「不審な関係」を友人が施設に訴えていた
加害者の二面性と、平山さんの精神状態を巧みにコントロールしていく悪質性の高さを、井上弁護士はこう指摘した。
「加害者のしたことはグルーミングと言えると思います。平山さんは施設の中で加害者を父親のように慕っていました。平山さんが加害者に見放されるのを恐れていることや、だから加害者からの性的な要求を断ることができないことを加害者はわかっていました。そこにつけ込むように立場を利用して、性的虐待を継続していました」
そして今回の民事訴訟の提起。平山さんは社会福祉法人とシオン園の当時の施設長を民事訴訟で訴える意志を早い段階から持っていた。平山さんはこう話した。
「加害者と私の距離が近い、おかしい、と気づいていた友達がいました。その友達が、施設長に直接相談してくれていたことがあとでわかりました。施設長は情報があがってきていたのに、何も対策をとろうとしてくれていませんでした」
悪いのは加害者だけど、助けてほしかった
「最初は、園の先生たちは味方だと思っていました。卒園生である自分をサポートしてくれるだろうと信じて疑っていませんでした。でも、刑事の裁判が終わる前に、すでに園では終わった話であるかのように当時の施設長が話していることを関係者から聞いて知りました。
私は、園も被害者かのように、加害者個人だけが悪いかのように言っていると感じました。もちろん悪いのは加害者です。でも、私は、助けてほしかった」(平山さんの会見時発言メモより)
平山さんが性行為に応じさせられた期間は約5年。児童養護施設で暮らすこどもたちは、親が育てることのできない事情がある。こどもにとって職員は親代わりであり、命綱だ。その施設職員から長期にわたり性的に搾取される事態に、管理職が気づくことができなかったばかりか、情報を得ても調べなかった。
だが、施設側は、くだんの「面会」では「気づけなかった」と、責任を認めなかった。平山さんは面会でもう一度傷ついたのだ。