大分・佐賀関火災、空き家の多さも被害拡大の要因

西日本新聞me11/20(木)6:00

大分・佐賀関火災、空き家の多さも被害拡大の要因

激しく炎が上がる大分市佐賀関の火災現場=19日午前0時ごろ(大分県警提供)

多くの住宅が焼失した大規模火災現場=19日午後2時26分、大分市佐賀関(本社ヘリから、撮影・中村太一)避難所に身を寄せる被災者たち=19日午後6時45分、大分市佐賀関主な大規模火災

 18日に発生した大分市佐賀関の大規模火災は、木造家屋が密集する地域の特性に加え、乾燥や強風といった悪条件も重なり、住宅など170棟以上、約4万9千平方メートルの広範囲を焼損させた。空き家が多いことも被害拡大の要因となっており、同じ問題点を抱える地域は多い。識者は「今後、日本各地で同じような大規模火災が頻発する可能性がある」と警鐘を鳴らす。

 佐賀関地区は狭い路地に、木造家屋がひしめき合う。小林恭一・元東京理科大火災科学研究所教授は「日本の住宅は木造が多く、初期消火に失敗すると大きく燃え広がる可能性がある」と話した。

 市消防局は「初動対応は比較的早かった」としたが、消防団員の男性は「民家がひしめき合って通路が狭く、消防車が入っていけなかった」と振り返るなど消火活動は難航を極めた。

 延焼拡大の大きな要因となったのが空き家の増加だ。市の2020年の調査では、同地区の空き家は561棟。避難した住民は「(火災が起きた)地域の半分は空き家だった」と証言する。

 小林氏は「空き家が増えると火災の発見が遅れ、火力が強まって延焼しやすくなる」と指摘。「日本はこれまで地域の消防力に頼ってきたが、人口減や高齢化に伴い消防団員の担い手は減っている。これからは燃えない街づくりに地道に取り組むしかない」と訴える。

 人口6937人の佐賀関地区の高齢化率は58・2%。大分市の平均と比べて30ポイント近く高い。市消防局によると、消防団全体の平均年齢は47歳で、高齢化や団員の減少が進んでいるという。

 この時季特有の空気の乾燥と強風も、被害を拡大させた。大分県上空は18日午後から強い寒気が流れ込んで冬型の気圧配置が強まり、湿度は50%前後に低下。大分市には強風注意報も発表されていた。

 日本気象協会九州支社の松井渉気象予報士によると、豊後水道に突き出す佐賀関は北風が吹きやすく、火災現場周辺は「山の谷間に位置し、風が集まって強くなりやすいエリア」だという。

 佐賀関の11月の降水量は平年の約2割の11ミリにとどまり、乾燥状態も続いていた。今回の火災では山林に延焼したほか、南東に約1・4キロ離れた無人島の蔦(つた)島にも飛び火した。日本でも、気候変動に伴って山林火災が深刻化する傾向は強まっている。

 火災のメカニズムに詳しい鈴木佐夜香・東京科学大准教授は「雨が降らなければ枯れ葉が乾燥し、着火しやすくなる」として、空気が乾燥する来春にかけての山林火災にも注意を呼びかけている。(本紙取材班)

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