Fallout archive   作:Rockjaw

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初投稿です
クロス元はやりこんでますがクロス先はペーペーですのでご容赦ください


Commonwealth to Kivotos
One Man's Final Days


「……。」

 

ある荒れ果て世界の一角にある家で年老いた男がベッドに臥せってぼんやりと天井を眺めている。

 

その周りにはもう部屋に入り切れないほどの人がベッドを囲み彼を見守っている。

 

「ムッシュー…お加減はいかがですか?」

 

「あぁ…キュリーか…。今日はほんの少しだけ呼吸が楽だよ…。」

 

「それは…よかったです…。」

 

傍らにいた白衣を着た女性、『キュリー』に向けそう答えるが明らかにその男は弱っている。

 

最早今際の際と言ってもいいだろう。

 

「リーダー、死ぬのか?」

 

「ははっ、ストロングか…。…かもな、もう目も見えなくなってきている…。」

 

「…ストロング、哀しい。人間死ぬの…慣れてるはずなのに…。」

 

『うぅ…。』

 

他のものよりも頭二つ大柄な緑の巨漢『ストロング』も表情を曇らせる。

 

誰かは分からないが、嗚咽する声も聞こえてくる。

 

だが、むしろ彼が生きてきた過去を考えるとよくぞここまで生きてこれたといってもいいだろう。

 

かつて彼は極寒の地、アラスカは『アンカレッジ』で中国軍と戦った。

 

10年にも及ぶ資源争奪戦争、『米中戦争』を彼は開戦から戦い抜いた。

 

幾多もの戦場をかけ、敵兵を打倒し続けまた彼も傷付きながら終戦まで戦い抜いた。

 

そして彼は勲章を得た、『アンカレッジの英雄』という栄誉を得た。

 

そして家族を、妻と息子と温かい家庭を得ることができた。

 

未だ予断を許さない情勢と経済だったがそれでも幸せに暮らせていた。

 

だが…ある日、世界が『燃えた』。

 

誰が始めたか今は誰にもわからない。

 

世界を丸ごと火の海にした『最終核戦争』の勃発である。

 

それでも彼と家族は幸運だった。

 

核が落ちるほんの数分前に『Vault111』への入居権を得られたのだ。

 

藁をもすがる思いで妻と息子とともに駆け込んだ。

 

なんとか核爆発から免れ彼らは安どした。

 

身体を調べるため、彼と息子を抱いた妻は別々のポッドに入った。

 

そして…突如彼の時間は『凍てついた』。

 

彼の時が再び動き出した時、彼の『心』は潰された。

 

忘れえぬ仇敵、『ケロッグ』。

 

その男によって妻『ノーラ』は撃ち殺され息子『ショーン』は攫われた。

 

今まで抱いたこともない憎悪だった。

 

その憎悪の炎が消えぬうち再び彼の時間は『凍てついた』。

 

そして、再び彼の時間が動き出した。

 

ノーラの死、それを改めて見せつけられ彼は決心した。

 

『あの男を殺し、息子を連れ戻す。』と。

 

彼は歩み出した。

 

銃を拾い、戦前最新のウェアラブルデバイス『Pip-Boy』を装着し彼はVault111を出た。

 

そして…彼は『打ちのめされた』。

 

先ほどまであった世界、それがすべて焼け焦げ朽ち果て何もかも変わってしまっていた。

 

《旦那様、どうなさいましたか?》

 

「…あぁ、コズワース。少し…昔のことを思い出していた…。」

 

《あぁ…懐かしゅうございますねぇ…。》

 

「ダメだなぁ、歳を取ると…昔のことばかり思い出してしまう…。」

 

戦前より彼の家で執事を務めていたロボット、Mr,ハンディの『コズワース』がそう尋ね苦笑しながら彼は答える。

 

目が覚めてからそれこそ激動だった。

 

ショーンを探すためこの地『連邦』の方々を放浪した。

 

そして、仲間を得た。

 

彼ら彼女らは彼の良き戦友として連邦を旅してくれた。

 

住処を得た。

 

様々な場所の居住地は開拓し多くの人々の新たな家と生きる糧を与えた。

 

立場を得た。

 

ある時は『将軍』、ある時は『センチネル』、ある時は『総支配人』。

 

そしてある時は・・・『ワンダラー』。

 

幾多の物を得て、幾多の戦いを潜り抜け彼はケロッグと対峙した。

 

憎悪こそあったが彼は冷静だった。

 

手傷を負いながらもかつて、中国軍に恐れられた戦場の死神となってケロッグを葬った。

 

その後、手掛かりを得て再び連邦をさまよいそして見つけた。

 

連邦を恐怖に陥れた秘密組織『インスティチュート』。

 

その場所で『ファーザー』と呼ばれる自らよりも年老いたショーンを。

 

