Vol.555「女だって戦争を起こす」
(2025.11.11)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…高市は7日の衆院予算委員会で、台湾有事は日本の「存立危機事態」になりうると答弁した。台湾有事が日本の「存立危機事態」というのは、もし中国軍が台湾に侵攻したら、たとえ日本が直接攻撃されていなくても日本の存立が脅かされる事態であると見なし、自衛隊が集団的自衛権を行使できることを意味する。端的にいえば、中国が台湾を侵略したら、日本が中国と戦争をするということだ。歴代の首相は台湾有事が「存立危機事態」に当たるかどうかの見解を明確にすることを避けてきたのだ。もし今回の高市の答弁と同じことを男の首相が言ったら、間違いなく大騒動になるが、女の首相だったら平然と流してしまい、マスコミも世論も沈黙してしまう。結局は、女は優しいはずだとか、女は危険なことを言うはずがないとか思い込んでいるからなのだ。女性という「属性」で差別するなとか言ったって何の意味もない!
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…1996年、近畿大学文芸学部の学生だった私は、「女性学・ジェンダー論」を掲げる大越愛子というフェミニズムを専門とする教授のゼミに在籍していた。といっても、「ジェンダー」も「フェミニズム」もちんぷんかんぷん、「女性についての学問だろう」という感覚だけで、特別に興味があって選択したわけではなかった。実際、ゼミに顔を出したのは数回で、キャンパス内で大越教授と出会うたび「たまには顔出しなさいよ」とたしなめられていたが、卒業論文は激賞してもらい、学内の出版物に掲載してくれたので感謝している。大越愛子ゼミを卒業後、15年以上たったある日、私は「ゴー宣道場」のブログを読んで驚愕することになる。かつて慰安婦問題を巡って、慰安婦を「日本軍の性奴隷」と呼んだ左翼フェミニズムの急先鋒として「大越愛子」という名前が書かれていたのだ!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…先生の低血圧ってやっぱり降圧剤の影響?最近のドラマは女性脚本家の方が骨太な作品を書いているのでは?いわゆる上級国民と、茶魔たちのような「上流階級」の違いは何?エロ漫画やエロい画を描いてみようと思ったことはある?元々ネットに対して超慎重だった先生としては、この時代の変化をどう捉えている?クマ駆除に向けて警察や自衛隊が対応することをどう思う?先生の思想に影響を与えた人物は誰?今後、時代劇漫画を描く可能性はある?…等々、よしりんの回答や如何に!?
1. ゴーマニズム宣言・第584回「女だって戦争を起こす」
内閣支持率「82%」という、本当かどうか疑いたくなるような数字も出た高市早苗首相。気が大きくなったのか、国会で勇ましい発言をしたものの、たちまちつまずいたような形になっている。
このままズルズルとヘタレていくのか、それともヘンに意地を張って頑なになっていくのか。どちらにしても、ロクなことにはなりそうにない。
高市は7日の衆院予算委員会で、台湾有事は日本の「存立危機事態」になりうると答弁。これが問題視され、10日に行われた同委員会では早速「軌道修正」を余儀なくされた。
台湾有事が日本の「存立危機事態」というのは、もし中国軍が台湾に侵攻したら、たとえ日本が直接攻撃されていなくても日本の存立が脅かされる事態であると見なし、自衛隊が集団的自衛権を行使できることを意味する。端的にいえば、中国が台湾を侵略したら、日本が中国と戦争をするということだ。
歴代の首相は台湾有事が「存立危機事態」に当たるかどうかの見解を明確にすることを避けてきた。安倍晋三や麻生太郎も、首相退任後には台湾有事が日本の存立危機事態になると発言したが、現職時には決して言わなかった。それじゃあ国会議員個人の意見に何の意味があるのかという気もするが、現職首相による国会答弁は政府の公式見解として極めて重い意味を持つから、言えなくなってしまうのだ。
高市も以前から「台湾有事は存立危機事態」を持論としており、自民党総裁選の立候補会見でも「台湾有事は日本有事。間違いない」と断言していたものの、首相になったら言わないだろうと誰もが思っていた。何しろ靖国参拝も直ちにやめたくらいだから、それはなおのことだった。
