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現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
普通の女の子に戻れないお嬢様の空回り

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お嬢様の修学旅行 初等部編 その2

 京都駅到着。

 そのまま歩いて京都桂華ホテルに向かう。

 目の前にあるホテルも当然貸し切りである。

 で、昼食。


「……」

「……」

「……?」


「ん?

 みんな食べないの?」


 蕎麦である。

 立ち食い蕎麦である。

 うどんもあるよ。

 という訳で、立ち食いスタイルで蕎麦をすすりながら私は講釈を垂れる。


「麺汁が薄いでしょ。

 これは薄口醤油を使っているからで、関東では濃口醤油を使っているから汁が黒いのよ。

 で、これにオプションとして色々入れてゆくという訳。

 この蕎麦出汁に合うものを用意しているわ。

 あと、足りない人はおにぎりといなり寿司も用意しているからそっちをつまんで頂戴」


 私のお椀には生卵がいい感じに茹でられ、その横にはじゃこ天が汁の海に鎮座している。

 青葱の輪切りが魚のように泳ぐなかにコロッケを入れて、それぞれパクリ。

 その慣れた手付きに一同唖然とするばかり。


「うまい♪

 こんな生活していると、無性にこういうのが食べたくなるのよ!」


 それを見て興味津々で食べだす一同。

 もちろん、形式が立ち食い蕎麦スタイルなだけであって、蕎麦もオプションも桂華ホテルの誇る腕の良い料理人作だからまずい訳がない。

 皆が黙ってズルズルと麺をすするのはそんなに時間がかからなかった。




「こちら、三十三間堂の正式名称は蓮華王院と言い、後白河上皇が離宮として建て……」


 ガイドさんの説明を聞きながら無駄に並ぶ仏像の群れに圧倒される。

 なお、この仏像の数は1001体あるらしい。

 そんな仏像ワンダーランドで皆の感想は……


「なんか目が回ってきた」

「同感」


 多すぎるのもなんとやらである。




 続いて清水寺に到着。

 飛び降りる事で有名な清水の舞台から見る晩秋の京都は実に美しく、日が傾きつつある秋の空には雁の群れが空を飛んでいる。


「いいわね~。

 こういう風景を見れただけでも、来たかいがあったものね」


 そのまま近くの茶店で梅昆布茶と生八ツ橋をパクパク。

 なお、お土産店あるあるの芸能人のグッズなんかもあって、結構買っている人が居たりする。


「瑠奈さんは何か買わないのですか?」


 隣に座っているのは薫さんで、ちょこちょこと何かを買ったらしくお土産袋を抱えている。

 それをちらりと見ながら、私は梅昆布茶を味わう。


「大概のものは手に入るしね。

 こういう風景を楽しむのも旅の醍醐味ってものよ」


「旅の醍醐味……ですか」


 薫さんが言わなかったのは、周囲にちらちらと付いている護衛とかメイドの事だろう。

 すでに十人以上の観光客から『写真を撮っていい?』と聞かれ、彼らが丁寧にお断りしたばかりである。


「……」


 私以上に座敷童子よろしく黙って茶を堪能している蛍さんもいるのだが、彼女は黙っていても空気でなんとなく意思疎通をするらしく蛍さんの近くに居る私と薫さんにはほんわかオーラがやってきていたり。

 そのため、話は私と薫さんの間で進む。


「私はこの後の銀閣寺が楽しみなんですけどね?」

「たしか特別公開中だったけどお目当ては?」

「東求堂。

 茶を嗜んでいるならば、ひと目見ておきたいと思いまして」

「なるほど」


 四畳半茶室のはじまりと言われるのが銀閣寺東求堂内にある同仁斎である。

 公家系華族のたしなみとして、私も最低限の茶道の心得は持っているが、薫さんはもっと深く茶の道を極めているらしい。

 他にも香道もやっているとか。


「なーにそんな所でお茶飲んでいるのよ!

