増える寄付、「許容できない利益相反」とは 大学に求められるもの
平川仁
東京大学医学部付属病院の医師が収賄容疑で警視庁捜査2課に逮捕された。賄賂とされたのは、医療機器メーカーから大学側に渡った「寄付金」だった。民間企業からの資金と公的な研究・医療機関との関係について、私たちはどう考えればいいのか。鎌倉女子大の福井文威(ふみたけ)教授(高等教育政策)に聞いた。
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民間資金が不可欠に、利害関係が発生する場面も
政府が推進する「産学連携」が拡大されるなかで、研究者と企業が利害関係を持つ場面は確実に増えてきている。
現在、大学にとって、民間資金は不可欠な財源だ。国の運営費交付金は2004年度から減らされ、代わりに増額された「競争的資金」は、数年単位といった短期間で成果を出すことが求められる。
寄付は通常、それに比べて自由度が高く、すぐに成果の出ない基礎研究や、好奇心に基づいた研究にも有用だ。企業との共同研究も、学術界の知識を社会全体に還元し、日本の国際的競争力を高めるという意味で重要となっている。
■「許容できない利益相反」と…