュメンタリーにも少しだけ写っている。
中央に5色の質問カード。全員で手を開くと◯や△の答えが入っている様子(僕の手は一番右)これをブラッシュアップすれば、形になるかもしれない…!という手応えを初めて得た。
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2025年4月16日
テストプレイを執念深く繰り返す中で、「どんな質問が良い質問か?」のコツをつかんだ気配を感じ、ドンドン質問を作る。
勢いを落とさないうちにやるのが大事。
問題は、付属のカードが80枚にもなってしまいそうなことだ。定価が上がってしまう…。
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■4/20~ 宣伝のため、制作が止まる
2025年4月20日
裏で完成させていた第一弾作品「肉かるた」の情報解禁。ここからゲムマまで怒涛の宣伝フェーズがはじまり、あまり制作が進められなくなる。同時に一個のことにしか集中できないのは弱点だなぁ。
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2025年5月7日~6月6日
宣伝に追われて制作ができていないことの焦りを2度もポストしている(5/7、6/6)。「肉かるた」はありがたいことに、
・ストア25日連続1位獲得
・売り切れ&増産&再増産
・ハンズ全国販売開始
・フジテレビ取材
・アタック25の問題出演決定
・その他全国店舗での販売検討
・海外工場での増産検討
・その他まだ未公開の大型プロジェクト
など、とてもうれしい反応をいただき、毎日いろいろなことがある状況になった。その間、制作は全く進まず。
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2025年6月17日
ゲムマ秋に申し込み。いよいよ新作を進めないといけない。ものづくりにおいて、こういう明確な締切があるのは本当にありがたい。
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■6/30~ 再起動。なかまを集めたい。
2025年6月30日
ゲムマから42日、ようやく広報も落ち着いて「制作モード」が戻ってくる。我ながら切り替えが遅い…が仕方ない。しかもドコムスとの打ち合わせの中で全く別の「勇者のゲーム(カード150枚超)」を思いついてしまい、そちらを作ったりし始める。切り替えが遅いうえ、向かう方向のハンドルまでズレている感じがする。新作はいいから、性格診断王をまとめろ!自分よ!
クリエイティブの意欲のコントロール、複数作品を同時に作っている人たちはどうやって調整しているんだろうか。このあとも制作パワーが暴走してもう一つ新しい「ゴリラゲーム(謎)」ができてしまうが、このブログでは以後「性格診断王」のみにフォーカスしていく。
所持ボドゲ数:263
2025年7月6日
ドコムスとの打ち合わせで「性格診断王」はタイトル、全体イメージともに「全く僕たちの持っていない雰囲気」に落とし込むのが良いのではないか?という結論になった。そうなると仲間が必要だ。
タイトルは硬いものからギャグ、ポエムまでこれまで50~100個ほど検討してきたが、まだしっくり来るものがない。
米光さんの著書「ゲーム作家の全思考」のタイトル付けの章には「◯◯のゲーム」など、できるだけわかりやすくするのも大事と書いてあり、説得力がすごい。迷いに迷う。
所持ボドゲ数:263
2025年7月7日~7月8日
タイトルは難航中。表紙イラストも迷う。僕もドコムスも絵はかけるが、そもそも二人とも大人なのに「男子度合いが高すぎる」気がする。これは長所だが弱点でもある。
今回は、全く未知の世界だが女性イラストのパッケージがいいのかもしれない。タイトルも、少しポエムのような情緒のある雰囲気にしたい。
試行錯誤を繰り返す中で思い出したのが、去年九州の知人に頼んで手に入れていた「JR九州のキャラクターシール」だ。かわいいし、時代に左右されない普遍的な雰囲気も感じる。
試しに合成画像を作って箱にはめてドコムスに送信。仮タイトルは「性格診断王」を捨てて「あなたのことが、知りたくて。」とポエム風に変更。
とても良い!というので、絵の作者のconixさんの情報を全部調べることにした。著書、画集など手に入るものを全て買う。これが大人のちから!
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2025年7月10日
conixさんの絵をいろいろ見る中で、声優:小林愛香さんのイラストが良かったので化粧箱にはめてみる。良い。タイトルも移動中に突然ひらめいた『あの時、「はい」って言ったのに。』とした。ポエム風。
ところで、移動中やシャワー中にアイデアが降ってくることが多いのはなぜなんだろう。脳を100%稼働や 0%の空白にせず、「15%:別タスク、85%:空白」とするのが重要なのかもしれない。別タスクは自転車など「油断すると死ぬ」という状況なのも重要な気がする。
所持ボドゲ数:266
2025年7月15日
イラスト&タイトルと同時に、ゲーム内容は着々とテストプレイとブラッシュアップを重ねている。累計プレイ回数は50~100回ほど。
・1ラウンドの問題数を18→12→8→6問まで大幅削減
・質問を根性で400個ほど考え、良い質問を150個に厳選
・◯△のプラスチックパネルは高いので、厚紙パネルで代用
など、やるべきことを淡々と行う。ゲーム全体のボリュームが増えすぎているのが気になるが、まずはベストを尽くすのみ。
所持ボドゲ数:277
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と、ここまでが『「はい」って言ったのに?(MBTIゲーム)』制作の前半の試行錯誤でした。
後編は、外部の人に連絡して「なかま」を増やすターンから始まります。(仲間は二人増えます)
お楽しみに!
追記:次の記事を公開しました!
最新の活動が気になった方は、ぜひプレイクリエイトのXもチェックしてみて下さいね。
過去記事もよろしければご覧ください!


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