 音羽の滝のお水飲みに行きましょうよ!!」


 まったり空間にやって来たのは明日香さん。

 後ろに鑑子さんと志津香さんが居て、大量のお土産袋が戦果を物語っていた。


「じゃあ、みんなで音羽の滝に行きましょうか」


「「「「おー!!!!」」」」


 こういう時も蛍さんは声は出さないけど、ちゃんと皆と一緒に手を上に上げる女子である。

 なお、何の滝の水を飲んだかは内緒。




 銀閣寺。

 これも正式名称は慈照寺。

 足利義政が金閣寺を模して建てた寺だが、この時期資料の見直しによる再定義が進みつつあった時期でもある。


「かつては、応仁の乱は将軍家のお家争いに各大名のお家争いが絡まって、当時の有力者である細川家と山名家が……」


 ガイドの説明を聞いていると、栄一くんがぽつりとつぶやく。


「つまり、応仁の乱の原因って何なんだ?」


 限りなくそのあたりに詳しくないといけない裕次郎くんが即座に反応する。

 このあたり、下手なガイドより説明が面白いのが困る。


「幕府そのものが乱の原因なんだよ。

 お家争い自体はきっかけに過ぎなくて、もっと過去に原因があるんだ」


「って、何処まで遡ればいいんだ?」


 今度は光也くんが茶化す。


「応仁の乱を知るには室町幕府を知らねばならず、

 室町幕府を知るには南北朝を知らねばならず、

 南北朝を知るには鎌倉幕府を知らねばならず、

 鎌倉幕府を知るには源平合戦を知らねばならず……」


 そこから先を私が引き継いだ。

 つまる所、歴史とは過去の連鎖なのだ。


「源平合戦を知るには荘園を知らねばならず……

 多分行き着く最果ては白村江の戦いね」


 そんな事を話しながら、特別公開されている東求堂を眺める。

 殺し殺されの末法の果てに彼らはこのような建物を残した。

 その末裔たる我々は世界に誇る経済大国の地位に座っている。

 我々は何を残すのだろう?

 そんな事を考えながら、修学旅行の一日目は終わった。


 夕食はもちろん京懐石にしゃぶしゃぶ。

 食後のアイスまでついて大満足の下私達は眠りについた。

立ち食い蕎麦

 なお、青春十八切符の旅で関西風出汁と関東風出汁の境目を探した結果、米原-大垣間に境目がある事がわかった。

 その後、名古屋駅で食べたきしめんのうまかった事と言ったら……

 書いている時の瑠奈の喋りがつらつらと出て、『立喰師の瑠奈』なんてのが始まるのかと思った所をぐっと我慢。


香道

 香りを鑑賞する芸道で、香りを『嗅ぐ』や『匂う』のではなく『聞く』と表現する。

 香木の香りを聞き鑑賞する聞香と香りを聞き分ける遊びである組香がある。

 まぁ、知ったのはただの薬売りさんからなのだが。

 下手するとこのあたりの公家系華族は『東大寺』を持っていてもいいかもしれないな。


音羽の滝

 もちろんお酒が注がれるトラップは無い。

 音羽の滝のご利益は『学業成就』『恋愛成就』『長寿延命』だが、飲めるのは一つのみ。


応仁の乱を知るには……

 別作品の資料集めに狂奔していた時に悟った言葉。

 とにかく戻らんと元凶が分からないのと、白村江の戦いは本気で歴史のターニングポイントであるともっと声を大にして言いたい。

 本気で極東の特異点たりえるイベントなのだから。

 これで出るだろう日本鯖☆5連中が神なのがまた……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 京都駅構内(東海道線ホーム大阪行き)にある立ち食い蕎麦屋が本当に美味しかった。また行きたい
[一言] 名古屋駅のきしめんの本社は、東京都杉並区です。 都内JR駅では、別ブランドで展開。きしめんは池袋駅店だけかな。
[一言] 首都圏の駅そばは極一部の例外を除きJR東日本フード?からの仕入れに変わって味に差が無くなちゃっらな 不味い方向で 独自で残ってるのはさらに不味い場合気がする
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