「病院守るため」に殺人事件を隠蔽 元院長が法廷で語った病院のいま
青森県内の病院で、入院患者が別の入院患者を殺害した。しかし、院長と主治医は被害者の死因を「肺炎」と偽り、事件が発覚しないよう隠蔽(いんぺい)したとされる。院長は兄、主治医は弟。地元では「エリート」として知られた2人の医師は、なぜ被告の立場になってしまったのか。
事件は2023年3月、青森県八戸市の「みちのく記念病院」で起きた。入院患者の男(60)が、療養病棟で相部屋だった男性(当時73)の目に、歯ブラシの柄を何度も突き刺すなどして殺害した。
兄弟は医師として被害者が亡くなった状況などを医学的に調べたうえで、事件に巻き込まれた可能性があるものとして警察に届け出る義務を負っていた。だが、病院内で殺人事件が起きるという異常事態は、すぐには露見しなかった。
起訴状によると、当時の院長だった石山隆被告(62)は、死亡した男性の主治医だった弟の哲被告(60)と共謀。警察に事件を届け出ず、男性の死因を「肺炎」とする虚偽の死亡診断書を作成して、この殺人事件を隠そうとしたとされる。
「とんでもない」語気を強めた被告
哲被告の公判日程が決まらない中、今年9月に青森地裁で開かれた隆被告の初公判。罪状認否で隆被告は「間違いありません」と淡々とした声で起訴内容を認めた。
隠蔽の動機は何だったのか…