Nasu Moments vol.05|おいしいの、その奥へ 自然に溶け込む、灯のカフェ
那須の「非電化工房」は、発明家・藤村靖之氏が2007年7月に移住したことをきっかけに生まれた。
藤村氏が提唱する「非電化製品プロジェクト」と「非電化生活」を形にした場所である。
大量消費の社会に問いを投げかけながら、電気を使わない製品の開発や体験を通して、エネルギーやお金に頼らずに得られる豊かさを伝えている。
森の中に現れる「ムーミンハウス」は、フィンランド製のバーベキューハウスをベースにした小さな木の小屋。
北欧らしいデザインと木の温もりが、自然と人をつなぎ、非電化カフェならではの豊かさを映している。
庭先には、のびのびと暮らす鶏たちの姿もある。
自然の循環に寄り添いながら、卵を産み、日々をともにする存在。
ここでの暮らしは、エネルギーに頼らずとも豊かさを育んでいけることを静かに示している。
木々に囲まれたテラス席は、風と光に包まれる心地よい場所。
ここでは、ペットと一緒に過ごすこともできる。
電気を使わず、自然素材でつくられたカフェの空間には、静けさと優しさが広がっている。
自然の中に溶け込むように、ゆっくりと流れる時間を味わえる。
厚く重ねられた藁と土の壁は、季節の空気をやわらげ、ランプやキャンドルの灯りは、心をゆっくりとほぐしていく。
壁は、藁や土に加え、籾殻や杉皮などで断熱され、およそ60cmもの厚みがあるという。
大地の恵みをそのまま生かした造りが、この場所の静謐さを支えている。
天井からわずかに落ちる光と、窓から差し込むやわらかな光。
その中で過ごす時間は、日常を離れたもうひとつの世界を感じさせる。
ここで味わう有機コーヒーやハーブティー、そして手作りのスイーツは、どれも素朴で滋味深い。
フードメニューには、体を整える薬膳カレーや薬膳粥もあり、食事として訪れる人にも寄り添うやさしい選択肢が用意されている。
ルバーブタルト
酸味が静かに広がり、香ばしいタルト生地と重なり合う。
甘さは控えめで、素朴さのなかに凛とした表情。
後味は、初夏の風のように清々しい。
紅茶のシフォンケーキ
豆乳と米粉でつくられ、ふんわりとやさしい口あたり。
添えられた自家製の桑の実ジャムは、甘酸っぱさの奥に薬膳を思わせる深みがある。
ホイップクリームのまろやかさと重なり、心までも整える余韻を残す。
サンファ茶
韓国を代表する伝統茶で、十種類の薬草をじっくりとブレンドし、五種類の木の実を浮かべた一杯。
薬草の深い余韻が体に沁みわたり、養生のひとときを過ごしているような静けさをもたらす。
かぼちゃラテ
自家栽培のかぼちゃを牛乳と生クリーム、砂糖と少しのコーヒーリキュールと合わせ、弱火で煮込んだラテ。
かぼちゃ本来の甘みとリキュールの香りが重なり合い、収穫の喜びを閉じ込めた特別な一杯。
春から年末の間の季節のカフェ。
限られた時間だからこそ、そのひとときはかけがえのない余韻を残していく。
ワークショップ、学びのイベントに季節の催しなど。
ただ過ごすだけでなく、学びや体験が広がるオープンな実験室のような場所でもある。
ここには、電気や便利さに頼らない、
自然と呼吸を合わせ、心を委ねるという本当の豊かさがある。
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非電化工房/非電化カフェ
📍 栃木県那須郡那須町寺子丙2783-22
🕒営業時間|10:00〜17:00
💤定休日|月・火・水・木・金
💁♀️土・日・祝日・振替休日が営業日です
📅イベント等の詳細は、Instagramをご確認ください
🐾テラス席可
💳決済方法|現金


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