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元CA「ホテルで火災が発生したのに…」同僚が“避難しなかった理由”に「とても危険な行為」

  • 2025.11.21
出典:photoAC(写真はイメージです)

みなさま、こんにちは。元国際線CAのかくまるめぐみです。

テレビなどでホテル火災の報道を目にすると「怖いなあ」と感じても、“ニュースの中の世界で起きていること”だと思われる方が多いのではないでしょうか。

かくいう私も、客室乗務員という職業柄、世界中のホテルに滞在していましたが「ホテル火災なんて他人事」だと思っていました。

しかし、油断は禁物です。なんと、ステイ先のホテルで火災に遭遇してしまったのです。

そこで今日は、元国際線CAが海外ホテルで火災に遭遇した際の、ドタバタ劇をご紹介します。

「何の音?」部屋中に響き渡るアラーム音

アメリカの某都市に滞在中に起きた出来事です。フライトの疲れと時差の影響もあり、ホテルの部屋で深い眠りについていました。

すると突然、部屋中にブザー音やアラーム音のような、とにかく耳障りな高音が響き渡ったのです。

何が起きたのか理解できず、テレビが壊れて変な音が出ているのではないかとテレビに耳を近づけてみたり、部屋中を歩き回って確認してみたり……。

寝起きで頭が働かない状態で、聞き慣れない凄まじい音にうろたえるばかりでした。

耳をつんざくような不快な音に耐えかねて、フロントにクレームを入れようと連絡したところ、スタッフからは想像もしていなかった衝撃の言葉が返ってきたのです。

「火災が発生したので、すぐにロビーに避難してください!」

何かが故障して出ている音だと信じきっていた私は、「火災」という言葉に頭が真っ白になりました。

日本の非常ベルのような「ジリジリ」「ビリビリ」といった音とはかけ離れていたため、まさか火災発生の警報音だとは想像だにしていなかったのです。

パニックに陥った私を救った言葉とは?

寝起きで頭がボーッとしているところに、突然「火災」という言葉が耳に入り心臓がバクバクして足が震えました。

しかし、ふと会社の緊急保安訓練で繰り返し唱えてきた「大丈夫、落ち着いて!」という言葉が頭に浮かんだのです。

この言葉は、緊急事態の際にお客様がパニックを起こさないよう、客室乗務員が大きな声で呼びかけて落ち着いてもらうためのもの。

パニックに陥ると安全な避難や脱出もできなくなるため、緊急事態ではお客様に落ち着いていただくことが重要です。

このときは自分自身に「大丈夫、落ち着いて!」と何度も言い聞かせて、避難する前に心を落ち着かせようと努めました。

実際、この「大丈夫、落ち着いて!」という言葉を自分に言い聞かせると、不思議と冷静になり「何をすべきか?」「どう避難するべきか?」を考えることができたのです。

そして、肌寒い季節だったのでパジャマの上からコートを羽織り、パスポートと会社のIDだけを手に持って部屋を出ることにしました。

廊下に出ると見慣れぬ光景に絶句!

恐る恐る部屋のドアを開けると、廊下には煙が充満していない様子だったので胸を撫で下ろしました。

しかし、廊下へ出た瞬間、見たことのない光景に言葉を失いました。なぜなら、廊下に設置されている防火扉が閉まり、長かったはずの廊下が目の前で塞がれていたからです。

「これで煙まで充満していたら、方向感覚がおかしくなってしまいそう」と恐怖心に襲われました。

しかし、立ち止まっている場合ではありません。防火扉についている避難用の小さな扉をいくつも開けながら、必死に進み続けました。

どうにか非常口にたどり着き非常ドアを開けると、避難用の外階段が目の前に現れました。外気温は思っていたよりも低く、非常階段を降りながら「コートを持ってきてよかった」と、安堵したことをよく覚えています。

やっとの思いでロビーに到着すると、避難してきた一般宿泊客や同僚のCAたちが不安そうな表情で集まっていました。

しばらくするとホテルスタッフから、火災はホテルレストランのキッチンで発生したことや、ボヤ騒ぎで済んだことが伝えられ、幸いにもすぐに部屋に戻ることができたのです。

避難しなかった同僚、「正常性バイアス」の危険性

実はこの騒動の中、火災報知器が作動しているとわかっていながら、避難しなかった同僚のCAがいたのです。

なぜ避難しなかったのか尋ねると「どうせ大したことないだろうと思ったから」という答えが返ってきました。

今回のケースでは、レストランのボヤ騒ぎだけで大事にならずに済みました。とはいえ、もし大きな火災に発展していたら、“避難しない”という選択はとても危険な行為です。

もしかするとこれは、俗にいう「正常性バイアス」によるものだったのかもしれません。

正常性バイアスとは、危険な状況に直面しても「自分だけは大丈夫だろう」と思い込んでしまう心理的な傾向のことです。

「自分に限って危険なことは起きない」という思い込みを持たず、警報や指示があった場合には素直に従うことが大切です。「念のため」の行動が命を守ることにつながる、といっても過言ではありません。

安全なホテルライフを過ごすために

ホテルの部屋に入ったら、まずは非常口や避難経路をチェックしておきましょう。避難する際に、部屋を出て右に行くのか、左に行くのかを把握しておくだけでも、いざというときに役立ちます。

また、私自身の経験からも、ホテル滞在中に異変を感じた際には、躊躇せずフロントに問い合わせることをおすすめします。そして、命を守るためには、必ずスタッフの指示に従いましょう。

ホテル火災に遭遇する確率は、限りなくゼロに近いかもしれません。それでも、万が一に備えて心構えを持っておくことは大切ではないでしょうか。

次回ホテルを利用される際に、このエピソードを思い出していただいて、少しでも防災意識について考えるきっかけにしていただけたら幸いです。

みなさまのホテルライフが、安全で快適なものになりますように。


ライター:かくまるめぐみ
大学卒業後、日系航空会社に客室乗務員として入社。国際線をメインに乗務し、世界中を飛び回る。結婚を機に退職し、イタリアへ移住。現在も家族とともにイタリアに在住し、Webライターとして活動。客室乗務員の経験から培った「細やかな心配り」を大切に、コラム記事からSEO記事まで幅広く執筆中。


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