7日の質疑で質問に立った立憲民主党の岡田克也も、「首相になったら、もう言わない」という実態を晒そうとする意図があったのは明らかで、高市の就任前の発言を引き合いに出したうえで「台湾有事の際、どういう場合に集団的自衛権を行使できる『存立危機事態』にあたるのか」と質した。
これに対して高市は、その手に乗るかと意地になったのか、あるいはこれ以上「やっぱり首相になったら豹変か」と言われたくなかったのかはわからないが、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだと私は考える」と明確に答えたのだった。
この答弁は事前に事務方が用意したものではなかった。政府内の議論も合意もないまま、その場で高市が独断で言ったのだ。
質問した岡田もこの答弁は想定外だったようで、やや驚いた表情を見せつつ「あんまり軽々に『武力行使』と言うべきではない」と返し、議論はヒートアップした。
政府内でもこの答弁には当惑したらしく、同日、小泉進次郎防衛相は記者団に対して「いかなる事態が存立危機事態に該当するかは政府がすべての情報を総合して判断する。総理の発言は、その趣旨を述べたもので、従来の政府の立場を変えるものではない」と強調して「火消し」に動いた。
高市の発言は翌日の朝日新聞・読売新聞の1面トップ記事になり、立憲民主党の野田佳彦代表は週明けの国会で取り上げると発言した。
そして10日の衆院予算委では立民の大串博志議員が7日の「台湾有事は存立危機事態になりうる」との答弁について質した。
これに対して高市は、「政府の従来の見解に沿ったものなので、特に撤回、取り消しをするつもりはない。今後、反省点としては、特定のケースを想定したことについて、この場で明言することは慎もうと思っている。今後は慎む」と答弁した。
要するに進次郎が言ったよくわからない弁解を繰り返したわけだが、いくら7日の答弁は「従来の政府見解通り」だと強弁したところで、「台湾有事は存立危機事態になりうる」というのは従来の政府見解にはなかったことであり、高市がそれを現職総理大臣として国会で初めて言ったという事実には、何の変わりもないのである。
しかも10日の質疑では、再三にわたって「台湾有事は存立危機事態」発言の撤回・取り消しを求められたにもかかわらず、高市は頑としてこれを拒んだ。
いくら「今後は」特定のケースを明言することは慎むと「反省」したところで、一度は国会で明言して、しかもそれを撤回しないのである。つまり、台湾有事は日本の存立危機事態になりうるし、その際には集団的自衛権が発生して、中国と戦争をしなければいけないという国会答弁が、そのまま政府の公式見解として残っているのだ。
国が戦争をするかどうかの重大な判断に関わることが、こんな曖昧な状態にされていていいわけはなく、大串議員は「政府統一見解」を示すよう求めたが、高市はそれも拒み、この件は衆院予算委として理事会で協議されることになった。
高市が発言を撤回せず、政府統一見解も示さないということは、高市の独断で日本は中国と戦争をすることもありうる、という話にもなってしまう。
中国の大阪総領事が高市の発言に関してⅩに「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」と投稿して炎上した。これはあまりにも品のない文句だが、中国側からすれば、何の覚悟もないくせに「勝手に首を突っ込んできた」としか見えないのも確かだろう。
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小林よしのりライジング
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気に…


配信お疲れ様です。人生、一寸先は闇と申します。もう何が起こるか分からない世の中において爪に火を灯すような生活をする庶民としましては、為政者の軽々しい発言で嵐に巻き込まれるのは御免だという感じですね。 令和7年の防衛白書によりますと、現在の日本の国防費は大体8兆5千億円で、これは中…
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