再会を喜んだ。

 

…だが、この時すでにショーンとの道は違えてたのかもしれない

 

ショーンはインスティチュートにより人類の再定義、『人造人間』によって連邦を『再構築』しようとしていた。

 

彼は自らも手を貸しながら連邦に住まう者たちによる『復興』を目指した。

 

ショーンは『連邦に染まった』と言っていたが…そうかもしれない。

 

だが、たとえそうであっても、長い時間がかかろうと連邦は再び立ち上がれる。

 

彼の中にはそう確信があった。

 

二人の意見は決して相いれなかった。

 

そして…最初で最後の『親子喧嘩』が起こった。

 

ショーンは彼自らが将軍であるミニッツメンの本拠地に軍勢を送り込んだ。

 

それを自らが鍛え上げたミニッツメンや彼の戦友とともに打ち払い、今度はミニッツメン達とともにインスティチュート本部に攻め込んだ。

 

無抵抗な者たちは見逃したがそれでも多くの敵を殺した。

 

そんな彼を待ち受けていたのは…今の自分と同じように床に臥せっているショーンだった。

 

短い会話だったが彼は約束した。

 

『必ず連邦を蘇らせる』と。

 

それがショーンとの最後の会話だった。

 

そして…脱出の寸前で彼の目の前に10歳のショーンの姿をした『人造人間』が現れた。

 

その人造人間は懇願した。

 

「お願いだ、パパ…。ここに置いていかないで!一緒に行きたいんだ!」

 

共にここを脱し、共に暮らすことを。

 

その人造人間を彼は…

 

『お前はショーンじゃない!!!』

 

拒絶した。

 

たとえ道を違おうと、こんな悲劇の別れをしようと…彼にとってショーンはただ一人だ。

 

「大っ嫌いだ!」

 

と罵られた。

 

そんな彼を別の場所へテレポートするよう命じ彼らはその場を後にした。

 

そして…彼は自らの手でインスティチュートの本部を吹き飛ばした。

 

その後はショーンとの約束を果たすため彼は歩み続けた。

 

先に復興した『キャピタルウェイストランド』にも赴いた。

 

そこで連邦復興の鍵を手に入れた。

 

B.O.S.の力を頼り核の炎から免れた『アパラチア』にも赴いた。

 

そこで連邦には現存してなかった様々な技術を手に入れることができた。

 

無論、平坦な道のりではなかった。

 

戦いもありその中で別れも経験してきた。

 

それでも…彼は約束を果たした。

 

いまや連邦はキャピタルウェイストランドに引けを取らないほど復興し人々の暮らしは豊かになった。

 

そんな旅も…もうすぐ終わる。

 

「…すまないが誰か、外に連れて行ってくれないか…?」

 

「…もちろんだ、センチネル。」

 

彼の長年の戦友『ダンス』が彼の頼みを聞き入れ、『パワーアーマー』を巧みに操り彼を外の安楽椅子に運んだ。

 

ゆっくりと揺られながら彼はつぶやく。

 

「…ショーン、こんなパパですまなかったなぁ…。」

 

誰に聞かせるわけでも…聞かせたいショーンがいないながらも彼は語りかける。

 

「…でも、パパは…約束を果たしたぞ…。お前が思っていた連邦の姿とは…少し違うかもしれないけどな…。」

 

周囲の人々は黙してそれに聞きこんでいるしかなかった。

 

「俺の命も…もうすぐ終わる…。でも…お前とノーラのところには…いけないだろうなぁ…。」

 

一筋の涙が頬を伝った。

 

これまで数多くの命を奪ってきた。

 

そんな自分がノーラとショーン、旅立った仲間たちがいる場所に行けるわけがない。

 

それでも、彼に悔いはない。

 

「だが、最後の最期で…ほんの少しだけ…俺の人生は…………いい………ものだ…と思えたよ…。」

 

寄り道は多くしたが走り続けた人生だった。

 

そんな人生で自分は多くの人たちに囲まれて見送られようとしている。

 

こんな彼にとってはもったいない最期の花道だ。

 

「あぁ…皆…………俺の……俺達が……愛した………連邦を…………頼ん…………だ………。」

 

消え入るような言葉だったが周りの者たちは背を伸ばしその彼の言葉に答えた。

 

『心配するな。』『任せろ。』『安心してくれ。』

 

そんな思いが彼にも言葉にせずとも伝わった。

 

「フ……フフッ…………。」

 

彼が浮かべたのは安堵の笑みだった。

 

まるで今まで背負った重荷をようやく背中から降ろせたような表情だった。

 

そして…

 

「すぅ…ふぅ~……。」

 

最後に深く息をつき…彼は息を引き取った。

 

彼の名は…『ネイト』。

 

齢300に達しようかという人生にようやく決着がついたのであった。

 

 

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